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バイオマーカー探索トランスレーショナルリサーチ分野(築地)トランスレーショナルリサーチグループ

当分野は、1)アジアに多い難治がん胃がん膵がん食道がんなど)の個別化医療を目指した革新的な診断薬、治療薬の開発へ向け、腹膜転移性がん細胞株・CDX/PDXの自家樹立とオミックス解析を基盤とした産学連携プロジェクトを多く実施している。これまで、難治性がんである未分化型胃がん患者55例から亜株を含め92細胞株(NCC Stomach Cancer: NSCシリーズ)を樹立した(17例21既存株と合わせると113株を保有)。同様に、膵がん29例36株、卵巣がん8例9株の樹立に成功している。NSC代表株については、患者血液DNAを対照とした次世代シークエンサー解析によって、ゲノムトランスクリプトーム情報、及びプロテオーム情報を付与している。全ゲノム解析も進めており、mRNA、タンパク質の他、miRNAlncRNA及び発現調節領域の構造異常の全貌が明らかにされる。私たちが樹立した細胞株は継代数が管理されており、患者のがんの発生、進展に関与した遺伝子の機能が保持されていることを示すデータがある。さらに免疫不全マウスでの移植腫瘍について、HE染色、Ki-67免疫染色、AZAN染色(間質評価)を行い、病理組織学的プロファイルの蓄積と同時に、腫瘍形成能、悪疫質の評価を進め、CDXのカタログ化も継続している。例えば、市販の膵がん細胞株ではほとんどない分化型組織を示す株も半数で認められ、患者がん組織を反映している。これらのバイオアセット(生物資産)を基に、企業との共同研究も積極的に行っており、低分子薬(分子標的薬合成致死)、中分子薬(ペプチド)、免疫チェックポイント阻害剤等の抗体医薬抗体薬物複合体ADC二重特異性抗体)について、治験へ向け、がん細胞や微小環境を標的としたユニークな非臨床試験によって、MOA解析POC取得コンパニオン診断薬の開発を先導、推進している。2)予知医療に向けた体外診断薬医療機器の開発は、多施設共同研究によって集積した治療前後の生検によって進めている。3)コアファシリティー業務や上述の自家樹立細胞株とオミックス情報の提供により、アカデミア研究者の研究費・知財の獲得および革新的基盤研究を促進させている。最近5年間での、企業・アカデミアとの共同研究数は30件を超え、特許申請件数は14件で、主要なものはPTC出願から各国移行している。

体制図