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がん微小環境での代謝と免疫応答の関連の解明
近年、T細胞の分化や機能において代謝機構が重要な役割を持つことがわかってきています。それぞれのT細胞はサブタイプ特異的な代謝機構を活性化させており、それを障害するとT細胞の生存率や機能の低下につながることが明らかになっています。末梢血のCD4+、CD8+エフェクターT細胞 (Teff) では mTORのシグナルにより解糖系が亢進しているのに対して、制御性T細胞 (Treg) では AMPKのシグナルにより脂肪酸酸化に続くミトコンドリアにおける酸化的リン酸化が亢進しています1。当研究室ではがん局所における免疫応答に注目して研究を行っています。がん微小環境では低グルコース、低酸素などの状態であり、がん局所に浸潤しているT細胞もこのような環境下にあることが知られています2。エネルギー代謝に非常に重要であるグルコースと酸素が不足した状態下では、がん細胞は様々な分子機構を用いて環境に適応していますが、T細胞の代謝の変化については未だ不明な点が多く残っています。当研究室ではがん局所に浸潤しているT細胞の代謝機構の詳細を解析し、さらにその代謝がT細胞の機能に与える影響について明らかにする研究を行っています。この研究成果により、がん微小環境における免疫応答に介入し、抗腫瘍免疫を高めるような新たな治療法の開発を目指しています。
- Howie D, Waldmann H, Cobbold S. Nutrient sensing via mTOR in T cells maintains a tolerogenic microenvironment. Front Immunol, 5:409, 2014 [PubMed(外部サイトにリンクします)]
- Palazon A, Aragonés J, Morales-Kastresana A, de Landázuri MO, Melero I. Molecular pathways: hypoxia response in immune cells fighting or promoting cancer. Clin Cancer Res, 18:1207-1213, 2012 [PubMed(外部サイトにリンクします)]