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人工多能性幹細胞に由来する免疫細胞を用いた「がん治療法」の開発
無限の自己複製能と分化多能性を有する人工多能性幹細胞(iPS細胞)から種々の免疫細胞を誘導して、がん治療に応用することができます。また、iPS細胞に由来する免疫細胞は、遺伝子改変操作により効果と安全性を向上させることができ、規格化された細胞製剤の安定供給を可能にします。 私達は、インバリアント・ナチュラルキラーT(iNKT)細胞と呼ばれるT細胞をiPS細胞から分化誘導する技術を開発しました(1)。再生iNKT細胞は、多様性のないT細胞受容体(TCR)を発現して、多型を持たないCD1d分子によって提示された特定の糖脂質抗原を認識します。従って、この細胞にがん抗原特異的TCRやキメラ抗原受容体を発現させたものは、移植片対宿主病のリスクのない「がん免疫療法」に応用される可能性を秘めています。 一方、私達はiPS細胞から増殖能を持つミエロイド細胞を構築しました。これに免疫応答制御機能を賦与したものは、体内の免疫系に積極的に働きかけて治療効果を向上させることが期待されています。
1. Kitayama S, Zhang R, Liu TY, Ueda N, Iriguchi S, Yasui Y, Kawai Y, Tatsumi M, Hirai N, Mizoro Y, Iwama T, Watanabe A, Nakanishi M, Kuzushima K, Uemura Y, Kaneko S. Cellular Adjuvant Properties, Direct Cytotoxicity of Re-differentiated Vα24 Invariant NKT-like Cells from Human Induced Pluripotent Stem Cells. Stem Cell Reports 6: 213-27, 2016 [PubMed](外部サイトにリンクします)
2. Zhang R, Liu TY, Senju S, Haruta M, Hirosawa N, Suzuki M, Tatsumi M, Ueda N, Maki H, Nakatsuka R, Matsuoka Y, Sasaki Y, Tsuzuki S, Nakanishi H, Araki R, Abe M, Akatsuka Y, Sakamoto Y, Sonoda Y, Nishimura Y, Kuzushima K, Uemura Y. Generation of mouse pluripotent stem cell-derived proliferating myeloid cells as an unlimited source of functional antigen-presenting cells. Cancer Immunol Res. 6: 668-77, 2015 [PubMed](外部サイトにリンクします)
京都大学iPS細胞研究所(CiRA)との共同研究について
免疫療法開発分野では2019年よりCiRA医療用iPS細胞ストックを用いて「がん治療」に応用するための免疫細胞の開発を行っています。
医療用iPS細胞ストックの構築に関する研究にご協力いただいたドナーの皆様はこちら(PDF、外部サイトにリンクします)のページをご覧ください。