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日本における加熱式たばこの有害性の認識と個人特性及び社会経済状況との関連:全国横断調査(INFORM Study 2020)

更新日 : 2024年7月8日

本論文はJournal of EpidemiologyのEditor's Picksに選ばれました。

背景

加熱式たばこは、紙巻きたばこに比べていくつかの有害化学物質の量は少ないものの、長期使用に伴う健康影響は明らかになっていません。しかしながら、日本において、加熱式たばこは健康影響が紙巻きたばこよりも少ない製品というイメージで宣伝されています。本研究では、日本人集団における加熱式たばこの有害性の認識に関する分布を明らかにするとともに、加熱式たばこが紙巻きたばこと比べ有害性が低いという認識に関連する要因を特定しました。

 

方法

20歳以上の日本人を対象に、自記式質問紙調査である全国横断調査(INFORM Study 2020)を実施しました。記述分析および重み付きロジスティック回帰分析を行い、加熱式たばこの有害性の認識とその説明因子(例:個人特性、社会経済状況、信頼できるがん情報の情報源)との関連を分析しました。

 

結果

参加者3,420名のうち、加熱式たばこの有害性が加熱式たばこよりも低いと認識している個人の割合は、たばこ使用者で40.3%、たばこ非使用者で18.3%でした。特に20~39歳では、それぞれ49.9%、30.4%と他の年齢群よりも高い割合を示しました。

加熱式たばこの有害性を紙巻きたばこよりも低く認識することに対して、加熱式たばこの存在をよく知っているたばこ非使用者1,160名においては、男性、39歳以下、大学卒未満であることが関連していました。また、たばこ使用者336名においては、加熱式たばこの使用が関連していました。一方、信頼できるがん情報の情報源は、加熱式たばこの有害性の認識と関連していませんでした。

 

結論

本研究の結果から、たばこ使用者およびたばこ非使用者では、加熱式たばこの有害性を低く認識することについての説明因子が異なることが明らかになりました。加熱式たばこの有害性の低い認識を減らすためには、公衆衛生にかかわるステークホルダーが日常業務において加熱式たばこに関する最新の知見を提供することが重要です。また、たばこ非使用者と使用者のどちらも対象とした加熱式たばこに関するマーケティングの規制の強化が求められます。

発表論文

Takumi Momosaka, Junko Saito, Aki Otsuki, Akiko Yaguchi-Saito, Maiko Fujimori, Aya Kuchiba, Kota Katanoda, Reo Takaku, Taichi Shimazu, Associations of individual characteristics and socioeconomic status with heated tobacco product harmfulness perceptions in Japan: A nationwide cross-sectional study (INFORM Study 2020), Journal of Epidemiology, Article ID JE20230177, Advance online publication January 06, 2024, Online ISSN 1349-9092, Print ISSN 0917-5040, https://doi.org/10.2188/jea.JE20230177