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多目的コホート研究・多民族コホート研究の利活用による国際共同研究
「多民族コホート研究」(Multiethnic Cohort Study: MEC)(NCC管轄の外部サイトにリンクします)は、ハワイ州立大学がん研究センター(University of Hawaii Cancer Center: UHCC)と南カリフォルニア大学が中心となり、米国ハワイ州とカリフォルニア州に在住の45歳から75歳の住民約21.5万人(日系人5.6万人、白人約4.9万人、ネイティブ・ハワイアン1.4万人、アフリカ系アメリカ人3.5万人、ラテン系アメリカ人4.7万人)を対象に1993年から96年にかけてアンケート調査を実施し、その後、死亡・がん罹患などのアウトカムを追跡しているコホート研究です。また、2001年から2006年にかけて血液・尿検体などの生体試料の収集が実施され、約7万人分の試料が保管されています。
一方、「多目的コホート研究」(NCC管轄の外部サイトにリンクします)は、1990-93年時点において全国11か所の保健所管内に在住する40-69歳の地域住民約14万人を対象に、5年おきに3回のアンケート調査を実施するとともに、5年おきに2回の調査により合計約6万人分の血液試料と健康診断データを収集し、死亡、がん、循環器疾患などのアウトカムを追跡しているコホート研究です。1995-1999年に実施した5年後調査においては、対象者の年齢が45歳から74歳であり「多民族コホート研究」と同じ年齢層に対する調査結果が得られています。
このような調査時期・年齢層が近いコホート研究のデータを統合することにより、日本と米国に在住する日本人集団を結節点とし、白人、ネイティブ・ハワイアン、アフリカ系アメリカ人、ラテン系アメリカ人の多民族集団を対象とした疫学研究が可能となります。そこで生活環境因子の曝露レベル・遺伝的構造・疾病構造の異なる民族集団間や居住国が異なる日本人集団におけるがん罹患リスクの比較に基づき、その差異を説明する因子の究明を目的とした研究を実施しています。
現在は、下記の研究費財源を活用し、生活習慣などのリスク因子に加え、血漿バイオマーカーを用いた内的因子およびゲノム情報を含めた多次元データによる研究基盤を構築し、日本人集団に特有なリスク因子の解明、内的因子の影響の評価、生活習慣に関するリスク因子や内的因子と遺伝的要因との間の交互作用の解明を目的とした解析に取り組んでいます。
【研究費財源】
国際共同研究加速基金(海外連携研究)
「日本人・多民族コホートの統合と多次元データの利活用によるがんのリスク因子の解明」(外部サイトにリンクします)
研究課題/領域番号:24KK0178
研究代表者:岩崎 基
研究期間:2024-09-09 – 2028-03-31