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オミックス医療ゲノムグループ
医療AI研究開発分野ではゲノムデータ、エピゲノムデータ(DNAメチル化やChIP-seqデータ)、トランスクリプトームデータ(RNA-seqデータ)などのオミックスデータを利用して、機械学習や深層学習を用いたマルチオミックス解析を行なっている(Asada et al, Biomolecules 2020, Takahashi et all, Biomolecules 2020)。多くの解析手法が日進月歩で改良され報告されているものの、データに欠損値やノイズが含まれていた場合、単一の解析手法では信頼度の高い解析結果を得ることは困難である。一つのオミックスデータではなく複数のオミックスデータを統合的に解析する事で、がんの本態解明かつ個々人の疾患に即したPrecision Oncologyに貢献できると考えている。
当分野を中心に多くの先生方の協力を得ながらゲノム、エピゲノム、トランスクリプトーム、DNAメチル化、病理画像を含む日本人肺がんデータベースが構築中であり、肺がんデータセットとしては質・量ともに世界最規模となっている。日本における死因の第一位は悪性新生物(がん)であり、その中でも肺がんが死因の第一位である。がんでは原因となるドライバー変異が見つからないpan-negative症例が3割程度あると推測されているが、pan-negative患者への治療方法は限られている。肺がんの3割はがん死亡率第5位の肝がんの全死亡数(2.5万人)と同数程度であり、取り組むべき喫緊の課題となっている。
オミックス医療ゲノムグループではエピゲノムグループと協力しながら、 特にnon-coding領域での変異選択圧の検討、ChIP-seqデータやRNA-seqデータを含めたマルチオミックス解析、mutational signature解析や、喫煙、治療応答性とsignature関連性などの解析を進めている。本研究の成果により、pan-negative肺がんにおける創薬ターゲットの発見や、より適切な治療法を提供できる可能性があり、今後の個別化医療の促進に貢献できると考えている。