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内視鏡AIグループ
深層学習技術を中心としたAIによる内視鏡診断支援システムの開発研究
近年の内視鏡機器の進歩と診断学の発展に伴い、消化器癌は早期発見、早期治療が可能になった。この内視鏡診断は医師の肉眼所見に基づいて行われており、癌の見逃しや検査医間での診断の不一致が課題であった。我々は、主に人工知能(AI)の一つの手法である深層学習で内視鏡画像を解析することにより、内視鏡検査中の病変の見逃し回避や医師の診断能の向上、技術格差の解消につなげることを目的としている。
深層学習は、機械が入力データの多彩な特徴量を自動的に学習する事により、検知、分類、識別を可能とする技術であり、画像認識においては人間を凌駕する性能までに至っている。この技術を内視鏡画像へ応用し、約 5,000 例の大腸癌と前癌病変の内視鏡画像を学習させたところ、学習モデルが偽陽性率を1%に抑えたまま98%の病変発見率を有し、内視鏡画像の入力から解析結果の表示までに必要な総時間が0.1秒以内である事が明らかとなった(Yamada M, et al. Sci Rep. 2019. 国立がん研究センター プレスリリース 2017年07月10日) 。そこで、本AIシステムは内視鏡から映し出される画像全体を網羅的に解析し、大腸癌および前癌病変を内視鏡検査時にリアルタイムに発見するリアルタイム内視鏡診断サポートシステムとして、内視鏡専門医による所見が付けられた1万病変以上からなる25万枚を超える内視鏡画像を学習させた。性能検証の結果、動画でも感度83%、特異度89%を有することが明らかとなり、また、医師読影試験の結果から、経験の浅い医師が本AIシステムを使用することにより、病変を発見できる割合が見つけにくいとされる表面型の病変で6%高くなる結果が得られ、経験に影響されることなくAIのサポートにより病変を発見できる可能性があることが明らかになった(DESIGN AI-01試験)。また、サブグループ解析で主要内視鏡メーカー3社の内視鏡画像で使用できる事がが確認された。以上より、本AIシステムは2020年11月30日に日本で医療機器として承認され、さらに、欧州においても同年12月24日に医療機器製品の基準となるCEマークの要件に適合した(承認番号: 30200BZX00382000 、国立がん研究センター プレスリリース 2021年01月12日) 。現在は実臨床で検証試験を行っている(DESIGN AI-02試験)。
また、大腸病変の鑑別診断とリンパ節転移の予測や、胃癌やカプセル内視鏡のAI、さらに、CT 画像、病理画像や分子生物学的情報などの情報とリンクさせ、高度医療や個別化医療、遠隔診断の実現に向けてより利用価値の高いマルチモーダルな内視鏡AIシステムを開発研究している。