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節外性NK/T細胞リンパ腫(ENKTCL)における宿主およびウイルスゲノムの異常の全体像

ENKTCLはEBウイルス(EBV)が関与する予後不良のT細胞腫瘍で、アジア地域で高頻度に発生します。我々は、ENKTCLにおける遺伝子異常を解析し、PD-L1遺伝子の3´-非翻訳領域に高頻度の欠失が見られることを発見しました(Kataoka K, Leukemia, 2019)。更に、日本とフランスのチーム(Lucile Couronné先生)との共同研究で178例のENKTCL患者検体の全エクソン解析および標的シーケンス解析を実施し、MSN、BCOR、DDX3X、KDM6AといったX染色体上の遺伝子に高頻度な異常を見出しました(Ito Y, Cancer Res, 2024)。特に高頻度なMSN異常(15%)は、NK細胞の分化障害とNF-κB経路の活性化を引き起こし、治療標的となる可能性が示されました。また、遺伝子異常を用いて既存の臨床分類と独立にENKTCLを2群に分類可能な分子分類を作成しました。更にEBVゲノムの解析では日本の患者に高頻度の欠失が見られ、免疫回避との関連が示唆されました。このように、ENKTCLの遺伝子異常と治療標的の可能性が明らかになりました。


節外性NK/T細胞リンパ腫(ENKTCL)における宿主及びウイルスゲノムの異常の全体像の画像


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