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新年度のご挨拶

河野 隆志

2025年度の始まりに一言ご挨拶申し上げます。

がんゲノム医療の基盤である保険診療で行われるがん遺伝子パネル検査が保険診療で開始されてから6年を迎えようとしており、がん遺伝子パネル検査を行う機関も、当初の100施設から、2025年4月現在では280施設に増加しています。また、検査を受けられた患者さんの数も10万例を迎えるところとなりました。まさに、国内広くがんゲノム医療が展開されています。

各医療施設でがん遺伝子パネル検査を受けられた患者さんの遺伝子変異の情報や臨床情報は、同意の下、がんゲノム情報管理センター(C-CAT)に届けられています。C-CATは、この情報に基づき、国内で行われている臨床試験の情報を搭載した調査結果を、それぞれの医療施設にお届けすることで、患者さんの診療を支援しています。

C-CATに集約された情報は、未来のがん診療に役立てるため、厳正な審査のもと、現在100を超える研究グループや15の製薬・診断企業に共有され、学術研究や新たな臨床試験の立案など医薬品等の開発に役立てられています。現在までに、C-CATデータを用いた40を超える学術論文が発出され、希少がんを含め日本人のがんの特徴が明らかになってきています。また、C-CATに集約された情報が抗がん剤の薬事承認に役立てられる例も出てきています。

患者さん、医療施設、検査企業の方々の多大なご協力によりC-CATに情報が集約されており、日本のがんゲノム医療の進展に役立てられています。C-CAT一同、日本のがんゲノム医療を支えることで、よりよいものにすべく尽力して参ります。皆様のご支援を賜れますようお願いいたします。

2025年4月

国立がん研究センターがんゲノム情報管理センター

センター長 河野 隆志