トップページ > がん対策研究所について > 外部評価委員会 評価結果 > 2021年度 外部評価委員会 評価結果
2021年度 外部評価委員会 評価結果
2022年3月8日 がん対策研究所 外部評価委員会が開催され、2021年9月に再編しスタートしたがん対策研究所各部門について、副所長以下各統括から今後の方針等の口頭発表を行い、外部評価委員から事項毎に評価が行われた。
評価事項
評価事項 |
発表者 |
|
---|---|---|
横断的プロジェクトについて |
副所長 |
祖父江 友孝 |
予防検診グループの研究活動について |
統括部長 |
井上 真奈美 |
基盤グループの研究活動について |
部長 |
松田 智大 |
事業グループの研究活動について |
統括部長 |
若尾 文彦 |
支持療法・サバイバーシップ研究グループの研究活動について |
統括部長 |
内富 庸介 |
外部評価委員会名簿(五十音順)
氏 名 |
職 名 |
---|---|
川上 憲人 委員 |
東京大学大学院医学系研究科精神保健学 教授 |
木澤 義之 委員 |
日本緩和医療学会(理事長) |
玉腰 暁子 委員 |
北海道大学大学院医学研究院公衆衛生学 教授 |
中谷祐貴子 委員 |
厚生労働省健康局がん・疾病対策課 課長 |
本田 麻由美 委員 |
読売新聞生活部 次長 |
松浦 成昭 委員 |
大阪国際がんセンター 総長 |
松尾 恵太郎 委員 |
愛知県がんセンター研究所がん予防研究 分野長 |
松本 陽子 委員 |
NPO法人愛媛がんサポートおれんじの会 理事長 |
各グループへのご意見と対応案
指摘事項は原文のまま掲載
横断的プロジェクト
課題1:横断的プロジェクトの取り上げる課題について |
|
指摘事項 |
● 横断プロジェクトの設定方法については、長期的、政策的視点も重要であり、さらなる発展に向けて検討してほしい。 ● 「横断プロジェクト」の目標(ミッション)、ビジョン、実行計画を検討された上で、戦略的に推進されるとよいのではと思いました。 ● 「横断的プロジェクト」という名称と合致しているのか分からない。紹介された事例に印象が引っぱられたかもしれないが、政策実現プロジェクトのように感じた。 ● ちょうど、がん対策推進基本計画と健康日本21の中間評価および次期計画策定の支援をする時期にぶつかり、大変ではありますが、この作業を通じて、横断的な取組みがうまく機能していくことを期待しています。 中長期的にどのような横断的取組みを進めていくのが良いか、様々な意見を基に、検討いただければと思います。 国際的な視点も欠かせませんので、国際協力事業も今後、推進して頂くことを期待します。 |
---|---|
対応案 |
がん対策上のニーズがあるテーマのうち、がん対策研究所の長所を生かせるテーマを選び、取り組んでいきたいと考えます。まずは、がん対策研究所が果たすべき役割として、横断的プロジェクトを通して政策提言をしていけるようなプロジェクトから取り掛かっておりますが、今後は、社会のニーズを的確に捉えて組織横断的な取り組みができることを目標としています。 |
課題2:企画室のあり方、役割、仕組み |
|
指摘事項 |
● 研究所全体で課題設定する仕組みは評価できる一方で、過度な負担が特定の研究者に偏らないような配慮は必要と思われる。 ● 企画室の役割について、あまり理解できませんでした。資料には「中堅、若手メンバーを中心に構成」と記載されていましたが、これまでと異なる視点での取り組みなどがなされているのか、今後の活動に期待いたします。 ● 国のがん対策の計画・遂行において、国立がん研究センターがリーダーシップを取っていきたいという思惑が見え隠れする。それはNCとして悪いことではないが、一歩間違えれば患者・国民不在の一昔前のがん対策になってしまう危険性も孕んでいると思う。そのバランスを制御するための仕組みを設ける必要がある。 |
対応案 |
リソースが限られる中で過度な負担とならないことは重要であり、必要な課題を行うにあたっての資源配分や資源獲得は、部署レベルではなく研究所全体のマネージメントを必要とすることであり、どのような体制をとるべきかは議論を重ねていきたいと考えます。 また、ご指摘いただいたとおり、国民不在とならないよう、患者、国民の声を収集しそれに真摯に答える必要性のご指摘は重く受け止めます。外部評価委員会からのご意見も、バランスを制御するための一つの仕組みになると考えています。 |
課題3:組織横断的取り組み |
|
指摘事項 |
● 今まで同じ組織だったのに、共同できていなかったというのが問題であると感じています。より豊かなものになることを期待しています。 ● 組織横断的な研究を実施する体制を強制的に持たざるを得なかったのは残念な事である。 横断的なプロジェクトがどういう形で構成されるのか、明白ではない。頑張って欲しい。 |
対応案 |
これまでの活動を見直し、部専門を生かした活動のみにとどまることなく、より発展的な活動を行っていくよう取り組みます。さらに、横断的プロジェクトを行う中で、スタッフ間の率直な意見交換が行われる環境づくりが副次的な目的です。それによってプロジェクト以外の面でも、個々のアクティビティでの協働が進むこと、それによる研究や事業の質の向上が可能となることを目指します。 |
予防検診グループ
課題1:今後取り組み強化の必要な研究領域 |
|
指摘事項 |
● 患者数が多いがんが優先されるのは仕方ないとしても、子ども、AYA世代、希少がんのリスク要因や予防要因解明にどのように取り組むか、検討してほしい。 ● 患者、家族などの視点を取り入れる取組みを期待します。 ● 小児、AYA世代の二次がんなどに関する研究に期待いたします。 ● 立場上、国立がん研究センターにはすべてのがんの研究が求められます。酷な話になりますが、5大がんを中心とした研究に加えて、どこも手を付けない希少がんの研究も検討して頂きたいと思います。また膵がんのような早く見つけても予後不良なものは予防に、頭頚部がん・腎がんのように早期発見すると予後良好・QOL維持が見込めるがんは検診に研究の力点を置くというような戦略も必要かと思います。 ● 同様の立場で小児がん・AYAがんについても無視すべきではないと考えます。成育医療センター等、他医療機関との連携も含めて検討いただければと思います。 ● がんサバイバーが増えてきて、二次がんも問題になってきました。二次がんの予防・検診の戦略は初発がんとは異なりますので、別の戦力にのっとった研究も商大の課題にして頂ければと思います。 |
---|---|
対応案 |
小児・AYA世代のがん、稀少がんについては、これまで予防検診研究グループとして必ずしも積極的に取り組んできた研究領域ではありませんでした。その理由として、世界的に疾病登録のルールの標準化が遅れており、記述疫学が十分でないこと、がん対策研究所で基盤として保有している研究集団が検診・健診の対象となる中高年日本人であり、小児・AYA世代の研究が範疇に入っていなかったことなどがあげられます。 これらのがんについて今後予防検診研究グループとして取り組んで行くためには、当研究グループとして、また基盤グループとの協働により、さらには6NC連携の中でどのような研究を手がけることが可能か検討していきます。 |
課題2: 情報還元強化への取り組み |
|
指摘事項 |
● 広報をどうするかを考えるのが大切ではないかと考える。 ● 政策立案の前に、情報発信・広報が重要と考えますので、将来課題としてその戦略も検討ください。 ● 出てきたエビデンスをどのように政策につなげるか、がんセンターとして道筋を構築していくことが必要と思われる。 ● 研究成果のアウトプットに問題ないのか。どのようにアウトプットすることを考えているのか。 ● 国民の関心の高いテーマだけに、研究内容や結果について、国民に正確に分かりやすく情報提供していくという点についても、他部署と連携して進めてほしい。 ● 国民のニーズへの対応は容易ではないと思います。行政・患者団体などの意見も大切ですが、これらはある種、利害関係者的な側面があり、調整が必要と思います。経済的な点からの検討も無視できないので、そのような観点も検討いただければと思います。 ● 研究成果を社会へ伝える取組みがやや不足しているように感じます。予防、検診に関しては、民間での科学的根拠の不足した情報も氾濫している状況ですので、これらの研究成果をしっかり伝えることが重要であると考えます。 ● 患者だけでなく将来の患者たる国民参加が必要な部分などの考えについて、明確にしてほしい。検診のあり方、受診の考え方といった部分だけでなく、研究の方向性についても意見を聞くことがあってもいいと考える。 ● 予防研究部 リスク評価の要約の作成は重要ですが、これは国民のがん予防にすぐにでも必要な情報である。事業、あるいはアップデートのスピード感などをどう計画するか検討されるのはいかがでしょうか。また作成した要約情報が、国民が求めている情報や形式になっているかどうかもあらかじめ考慮して研究を進められてはいかがでしょうか。 ● このテーマ(一次予防策や検診の普及)に普及・実装研究グループの関与は必要ないか。 |
対応案 |
多くの委員のご指摘の通り、これまで予防検診研究グループでは、研究成果の情報発信・広報・成果還元の取り組みが、十分ではあったとは言えません。これを改善するためには、これまで部単位、研究班単位で個別に実施してきた情報発信・広報・成果還元の取り組みを、がん対策研究所全体で行っていくことが重要であり、国民にわかりやすい効果的・効率的な方法を具体的に検討していきます。 その中で、予防評価や検診評価など、専門家として評価と情報のアップデートやその発信にはより一層スピード感をもって対応できるよう取り組んでまいります。 研究成果の情報発信や情報還元は、がん対策研究所全体としての取り組みを実施することで、サバイバーシップや普及実装研究グループの関与も期待でき、適切な研究成果の情報発信につながると考えます。 |
課題3: 各研究への指摘コメント、その他 |
|
指摘事項 |
● 発生リスクの中で、集団として対策を立てるべき環境要因(地域差)についても検討する必要がある。 ● 国際比較について、データの比較はもちろん、各国の医療制度等の背景の相違による留意点も含めた分析もお願いしたい。 ● 疫学研究部 海外とのゲノムデータシェアの仕組みの開発について可能性を検討されるのはいかがでしょうか。 ● 疫学研究部と予防研究部の連携は、単なるエビデンスの創出と受け取り以上のものであって欲しいと思います。 ● 部毎のアウトプットがちゃんと見えるような資料をお願いします。 |
対応案 |
がんの疾病負荷や危険因子の地域差や国際比較について、社会的背景などを含めてより詳細な検討を行っていきます。 ゲノムデータの海外とのシェアリングについては、NCCとしてはJPHCのバンク化・シェアリング計画を実行に移すことで対応したいと考えます。 疫学研究部と予防研究部は、両者の従来の役割をこれまで以上にシームレスに捉え、連携をさらに強化させることにより、新たながん予防法開発につながる研究への展開を目指します。 部毎のアウトプットが見えるよう資料を改善します。 |
基盤グループ
課題1:他部への周知不足 |
|
指摘事項 |
● 各部の専門性が高い分、他の部から研究内容が理解されにくいのではないでしょうか。定期的な所内セミナーなどにより、情報提供を積極的に行うことを期待します(発表内でも触れられておりましたことですが)。 ● (部共通で)できるだけいろいろな部門との共同研究、がん対策研究所全体との交流・連携も展開して頂きたいと思います。 |
---|---|
対応案 |
ICCで活用できる研究基盤を組織全体に周知するため、ご提案のようなセミナー(ICC研究セミナー、研究所リサーチカンファ、オープンキャンパスなどでの発表)や、センター内ポスター掲示などを積極的に進めて、共有の基盤であることを周知したい。 |
課題2:基盤整備のみに終始してしまうことへの懸念と評価方法 |
|
指摘事項 |
● 今後のことだが、進捗や評価の出し方がどうなるのか。「こんな基盤を作った」といったものだけでなく、どう役立っているのか、役立っていくのかという視点も出して欲しいと感じた。 ● 基盤形成は評価しにくいものかと思いますので、どうやっていくか考えていってほしいです。(目にみえないので) |
対応案 |
成した基盤の周知のための試みや、実際に基盤がグループ外にも共有されて研究や事業のプロジェクトが推進されているかどうかを可視化する、あるいは可能なものは数値化し、それらをグループの評価基準とすることで対応したいと考えています。 基盤の利活用を実現するには、利活用の具体例を示すことが必要であるが、ICCがまずその口火を切り、利活用法を見える化することでICC外、NCC外への利活用にも発展させていきます。 |
課題3:基盤が属人的になることへの懸念、取り組む課題について |
|
指摘事項 |
● 研究基盤であるのに、研究者に帰属する感じが矛盾するように思います。 ● ELSI、PPIなど患者主体的な活動について推進が必要 ● 特にELSIについては、患者や家族など当事者の視点を取り入れた研究についてご検討いただきたく思います。 ● 社会的弱者に対する研究ガイドラインは大きな問題→ガイドラインを出してほしい ● 生命倫理・医事法研究部:取り組まれているトピックは必ずしもがんでは無く、「がん」対策研究所としてどうしても必要な部門かどうかは考える余地があるのではないか?大学等が持つ機能のような印象。 ● 部毎のアウトプットがちゃんと見えるような資料をお願いします。 |
対応案 |
研究基盤が有益なものであるためにはそれが研究の一環として・研究の延長線上で整備されるべきものである一方で、整備する研究基盤が特定の部や特定の研究者に帰属し、持続可能性が低い状況を回避するため、ICCの「資産」として抱え込むのではなく、センター全体で共有することを心がけるとともに、ICCとして人的リソースの確保に努める。課題1への対応と重なるが、共有のために積極的な情報公開をし、研究での競争や権利、個人情報保護には配慮しつつ、共有のメリットを最大化できるような仕組を検討していく所存です。 取り組む課題については、がん対策研究所であること、また、他の倫理原則を保ちながら、ELSI, PPIの活動を検討しつつ、設定したい。被験者や治療法の無い患者あるいは研究がほとんど手付かずの疾患患者のニーズや思いを汲み取る・把握する、といったことは研究倫理/医学研究のELSI研究では必要であると考えています。 |
事業グループ
課題1:科学的根拠に基づく政策提言につながる情報発信の強化 |
|
指摘事項 |
● 国のがん対策の方向性を考える上での、科学的根拠に基づく政策提言につながる情報発信を、他部門の成果なども含め、強化してもらいたい。その際、国民にも分かるよう情報発信に工夫をお願いしたい。 ● 医療費等経済的視点も入れたヘルスサービスリサーチを進めてほしい。 ● 患者体験調査・遺族調査を続けて欲しい(他疾患データとの比較を出していることは国全体を考えたときに大変評価できる) ● 科学的知見で政策評価を行うのは大変重要ですので、今後、力を入れて頂きたいと思います。 |
---|---|
対応案 |
横断プロジェクト等を通して、国との密接な連携をとり、内外のがん対策の状況を常に監視して、政策に繋がる科学的データを常に考え、優先度をつけて、対処していきます。 |
課題2:精度の高い全国がん登録の維持と活用の推進 |
|
指摘事項 |
● 精度の高い全国がん登録が構築された。これを維持する必要がある。 ● 全国がん登録の利用の実績を評価する仕組みが必要。がん登録法の設立趣旨に則った運用がなされているか外部評価も含めて必要ではないか。利用者からの提供に関するフィードバックを生かすような制度設計がなされているようには思えない。 ● 全国がん登録をクラウドで実施する、という部分は個人情報保護的に大丈夫なのか? |
対応案 |
全国がん登録の運用の課題を整理して、制度の変更について、提言していきます。 医療機関・都道府県の意見を聞き、がん登録の精度を保ちながら、効率化に資するシステム改修を検討していきます。 情報活用に関する情報提供を強化について、検討していきます。 医療情報をクラウド上で管理すること自体は国としても推進をしていますが、細心の注意を払いつつ運用していきます。 |
課題3:情報提供の強化 |
|
指摘事項 |
● どこでがんを診断されても安心して質の高い治療・ケアが受けられるよう、支援をさらに進めてほしい。 ● がん情報サービスは非常に重要なインフラであり、それを維持できる仕組みを持つ必要がある。 ● がん情報サービス:見た目はきれいなサイトになったが、使用感は前の方が良かったように思う。 ● 国際化の視点も必要で、国際的な情報発信を検討ください。 ● データ提供にも取り組んでいる。戦略的な広報については一緒に考えたい(SNSやメディア勉強会など)。特に子どもたちに向けたがん(健康)教育の充実が必要であり、文科省とも連携して教育時間の確保、ツールの開発、人材育成等に取り組んでほしい。 |
対応案 |
がん情報サービスが、質の確保とタイムリーな更新に対処しながら、新たな要望に応えるために、国立がん研究センターがん対策情報センター本部会議で検討を進めていきます。 |
支持療法・サバイバーシップ研究グループ
課題1: 多様な研究課題を扱う上での、研究支援組織の優先課題の選定、プロセス、全体方針について |
|
指摘事項 |
● 研究テーマは大変多岐にわたっており、それぞれ必要性は分かるが、これから何をどう進め、成果を上げていくのかといった全体方針が分かりにくかった。 ● 多様な課題を担当されているので、優先課題の順位づけ(マップづくり)、進捗状況の管理など、部門の活動状況の可視化を図られるのがよいかと思いました。 ● この部門の研究に、人材、資金のより集中的な投資をすべきかと感じました。 ● 全体:良い意味で「がん」の枠を超えている事が、NCCの枠組と合っているか?どういう視点で今後うまく行っているかを評価するのか? |
---|---|
対応案 |
・多様ながん対策課題解決に向けて、国がん開発費支援による日本支持療法研究グループJ-SUPPORTとJH支援による実装科学研究グループN-EQUITYの中央研究支援機能を介入開発研究のハブとして活用し、競争的資金を得てオールジャパン体制でエビデンスを創出し対応していく方針です。しかし、その機能には限りがあることから、介入課題の選定に際しては、国の方針、科学性、インパクト、実装可能性、研究チームの質を勘案し、中央研究事務局が外部研究者の支援を行う優先課題研究、および各部が最優先して自ら実施する研究を厳選し取り組みます。 ・評価として、全国サーベイランスデータの推移に基づくアウトカム・患者のQOL改善を真のエンドポイントに置きながら、中間指標として研究・試験数、ガイドライン導出数、実装科学研究・試験数を置いています。 |
課題2: 各部の優先課題と限られたマンパワーについて |
|
指摘事項 |
● 部毎のアウトプットがちゃんと見えるような資料をお願いします。 ● 医療提供・サバイバーシップ政策研究部は全体の中の位置づけはわかりましたが、具体的な内容の紹介はなかったように思います。支持・サバイバーシップTR研究部との線引きはしにくいかもしれませんが、それぞれ方向性が異なると思いますので、こちらの研究にも力を入れて頂ければと思います。がん治療が長期化して、支持療法に加えて、患者さんの日常生活の支援が適切にされているかどうかの検討も必要です。 ● 検討項目には入っていたと思いますが、外見からアピアランス、食生活から栄養、就労・就学(若い世代)なども中心的に検討するかどうかは別にして何らかの形でかかわって頂ければと思います。メンタルケアもさらに検討を充実させてください。 ● 限られたマンパワーの中では、研究の優先順位を決めるルールを検討し、オーソライズしておくことも必要と思われる。三部とも内富先生が部長という構造は不健康であり、マンパワーを早急に強化することが求められる。 ● 支持・サバイバーシップTR研究部:プロジェクト数と研究員の数がアンバランス。 |
対応案 |
・行動科学研究部は、最優先して自ら実施する研究として職域喫煙対策に関する実装研究に集中して取り組んでいます。同時に、多様な実装の課題を解決するため、N-EQUITYの事務局を担当し、オールジャパンの専門家による優先課題の提案とその研究実施支援を開始し、そのプロセスをHPで公開しています。 ・支持・サバイバーシップTR研究部は、最優先して自ら実施する研究としてアドバンスケアプランニング(ACP)、高齢者・AYA世代がん患者の意思決定支援、自殺対策に集中して取り組んでいます。特にサバイバーシップケアの中で、医療でカバーされる課題のうち解決が難しい課題の開発に焦点を当ててきました。同時に、支持・緩和・心のケア開発に関する多様な課題解決のため、J-SUPPORTの事務局を担当し、オールジャパンの専門家による優先課題の提案とその研究実施支援を行いHPで公開しています。 ・医療提供・サバイバーシップ政策研究部は再整備中のため具体的内容を紹介できませんでしたが、サバイバーシップの中でも、早期がん、長期サバイバーの日常生活や就労、地域連携に焦点を当て、医療でカバーできない社会実装課題にこれまで取り組んできました。今後、医療でカバーできない課題(二次がん予防、外見、食生活、就労・就学など)を包括的に扱うサバイバーシップケアプランニングの開発が優先課題と言えるので、国がん開発費によるガイドライン研究班、新サバイバーシップ研究班で取り上げていく予定です。 ・行動医学は日本のがん医療においてようやく注目されるようになりましたが、研究者が希少で全国的にアンバランスな状態が続いています。連携する大学院を増やし研究者育成に取り組みます。 |
課題3: 患者・市民参画:PPIについて |
|
指摘事項 |
● 特にJ-SUPPORTにおいてはPPIが進んでいますが、研究計画の段階から参画できるようになることを期待いたします。
|
対応案 |
・J-SUPPORTでは、1)計画書の審査段階、2)研究成果報告段階だけでなく、3)最初の研究計画書の作成段階から患者・市民の参画を実践しています。また、PPIによる研究戦略作成に取り組んでいます。今後は、N-EQUITYを通じて予防、医療、共生全体に研究計画段階からのPPIを推進します。 |
課題4: 普及と実装について |
|
指摘事項 |
● 支持療法についての研究成果が見られるのですが、実際の臨床現場には届いていないと感じます。実装に向けた取組みが一層進むことを期待します。 ● MRC Guidelineでもそう考えられていて、研究デザインの時に、はじめからimplementation scienceを考慮した介入を考えられているか。 |
対応案 |
・エビデンスがあるにもかかわらず臨床実装されていない支持療法の代表例として、制吐剤普及の阻害要因や促進要因の検討を行っています。今後も、他の支持療法の阻害要因調査研究の実施を行います。 ・研究デザイン段階から実装を見据える必要性を認識し、J-SUPPORT研究は研究計画審査の際に、臨床実装の視点を評価項目に含み審査を行っています。 |
課題5: 国際化、連携について |
|
指摘事項 |
● 海外の専門家がチームに入っているので、国際化の視点を取り入れたり、国際共同研究も検討して頂ければと思います。 ● がん相談支援センターの評価はこのグループではしないのでしょうか?がん診療連携拠点病院にがん相談支援センターが作られ、様々な業務を担当していますが、その評価についてどこかがする必要があると思います。相談支援、特に就労支援などはちゃんと動いているかどうかなどの検証が必要なので、是非検討いただきたいと思います。 |
対応案 |
・これまでに、薬ではない行動変容介入、例えばコミュニ―ション介入の開発を、医療制度や文化の違いがあり困難はあるものの東アジアで行ってきました。また、N-EQUITYの国際保健研究グループががん対策介入の実装研究を行っています。 ・がん相談支援センターの活動の評価・検証・対策等については、がん情報提供部が、都道府県がん診療連携拠点病院連絡協議会 情報提供相談支援部会等を通して、実施していきます。 ・就労支援のモニタリングが患者体験調査で扱われているので、医療提供・サバイバーシップ政策研究部は引き続き注視していきます。 |