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所長ごあいさつ
がん対策研究所の新たな章

国立がん研究センターがん対策研究所は、2021年9月に公衆衛生学・社会医学研究とがん対策事業を牽引する専門機関として開設されました。そして2025年4月より二代目所長として舵取りを担うことになりました松岡豊と申します。どうぞよろしくお願いいたします。
現在、2040年問題として知られる急速に進行する超高齢社会、ゲノム医療等の革新的な医療技術の進展、政府による医療DX実現に向けた取組、欧州による新デジタル戦略Web4.0の提案や生成型AIの実装など、われわれを取り巻く外的環境は時々刻々と変化しています。このような時代背景の中で、がん対策およびがん情報に対する社会のニーズは急速に高度化・多様化しています。これらのニーズに応え、患者市民参画と政府のエビデンスに基づく政策形成(EBPM)への積極的関与を促進し、課題解決に向けた政策提言につなげる研究・事業の推進が求められています。リスク層別化に基づく1次予防やサバイバーシップ支援の推進、公的資金を基に収集された健康・医療データの利活用推進、情報提供・相談支援におけるデジタル技術の活用に注力したいと考えています。
がん対策研究所の源流は、有効ながん予防・検診法の研究開発を使命として2004年に設置された「がん予防・検診研究センター(2016年、社会と健康研究センターへ改称)」と、「がん対策推進アクションプラン2005」を受けて、2006年に設置された「がん対策情報センター」にあります。研究部門では、がんの一次予防、二次予防(がん検診)、三次予防(がんとの共生)に至るまで、エビデンス創出から評価、ガイドラインや予防法の作成、政策実装に至る広範な研究を進めています。また、国際政策、生命倫理・医事法、生物統計の専門グループが、これらの研究基盤を支えています。一方、事業部門では、国民に対する確かな情報提供をはじめ、がん専門相談員や医療従事者等への研修、病理診断コンサルテーション等によるがん医療支援、診療の質評価指標の作成、患者体験調査および遺族調査、全国・院内がん登録の推進に取り組んでいます。さらに、シナジー効果をもたらす組織横断的プロジェクトも成果を出し始めています。研究・事業の両面において、「自分たちの仕事がどのような概念の革新をもたらし、がんを取り巻く社会を変えるのか」という理想の未来像を共有し、研究と事業が一体となって、研究開発から政策実装までを一貫して取り組める、強く健全なチーム創りを進めていきます。
がん対策研究所の理念は「すべての人が、健康と尊厳をもって暮らせる社会を実現する」ことです。この理念実現に向け、職員一同の総力を上げて、新たな礎となる科学的エビデンスを創出し、それをがん対策につなげてまいります。また、確かながん情報とエビデンスをすべての国民に届けるため、国立がん研究センター各部局や国内外の関連機関とも積極的に連携してまいります。がん対策研究所へのますますの温かいご理解とご支援を賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。
国立研究開発法人国立がん研究センター
がん対策研究所長 松岡 豊