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2024年度 外部評価委員会 評価結果

概要

2025年3月17日がん対策研究所外部評価委員会が開催され、事前に各部の活動内容、業績に関する資料を送付し、当日は、評価対象となった部、および、横断的プロジェクトにおける、研究・事業進捗、成果についての口頭発表を行い、外部評価委員から評価が行われた。指摘事項については、2025年度以降、松岡豊所長を中心に対応の検討を行う。

評価事項

評価事項

担当者(2024年度)

全体について

 

 

検診研究部

部長

中山 富雄

検診開発研究部

部長

小林 望

生命倫理・医事法研究部

部長

松井 健志

データサイエンス研究部

部長

片野田 耕太

がん登録センター

センター長

松田 智大

横断的プロジェクト

副所長

井上 真奈美

外部評価委員会名簿(五十音順)

氏名

職名

飯野 奈津子

山梨大学 客員教授

木澤 義之

日本緩和医療学会 理事長

櫻井 公恵

NPO法人GISTERS 副理事長

玉腰 暁子

北海道大学大学院医学研究院社会医学分野 公衆衛生学 教授

鶴田 真也

厚生労働省 健康・生活衛生局 がん・疾病対策課 課長

松浦 成昭

大阪国際がんセンター 総長

松尾 恵太郎

愛知県がんセンター 研究所がん予防研究 分野長

安村 誠司

福島県立医科大学 放射線医学県民健康管理センター センター長

全体、各部へのご意見と対応案

注:指摘事項は一部表現を修正し掲載

がん対策研究所全体、評価についての課題

指摘事項

1
  • それぞれの部門がどこに目標をおき、今はどの段階なのか、自己評価も含めて提示してくれると評価しやすい。研究成果を生かして社会をどう変えていくのかというところまで視野に入れて、目標を立ててほしい。
  • 研究所としての取り組みや研究成果を広く社会に広報・フィードバックし、更に社会を動かしていく動きを作っていただきたい。研究所としての成果報告会や研究発表会を開催することを提案する。またたくさんの論文も出されているが、せっかくの一覧が羅列となっているのがもったいなく、市民にわかりやすいものとして公開するなど成果の見える化を希望する。
2
  • 評価項目も工夫が必要。人材育成、教育なども重要な指標だし、患者・市民参画も指標になりえるのではないか。
  • この評価項目であるが、がん対策研究所のミッションから考えると、新規性はあり、重要な課題なのか、社会に貢献する重要な課題かを明らかにしてほしい。
  • 人材育成が進められているか、進捗が順調かは総合評価の前を提案したい。

3

  • 重要な取り組みばかりだが、人員体制が不安。もっと人を増やすことができないのか。研究所の取り組みの重要性をもっとアピールすべきではないかと感じた。
  • 検診研究部と検診開発研究部の例のような整合性がとれていないように見える部分に関しても研究所としては統括しているような部分が分かるようにして頂きたい。

対応案

1

  • 各部がロードマップを示し、目標と達成地点を明確にする必要があるとのご指摘ととらえ、今後の評価の際にこの内容を含めるようにいたします。
  • がん対策研究所としての取り組みや成果に関する情報発信・社会を動かしていく活動については、まず外部評価委員会後に立ち上げたホームページ発信強化の取組を進めながら有効な手段を具体的に検討してまいります。

2

  • 評価項目についてはご指摘内容の追加も含め、改善してまいります。

3

  • ご意見ありがとうございます。人員体制については、様々な事業や研究において適切な配置ができるよう、がん対策研究所長のもとに迅速な対応を図ってまいります。その際、各部の整合性についても適切に検討を進めます。

検診研究部

指摘事項

1

  • 研究成果の発表は重要であるが、業績があまり示されていない。ホームページを見ると研究業績は2024年度の記載はされておらず、政策提言も新規のものはない。ガイドラインには大腸がん検診ガイドラインのみで肺がんガイドラインは見当たらない。「科学的根拠に基づくがん検診推進のページ」に「お知らせ」として活動報告がされているが、研究成果を発信する所も作ることが望ましいと考える。
  • 研究業績のより積極的な発信をして欲しい。
  ・前立腺がんガイドライン(2008年版)
  ・胃がんガイドライン(2014年版)はデータ古いのではないか
  ・子宮頸がんガイドライン(2019年版)で良いのか
  ・大腸がんガイドライン
  注:各ガイドラインの改定については、国との協議とのことだが、積極的に発信していくべきではない。
2
  • 子宮がんパンプレット:資材開発がすばらしい。実際の効果を質的・量的に明らかにしてもらいたい。
3
  • 胃・大腸・肝・肺・子宮頸
  • がんの検診が実施されているが、開始時から時間が経過し、がん種の分布もずいぶん変わったので、新たに増えてきたがんに対する検診も考慮する時代になっているのではないかと考える。その観点についての研究も考えて頂きたい。
4
  • がん検診の実態把握には職域の課題により難しそうであるが、どのように進めていくのか気がかりである。新しく導入されたがん検診を含め、精度管理の均てん化のためには受診者以上に健診を行う主体の自治体や保険者への働きかけを進めてほしいという期待がある。
  • 職域でのがん検診に関する情報が国としてモニターできないことをしっかり把握し、地道な努力を行っている事がうかがわれる。もっと高度なレベルでの、この努力に対するアシストが必要である。職域のがん登録に関して、地道な努力以外に他の手が無いかを引き続き検討してもらいたい。
5
  • 75歳以上の高齢者の検診のあり方についても、エビデンスに基づく方向性を示してほしい。
  • 財政的にも人材的にも厳しくなる中で、正しい検診を正しく行うことの重要性を自治体にどう理解させるのか。根拠法のない職域検診をどう充実させるか。障害者や高齢者の検診についても、エビデンスづくりとともに、社会を動かすために戦略も同時に考えていく必要があると痛感する。
  • 今後、精神障害者や外国人の健診についても考える必要があると感じた。
  • 「年齢差別」にならないような検診のあり方の研究を進めて欲しい。対象年齢の検討をお願いしたい。

対応案

1

  • 研究業績のリアルタイムの更新ができておりませんでした。今後は迅速に対応いたします。また政策提言に関しましては、検診研究部が発表を予定していた厚生労働省の検討会が中止になるなどのスケジュールの問題もございました。研究成果を発信する部分も併せて作成いたします。
  • 肺がん検診ガイドラインに関しては、4月に完成版を公開したため、ドラフトも含めて3月中は閲覧中止にしておりました。研究成果を発信するページも作成いたします。
2
  • WEBで理解度調査を行った分については、現在論文作成中です。まだHPV検診を行っている自治体が乏しいことから、実際の効果についての検証は2027年頃を予定しています。
3
  • ご指摘のとおり疾病構造の変化で、罹患率の低下により検診をやめる臓器またそのタイミングについて適時検討しています。膵がんのように死亡率が目立ち始めているがん種については、精密検査や治療法の侵襲性・リスクが高いことから、まずは安全な精密検査・治療法の開発が急務と考えますが、それまでの間に精度評価が可能か検討していきます。

4

  • これまで自治体の担当者向けのe-learningは行ってきましたが、地域の医師向けの教育が不可欠と考え、研修のあり方について検討しています。保険者に関しては、開発研究費で作成した教育動画を公開していますが、保険者への周知・視聴率を上げる策を検討していきます。
  • 職域のがん検診に対する別のアプローチに関しては引き続き厚生労働省とも協議を続けていきます。

5

  • 高齢者のがん検診に関しては、過去の厚労科研で数理統計モデルによる大腸がん検診の検討を行い方向性を示してはいますが、厚労省の検討会で検討した結果、対象年齢としての上限を設ける結論には至りませんでした。引き続き他の臓器にもエビデンスとしての検討は進めていきます。
  • 自治体の問題は検診担当者よりも首長や地区医師会の理解不足と考えています。地域の医師向けの教育の方法について検討をしていきます。
  • 精神障害者に対するがん検診を検討している厚労科研稲垣班と共同で研究を進めています。外国人については今後多国語に関する資材開発について、がん情報サービスとともに検討していきます。
  • 高齢者に利益/不利益バランスを自分事として理解していただくことは難しく、感情的な反応を招きます。対象年齢を含めた検診のあり方の研究なども検討していきます。

検診開発研究部

指摘事項

1
  • 検診開発研究部の使命として「がん検診に応用可能な新たな診断技術の開発と検診への応用可能な既存の診断法の評価」があげられているが、この点からの研究と言う意味では少し弱い印象がある。そもそもこの研究部の構成メンバーが2名でいずれも病院の検診センターと併任という組織体制は妥当なのか。専任メンバーを含めた人的資源の投入が必要と考える。
  • 人が重なっている以上分離が難しいことは十分に理解できるが、検診センターの取り組みと研究部としての取り組みのすみ分けがわかるようにすることを望む。
  • 検診開発研究部と検診研究部で行っていることは違うが、重なる部分もあるように感じた。この2つの部の連携や整理が必要かもしれない。
  • 部長が病院との兼務であるが、十分なエフォートはあるのか。
  • 今後の課題もよくわかったが、病院検診センターと併任の部長と研究員の2人体制で大丈夫か心配になる。
2
  • ホームページでの発信は重要と思うが、あまり整備されていない。成果や業績の欄はなく、記載も古いのではないか?
  • 情報発信の視点で、ホームページ上で進捗がよくわからない。
3
  • 部スタッフの専門性から仕方ない点ではあるが、新しい検診技術の開発が大腸がんのみである。他のがんへの取り組みが見えないがやらないで良いのか?他のがんにも力を入れるべきである。
  • 検診研究部がC判定を出しているものに関して進める状況は少し奇妙に見える。人間ドック的なものを目指すのであれば、その意味合いを出すなど、整合性を考えてほしい。
  • 大腸がん以外への取り組みはどうなのか。部の方針(というか国立がん研究センターの方針)であれば結構だが、他領域の研究をすすめていただきたいと感じた。
  • 対象が大腸がんのみとなっている事は、がん対策研究所のスコープとしては狭いと考えられる。どう拡げるかに関して検討する必要がある。
4
  • 大田区での取り組みで「構想中」とのことであるが、進捗はどの段階か。具体的なスケジュール、いつまでの記載がないのは不適切。実行可能性はどの程度か。

対応案

1
  • 人的資源に関しては、他の部署と同様に十分とは言えない状況が続いておりますが、新年度から併任メンバーを増員することにより少しずつ充実を図っております。専任メンバーの配置につきましては長期的な視野で取り組んでいく所存ですが、がん対策研究所の常勤職員定数の中で運営していることから全体最適化の中で検討してまいります。なお、臨床的な知識が求められる研究職という特性から、臨床医を専任の研究者として確保するのは、給与等の待遇が大きく違うことから難しいと考えております。逆に、臨床医が検診研究部とは異なる視点で機器の評価や開発を中心とした研究を行っていることが、検診開発研究部の特色と考えております。

2

  • 人的資源の問題もあり、ご指摘通りホームページの更新が十分にはできておりません(現状では部長がそれを担当することになってしまいます)。然るべき人材確保を前提に、改善に取り組みたいと考えております。

3

  • 新規機器開発に関しましては、他の研究者から持ち込まれたアイデアを評価する体制となっており、がん種を限定せずに取り組んでおります(現在もマンモグラフィにおけるAIを用いた乳がんリスク評価に協力していますし、複数のがん種に対するリキッドバイオプシーの研究も行ってきました)。一方で、我々が主体となって行う研究は、各がん種を広く浅く扱うよりも、大腸がん検診に集中して行い、そこで得られたものをがん検診全体に還元するほうが限られた人的資源の中では効果的であると考え、そのような戦略を選択しております。大腸内視鏡検診は推奨されておりませんが、今後推奨される可能性は十分にあり準備が必要であることと、最も侵襲度の高い検診となることからその実施体制(対象者の選定、精度管理、検査歴の把握など)を厳密に構築する必要があり、それに向けた取り組みは、結果的に他のがん検診の体制整備にもつながることから最優先課題と考えて取り組んでおります。
4
  • 行政、医師会の協力のもと、大腸内視鏡検診に関する現状調査までは実施しましたが、その次の段階(実際の介入)に進む上で、行政との話し合いが難航しています。予算や人員の問題を解決しつつ、まずは可能な範囲内で取り組みを継続することを検討しており、検診に対する意識調査や便潜血検査の郵送法に関する検討などを計画しております。行政を相手に具体的なスケジュールを決めることは困難ですが、もし進捗が見られなくなった場合には、他の自治体への乗り換えなども検討いたします。

生命倫理・医事法研究部

指摘事項

1
  • 今年度、胎児治療、PDXモデルが研究の中心であったと思うが、ホームページに記載されているように臨床試験・ゲノム研究など研究テーマは広範で重要なものがたくさんあり、その分野の研究も考えて頂きたい。
  • 現在、ELSI→RRIの方向が、日本でも調査研究を推進する上での考え方にあるとの視点での取り組みについて整理した考え方を示して頂けるとありがたい。
  • 胎児治療も重要だが、ほかにも生命倫理が課題になる分野も多い。どのように研究に優先順位をつけているのか、よくわからなかった。
  • 困難例に関する研究倫理コンサルテーションなどに取り組まれているともっと良いのではないか。
2
  • 生命倫理・医事法研究部は今後、重要な分野であり、研究テーマも広範にわたることから、人的資源のさらなる投入が必要と思う。
  • 生命倫理分野の研究は海外に比べて日本は立ち遅れているように感じる。体制を強化して研究対象を広げ、さらなる取り組みが必要ではないか。
  • 部を支えるスタッフ数が少なすぎる。
  • 部長単独でやっている状態はあまり望ましくないと考えられる。

3

  • 直接的にがんの予防・診療・研究に関わらないELSI分野への取り組みを研究所全体としてどのようにとらえるかを検討する必要がある。
  • 研究倫理について小児・胎児領域の研究により重きをおかれているように見えるが、その他の領域についてはナショナルセンターとしてどう取りくむのか。

4

  • ホームページでは、研究プロジェクトの記載が、タイトル項目だけになっており、情報発信が不十分である。
  • 情報発信をいかにすすめていくか、検討が必要。

対応案

1

  • 臨床試験やゲノム研究などは、国内においてもこれまでにもある程度、ELSI研究の蓄積があるテーマであり、実際、当部でも多数の研究成果を報告してきています。一方で、小児・胎児領域やPDXモデルのELSIについての研究はこれまであまり/ほとんど手が付けられてきていないテーマであることから、研究倫理として現時点では優先して取り組むべきテーマであると考えています。
  • 研究倫理コンサルテーション(実践)については、研究支援センター(CRAS)生命倫理部の所管事項であり、当部は関与しておりません。

2

  • がん対策研究所の常勤職員定数の中で運営していることから全体最適化の中で検討してまいります。
  • 当部人員が部長単独であることから、部の運営維持管理に係る経費を確保・維持するためにも常に部長一人で外部競争的資金を継続して獲得していく必要があります。しかしそうすると、獲得した外部競争的資金に基づいて進めているテーマ以外の研究にはまったく手が回らない状況となっています。
  • 当部としても、部の運営維持管理に係る経費を、必ず当たるものではない部長単独で獲得した外部競争的資金にのみ依存しているこうした現在の状況は、部の運営上も不健全であると考えています。部長以外の人員が補充されれば、こうした不健全な部の運営も多少は改善されるものと推察します。

3

  • 当部が所管する研究倫理の研究領域は、そもそもが「がん」等の個別領域に特有・独特の問題というよりも、「がん」や循環器、小児、精神神経をはじめとする他領域を含めた医療研究開発全体に通底する基盤的な課題に関わるものが主となります。しかし、そこで検討された内容や研究成果は、「がん」領域にもいずれ還元され得る内容であることから、各NCに割り当てられた個別領域に限定することなく、ナショナルセンター全体としてわが国の医学研究政策上も必要とされているELSI研究に積極的に取り組むことも大きな役割と考え、推進していきたい。
4
  • 人員が著しく不足していることもあって、特任研究員や部の秘書を雇用しようとすると、その人件費を調達するためには大型の外部競争的資金を得るほかなく、しかし、大型の外部競争的資金を得ると、各研究の運営・実施で手一杯となり、部全体としての情報発信にまでは手が回らない状況がずっと続いています。情報発信も含めて、部の運営維持管理に最低必要となる人員(秘書)の確保・維持の方策については、引き続き検討していきたいと思います。

データサイエンス研究部

指摘事項

1
  • データサイエンス研究部のミッションとして「がん予防・早期発見のあり方について政策提言に資する研究」があげられており、たばこ対策についての研究は優れた内容と思うが、最終的に政策提言に結び付くのが望ましいので、その点についても考慮頂きたい。
  • 「たばこ対策の影響評価」は多面的にやられている評価に踏まえ、今後もより具体的な政策提言が欲しい。
2
  • タバコの問題は重要であるが、それ以外のリスク要因についての検討も進めていただきたい。
  • たばこ対策の自治体・職業支援として、学会誌で、アクションプランの編集・著者として作成したことは評価できるが、取り組みとしては、物足りない。引き続き拡大していってほしい。
  • たばこ対策に次ぐ、影響力のある政策提言に関わる研究を期待したい。
  • 飲酒、運動に対する介入をどう考えているについて、説明がほしい。
3
  • 活動状況の発信手段としてホームページは重要と思う。データサイエンス研究部のホームページには研究成果を述べる所がないので(業績論文欄はあるが)、成果の発表も考えて頂きたい。

4

  • 人員構成を見ると特任研究員は連携大学院からの派遣と思われる。国民に発信する業務も含めてこれだけの仕事をこなすには、現状のデータサイエンス部で専任の研究員としては少なく、もう少し人的資源の拡充が必要である。
  • 人員の交代が多いように見受けられる。原因を明らかにし、対策を取る必要があるのではないか?

5

  • 「がん地理情報システム、部位は全+4(乳房見えない)のみであるが今後の拡大の可能性も期待したい。
  • 医療経済という視点でのがん対策の分析について期待している。
  • がん死亡率の社会格差などは関心のあるテーマ。さらに研究をすすめ、わかりやすく情報発信してほしいし、政策提言につなげてほしい。

対応案

1
  • 具体的な政策提言については、がん対策研究所だけでなく、研究班や学術団体が協働しながら実施するものと考えております。たばこ対策については、改正健康増進法が5年後の見直しの時期に当たりますので、研究班、学術団体などと協働して政策提言をする予定でおります。

2

  • 現在の活動は、日本人のがんの疾病負荷への寄与の大きさで優先順位を付けながら実施しております。たばこおよびHPVは日本のがん予防の優先順位が高いという認識の下でこれまで重点的に研究・政策評価などを実施してきました。今後は飲酒や身体活動などについても検討していきたいと考えております。
  • たばこ対策のアクションプランについては、学会誌での公表に加えて、研究班、国立保健医療科学院、日本健康教育学会などで研修やワークショップの企画の他、他の学会とも協力し、普及活動も拡大していきたいと考えております。

3

  • 貴重なご提案ありがとうございます。弊部の活動は部として完結しているものというより研究班や学会などと連携して実施しているものですので、部の一次的な成果として提示できるものは限定されてくると思いますが、他の部署の例と同様に、「プロジェクト」のページに成果の概要と一次資料へのリンクなどを掲載する方向で検討したいと思います。

4

  • 人員については補充が必要であることを認識しております。一方において、部の人員だけでなく、弊部がハブとなって外部の研究者の活動を取りまとめる役割も重要だと考えております。そのような取りまとめの役割を担える人材の拡充をがん対策研究所全体のバランスの中で検討したいと考えております。

5

  • 「がん地理情報システム」は、死亡データについては公表値を使用しておりますので、主要部位の中でも女性乳房、子宮頸部・体部など一部利用ができないがん種があります。罹患データについては二次利用申請で入手したデータを用いているため、これらについても掲載をしております。
  • 医療経済の視点が重要であることを弊部としても認識しております。IARCとの共同研究としてHPVワクチン男性接種の費用対効果分析を進めているところです。
  • がんの健康格差研究については、公的統計の突合データを用いた研究を進めており、今後データの精度を上げた形で成果を出し発信していく予定です。

がん登録センター

指摘事項

1
  • 業務が中心の部署なので、容易ではないかもしれないが、オリジナルな視点からの論文業績も発信して頂きたい。
  • 業務が中心の部として発足しているが、研究的な取り組み(論文公表等)も積極的に進めてほしい。
  • PowerPointの「実績」及び資料3の記載がプロセスの評価/アウトプット評価でアウトカム評価を知りたい。
  • がん登録のデータ基盤を強化して、膨大なデータを分析して政策に活かせるよう、さらなる取り組みを期待したい。
2
  • ホームページでの発信は重要だが、今年度のがん登録センターの活動や成果報告についての記載はなく、今後発信してほしい。
  • ホームページで院内がん登録は詳細だが「全国がん登録の標準化と支援」の記載少なく、問題ない、との判断で良いのか。支援は、十分か?精度向上は推進できたか?の記載を全般的にお願いしたい。
3
  • 組織改革、人材登用など進めるとあるが、これによって何がどう効率化され何が改善されるかよくわからなかった。

4

  • 研究利用に関して、柔軟な利用を可能とするための努力を続けていただきたい。

5

  • 全国がん登録、院内がん登録を一連のがん登録情報として、扱えるような状況の構築を期待する。

対応案

1

  • 委託業務を遂行することは必要最低限で、公表するがん統計の解釈方法を提示するという意味でも、記述疫学研究を率先して進めるべき部署であると考えております。現状の人員でも無駄な事務作業を簡略化して研究に充てる時間を作ることは可能であり、実現できるよう努めます。
  • ご指摘のとおり、アウトカムの指標をきちんと設定できていませんでした。標準化、迅速化等についても、極力数値化した指標を設定して業務に当たるようにいたします。
  • 膨大なデータ基盤の整備は、日本としての使命でもあり、国立がん研究センターとしてそれを牽引する矜持をもって取り組みます。

  • 上述の研究成果も含め、実績をホームページで発信するようにいたします。
  • ホームページの更新も室単位で部署全体の連携がなく実施されていたために、全体方針がなく、内容の粒度も更新頻度もばらばらでありました。実施した組織改編に基づいてウェブ更新も全体を統括して行います。

3

  • 部署の室構成と、各職員の業務が属人的に細分化、専門化されていたために非効率で多くの弊害があった。組織改編を行って室を整理し、かつそれぞれの室を束ねて連携できる人材を確保するように努めます。

4

  • 研究をする立場としても同様に感じています。医療機関と自治体の多くの予算と労力をかけて整備した統計データなので、相応の利用実績と社会への還元ができるようにします。
5
  • 上述の組織改編を経て、手続き的にもそれを実現したい。ルールの統一化も実現しつつあり、曖昧だったそれぞれのがん登録情報の位置づけも明確にして、利用者だけでなく、患者、国民に対しても統計値が何を示すのかをきちんと伝えられるように努めます。

横断的プロジェクト

指摘事項

1
  • ホームページでの発信が弱いと思う。がん対策研究所のプロジェクトの項目に横断的プロジェクトがあるが、どことどこが協力しているか、プリジェクトの成果はどうだったかなどの記載はない。今後、大切なものとして重視するなら、見せ方の工夫もお願いしたい。
2
  • 兼任者の評価をどのように行うか、エフォートの切り分けも含めて検討が必要。これだけの業務を行うには、人員が不足していると考えられる。必要な分野に必要な人員が配置されるよう、充実を図っていただきたい。
  • 精力的な取り組みを評価したいが、参加する職員に過度の負担がかかっていないか心配。外部の人材活用も積極的に進めてほしい。
3
  • 横断的プロジェクトと部の活動との位置づけがわかりにくい。(大腸がんファクトシートは、当プログラムジェクト)
  • QPLについては、行動科学研究部がメインの仕事なのではないか?

4

  • 様々な部門で得られた研究成果をいかに行動変容につなげるか。法律の制定やルールの見直しなど、社会を動かすための方策を研究するプロジェクトがあっていいと思う。

対応案

1

  • ご指摘を受けて、早速ホームページ発信を強化する体制を企画室内に設けました。R7年度当初より検討を開始しており、早急に具体的な情報発信の改善を図ってまいります。

2

  • このご指摘につきましては、企画室のみならずがん対策研究所長の下、具体的な対応を検討してまいります。

3

  • 横断的プロジェクトは部の活動ときり分けているのではなく、部をまたいで連携しながら実施すべき課題を横断的プロジェクトとして位置づけて実施しているものです。プロジェクトによって、2部、さらに多くの部が連携しているなど様々な形体があります。ご指摘の通り、この説明が不十分でしたので、横断的プロジェクトと部の活動との位置づけについて説明を追加してまいります。
  • QPLに関するプロジェクトは、サバイバーシップ研究部を中心に、予防研究部、国際政策研究部、行動科学研究部、検診開発研究、がん情報提供部が連携して、日本、アジアでのQPLの普及・実装に関するプロジェクトを実施しております。
4
  • 大変重要なご提案をいただきありがとうございます。R7年度以降に実現可能な方策についての検討を開始してまいります。