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研究プロジェクト
更新日 : 2024年5月27日
がん検診アセスメント
がん検診ガイドラインの作成と研究
国内外のがん検診の有効性評価研究をレビューして、がん検診ガイドラインを作成しています。科学的に信頼できる医学研究を基に、日本の対策型検診として実施すべき検査方法に「推奨」をつけてまとめたものが「がん検診ガイドライン」です。これまでに胃がん、大腸がん、肺がん、子宮頸がん、前立腺がん、乳がん検診ガイドラインを作成し、公開しています。
ガイドラインの「推奨」は、医療資源等の日本国内の事情も配慮しつつ、多くの有効性評価研究の結果を統合し、不利益との対比を元に最終決定されます。検診研究部は日本国内のがん検診の有効性評価研究にも参加し、最新の研究成果をガイドラインに反映させて、より信頼されるガイドライン作成を進めていきます。さらに、これらの活動を研究論文や報告書として発表しています。
【参照リンク】科学的根拠に基づくがん検診推進のページがん検診の有効性評価に関する研究
新しい検査方法を、健常者を対象としたがん検診に導入するためには、がん死亡率減少を指標とした有効性を評価する研究が必要です。健康面に問題のない数万人の方々を、新しい検査方法によるがん検診を受ける群と受けない群に分けて、長期間にわたって両グループのがん死亡率を比較します。検診研究部はこのような大規模評価研究の事務局となり、多くの大学・研究機関や自治体と協働して、国内のがん検診の有効性評価研究を推進しています。
(現在進行中の研究(2024年1月))
以下すべて国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED)「革新的がん医療実用化研究事業」 に採択されています。
- 子宮頸がん検診における細胞診とHPV検査併用の有用性に関する研究
(研究代表者 青木 大輔) (外部サイトにリンクします) - 対策型検診を目指した大腸内視鏡検診の有効性評価のためのランダム化比較試験
(研究代表者 工藤 進英) (外部サイトにリンクします) - 低線量CTによる肺がん検診の実用化を目指した無作為化比較試験研究
(研究代表者 佐川 元保) (外部サイトにリンクします)
がん検診マネジメント
がん検診の精度管理に関する研究・事業
有効性が示され、国の指針で推奨されたがん検診であっても利益だけではなく不利益が生じます。がん検診の精度管理(注)は検診の利益の最大化、不利益の最小化のためになくてはならないものです。検診研究部は適切な精度管理手法に関する研究を行い、住民検診の精度管理を支援するツールを開発・更新しています。また適切な精度管理手法の普及を目的として、住民検診の従事者を対象とした研修も行っています。
(注)がん検診の精度管理とは、検査の前後も含めたすべての工程(検診機関の選定、受診勧奨、検診結果の通知、要精検者への精検勧奨、精検結果の把握など)を適切に管理することを指します。
(現在進行中の研究・事業(2024年1月))
- 厚生労働科学研究費補助金(がん対策推進総合研究事業)
がん検診の精度管理における指標の確立に関する研究 (研究代表者 高橋 宏和) - 精度管理指標「事業評価のためのチェックリスト」の開発・更新
- 精度管理に関する全国データの把握(全国自治体を対象とした各種調査)、データベース作成・公開
- 精度管理のためのツールの開発・更新
- 自治体担当者(がん検診従事者、がん検診指導者)を対象とした研修会の開催
【参照リンク】がん情報サービス・がん統計・がん検診
【参照リンク】科学的根拠に基づくがん検診推進のページ・がん検診の精度管理
コロナウイルス感染症とがん検診およびがん医療に関する研究
新型コロナウイルス感染症により、がん検診やがん医療が影響を受けています。これらのデータを収集し、対応を検討するための基礎資料を作成すること、また適切な医療提供体制の構築のため、これらを多角的に分析・評価し実行可能性のある方法を検討しています。
(現在進行中の研究(2024年1月))
- 厚生労働科学研究費補助金(がん対策推進総合研究事業)
新型コロナウイルス感染症の流行によるがん検診及びがん診療の受診状況等に対する中・長期的な健康影響の解明にむけた研究 (研究代表者 高橋 宏和)
その他/がん検診の普及・実装研究
HPV検診のリーフレット開発のための調査研究
2024年2月厚生労働省は「がん予防重点健康教育及びがん検診実施のための指針」において、子宮頸がん検診にHPV(ヒトパピローマウイルス)検査を追加しました。細胞診検査に変わって、HPV検査による子宮頸がん検診を提供する自治体もこれから増えていくでしょう。そこで、当部は市民向けにHPV検査にわかりやすく解説したリーフレット作成を行います。具体的には、30代女性を対象にインタビュー調査と同時にインターネット調査を行い、市民のHPVに関する認知や知識を調べて、リーフレット開発に役立てます。これらの調査を通じて、がん検診における市民への情報伝達のあり方を明らかにします。
(現在進行中の研究(2024年3月~))
重喫煙者を対象とする低線量CT肺がん検診の導入に対する意識調査
近年、ヘビースモーカーに対する低線量CT検診(LDCT検診)に肺がんの死亡率減少効果があるとする研究結果が欧米で出ており、海外ではLDCT肺がん検診をヘビースモーカーにのみ導入している国が出てきています。しかし、我が国では胸部単純X線(CXR)による肺がん検診が喫煙状況に関わらず推奨されており、もしLDCT検診が我が国でも推奨されて、対象者がヘビースモーカーのみだった場合に、国民が受け入れる可能性がどのくらいあるのかは明らかではなく、反対意見などが懸念されています。
そこで、2024年1月に、肺がん検診に関する国民の知識、意識(検査方法の変更に対する意見とその理由)、実施状況をインターネットで調査しました。LDCT検診を受け入れる可能性のある国民がどの程度いるのかを把握し、今後の研究の基礎資料とします。
(現在進行中の研究(2024年1月~))
職域検診(働く世代を対象に職場で行われるがん検診)の適切な情報提供
職域検診の内容については、厚労省「職域におけるがん検診に関するマニュアル」の中で、検診項目・対象年齢・受診間隔等の推奨が示されています。しかし同マニュアルはまだ十分に普及しておらず、多くの職域検診で科学的根拠に基づかないものが行われています。そこで職域検診の実施者(保険者・事業者)に向けて、検診を企画・運営する際に参考となる情報コンテンツを開発しました。
【参照リンク】がん情報サービス ・一般向け・ がん検診