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公的統計を活用したわが国の健康格差分析の包括的研究
研究概要
健康格差(地域や社会経済状況の違いによる集団における健康状態の差)の縮小は公衆衛生学の重要な目的であり、わが国においても「健康日本(第二次)」で到達目標に挙げられています。その一方で、欧米と比べて比較的に社会格差が小さいとされるわが国において具体的にどのような健康格差があるのかについて研究の蓄積が乏しいのが現状です。健康格差の評価項目には社会経済的要因ごと『死亡率』や喫煙・飲酒などの『生活習慣』、健康診断・がん検診受診などの『医療・保健サービス利用』が含まれます。そこで、本研究グループでは人口動態統計や国民生活基礎調査などの公的統計の活用法を検討し、わが国の健康格差について網羅的・長期的に分析して将来の対策につなげるための包括的研究を実施しています。
研究内容
- 国勢調査と人口動態統計の匿名個票データを突合し、人口属性や社会経済状況(教育歴・職業など)と死亡率の関連を分析している(リンケージ研究)【図1】
研究成果(抜粋):
Tanaka H, Katanoda K, Togawa K, Kobayashi Y. Educational inequalities in all-cause and cause-specific mortality in Japan: national census-linked mortality data for 2010-15. Int J Epidemiol. 2024.14;53(2):dyae031. 【図2】
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/38537248/(外部サイトにリンクします)
図1 データリンケージの概要
図2 教育歴別年齢調整死亡率(30-79歳、2010-2015年) - 国民生活基礎調査と国民健康・栄養調査の個票データを分析し、社会経済状況(学歴・職業・所得)と主観的健康感ならびに喫煙・飲酒などの生活習慣の関連を分析している 【図3】
研究成果(抜粋):
Tanaka H, Mackenbach JP, Kobayashi Y. Widening socioeconomic inequalities in smoking in Japan, 2001-2016. J Epidemiol. 2021;31(6):369-77.
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/32595181/(外部サイトにリンクします)
図3 教育歴別喫煙率(25-64歳、2016年国民生活基礎調査による分析) - 上記で分析した研究結果をもとに、わが国の健康格差は他の国と比べてどのような特徴があるのか国際比較研究を行っている
研究成果(抜粋):
Tanaka H, Nusselder WJ, Kobayashi Y, Mackenbach JP. Socioeconomic inequalities in self-rated health in Japan, 32 European countries and the United States: an international comparative study. Scandinavian Journal of Public Health. May 2022.
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/35538617/(外部サイトにリンクします)
本研究への支援
- 科学研究費助成事業:研究活動スタート支援(21K21188)
『わが国の健康格差と人口問題の解決に向けた公的統計データの活用法とその国際比較研究』(研究代表者:田中宏和)
https://kaken.nii.ac.jp/grant/KAKENHI-PROJECT-21K21188/(外部サイトにリンクします) - 科学研究費助成事業:若手研究(23K16341)
『公的統計と医療ビッグデータを活用したわが国の健康格差分析と対策のための包括的研究』(研究代表者:田中宏和)
https://kaken.nii.ac.jp/grant/KAKENHI-PROJECT-23K16341/(外部サイトにリンクします)