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院内がん登録で全国のがん診療連携拠点病院の診療状況、特徴を分析~がん診療連携拠点病院院内がん登録 2010年全国集計 報告書の発行について~

2012年11月8日
独立行政法人国立がん研究センターがん対策情報センター がん統計研究部 院内がん登録室

がん診療連携拠点病院院内がん登録 全国集計報告書 とは

国立がん研究センターが全国のがん診療連携拠点病院(以下、拠点病院)において実施されている院内がん登録のデータの提供を受け、

  1. がん種、進行度、その治療の分布を把握し、国や都道府県のがん対策に役立てる、
  2. 各施設が全国と比較した自施設のがん診療状況を把握し、がん診療の方向性等を検討する、

ための基礎資料を還元することを目的とした報告書です。

本年度は2010年診断症例の分析を行いました。平成21年度に初回の報告書を発行して以来、4回目の集計報告です。各施設の登録データの質が向上してきた結果、データの収集期間や集計処理時間が短縮され、平成24年3月に2009年全国集計の発行、公表に引き続き、同年内に2010年版を発行できるようになりました。

本報告書からわかること

がん診療連携拠点病院はわが国のがん診療の大きな役割を担っています。

2009年と比較して、拠点病院の増加に伴い、集計対象施設が18施設(4%)増加して387施設に、登録数が約6.1万例(11%)増加して、集計対象は548,979例になりました。この数は、日本全体の概算の罹患数の66.9%(2009年と比較して5.4%増加)であり、わが国のがん診療において拠点病院が大きな役割を担っていることがわかります。

データの品質は向上し、安定してきています。

2009年と同様に、性別、患者の診断時の住所別、年齢別、症例区分別、来院経路別、発見経緯別、部位別を集計しました。都道府県や施設によって、診療している対象に特性がありますが、それらの特徴は、都道府県別には、2009年と2010年で大きな違いはないことがわかりました。このことから、都道府県単位には、一定の品質のデータが登録されるようになったと考えられます。都道府県別の集計値を参考にして、施設別の違いについて、施設の特徴を示す真の違いなのか、登録方法による人工的な違いなのか、施設自らの評価に利用することができるでしょう。

肺がんのタイプ別の治療方法について

肺がんは、細胞のタイプが、扁平上皮癌、腺癌、小細胞癌の大きく3つに分けられます。一般的に、タイプが異なれば、同じ病期でも、標準的な治療方法が異なります。治療方法は、患者さんの年齢や全身状態も考慮して決定されるので、一概には言えませんが、例えば「I期の肺の扁平上皮癌の場合、日本全体では、手術のみの治療が最も多く行われている傾向がある。」ことが、本集計結果からわかりました。なお、本集計については、集計値が10以下を含む施設が多数となるため、施設別の集計値の一般公表はいたしません。

本報告の意義

平成24年6月に、平成19年6月に策定されたがん対策推進基本計画を見直しした新たな計画が策定されました。それを受けて、各都道府県においてがん対策推進計画の見直しを図られているところです。新基本計画では、新たに、小児のがんや数の少ないがん(稀少がん)に関する対策の必要性にも言及されました。本報告書および各都道府県に還元する集計資料が、がん診療連携拠点病院における診療の実績等を測る資料のひとつとして、有効に活用されることが望まれます。

掲載サイトについて

がん診療連携拠点病院院内がん登録全国集計は下記をご参照ください。

本件の内容に関するお問い合わせ先

独立行政法人国立がん研究センターがん対策情報センター がん統計研究部
西本 寛(がん統計研究部長)
電話番号:03-3542-2511
内線3433
ファクス番号:03-3547-8584

報道対応:国立がん研究センター総務部総務課広報室
電話番号:03-3542-2511(代表)

記者会見資料は下記からご覧いただけます。

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