がんと共に生きる患者さんを支える書籍2冊を作成
働く世代向け情報、患者さんの手記などをさらに充実、がん情報サービスにも掲載
2013年10月02日
独立行政法人国立がん研究センター
独立行政法人国立がん研究センター(理事長:堀田知光、東京都中央区)は、このほど、「患者必携 がんになったら手にとるガイド 普及新版」および働く世代向け書籍「わたしも、がんでした。がんと共に生きるための処方箋」を作成しましたのでお知らせします。
- 患者必携 がんになったら手にとるガイド 普及新版(がん情報サービスへリンクします)
がんと診断されたらまずはじめに読む本として、がん患者さんやその家族の方に活用していただきたい情報をまとめました。がんと向き合い、周囲の人と支えあいながら、自分らしい療養生活を送るための手引書としてご活用いただけます。
- わたしも、がんでした。がんと共に生きるための処方箋(がん情報サービスへリンクします)
がん患者さん、ご家族、職場の仲間、地域社会における関係者、そして医療者の立場から、「がんと共に働き、生きる」ためには、何をすればいいのか、どう考えればいいのか、についてまとめました。
これらの本の内容は、がん情報サービス(ウェブサイト)でご覧いただけます。また、がん対策情報センターでは全国のがん診療連携拠点病院(397施設)のがん相談支援センターなどに書籍の見本版を約1,300冊配布いたしました。お近くのがん相談支援センターで、見本版をご覧いただいたり、がんに関する相談を受けたりすることができます。
背景
がん対策推進基本計画(平成24年6月策定)においても、多様化するがん患者さんとその家族の悩みや不安をくみ上げ、がんの治療や副作用・合併症に関する情報も含めて必要とする最新の情報を正しく提供し、きめ細やかに対応すること、患者さんとその家族にとってより活用しやすい相談支援体制を早急に実現することが目標とされています。
国立がん研究センターがん対策情報センター(センター長:若尾文彦)では、ウェブサイト「がん情報サービス(がん情報サービスへリンクします)」)、冊子などを通して、がん患者さん・ご家族、国民の皆さまに、わかりやすく提供しています。さらに、正しい情報が、必要な方に迅速に伝わるための普及活動、全国のがん診療連携拠点病院などの医療機関に対する各種研修などの活動を行っています。
これまでに、がんに関する情報をまとめた「がんの冊子(がん情報サービスへリンクします)」(2013年10月現在56種類)、「患者必携 がんになったら手にとるガイド」(2011年3月発行)、もしも、がんが再発したら[患者必携]本人と家族に伝えたいこと(がん情報サービスへリンクします)(2012年3月発行)などを作成しましたが、このたび、「患者必携 がんになったら手にとるガイド 普及新版」および働く世代向け書籍「わたしも、がんでした。がんと共に生きるための処方箋」を新たに作成しました。
患者必携 がんになったら手にとるガイド 普及新版
がんと診断されたらまずはじめに読む本として、がん患者さんやその家族の方に活用していただきたい情報をまとめました。また、がん医療に関することだけでなく、療養生活での不安や悩みへの対応など、患者さんやご家族の視点を大切にして作成しています。がんと向き合い、周囲の人と支えあいながら、自分らしい療養生活を送るための手引書としてご活用いただける本です。
以前の版「患者必携 がんになったら手にとるガイド」(2011年3月発行)を利用されたみなさまからのご意見、ご提案に加え、平成24年6月に策定された「がん対策推進基本計画」をはじめとする、“がんになっても安心して暮らせる社会”を目指したさまざまな施策や取り組みを踏まえて、以下の変更を行いました。
- 療養生活を支える就労環境など、社会とのつながりに関する内容を拡充しました。
- 「元気づけられた」「参考になった」と好評の「患者さんの手記」を大幅に追加しました。
- がんの種類ごとの情報を「がん情報サービス」に移行し、手にとりやすくしました。
また、切り離してご利用できる、別冊「患者必携 わたしの療養手帳」がついています。
がん対策情報センターでは、がん患者、ご家族、市民のそれぞれの立場から、わが国のがん対策についてがん対策情報センターへ提言、またがん対策にかかわる情報を周囲のみなさまに広報していただく、いわば「がん対策応援団」の役割をしてくださる『患者・市民パネル』のメンバー100人の方のご協力をいただきながら、がんの情報を作成しています。今回の「患者必携 がんになったら手にとるガイド 普及新版」では、以前の版へのご意見とともに、就労や緩和ケアに関する話題を含む、「患者さんの手記」を10編新たにお寄せいただきました。
書名:患者必携 がんになったら手にとるガイド普及新版
編著:国立がん研究センターがん対策情報センター
ISBN:978-4-7809-1129-9
発行:株式会社 学研メディカル秀潤社 2013年9月
郵便番号:141-8414 東京都品川区西五反田2-11-8
電話番号:03-6431-1234/ファクス番号:03-6431-1790
A5判 288ページ 別冊「患者必携 わたしの療養手帳」つき 定価:880円(税別)
わたしも、がんでした。がんと共に生きるための処方箋
がん患者さん、ご家族、職場の仲間、地域社会における関係者、そして医療者の立場から、「がんと共に働き、生きる」ということについて語っていただいた内容をまとめたものです。がんの治療に関しては、少しずつ正確な情報が届きやすくなってきています。一方で、それ以外の日常生活における悩みや心配事をどのように捉え、解決していけばいいのかわからず、多くの方が試行錯誤している現状があります。この本の体験談が、そのような方々を、元気づけたり、何かの道筋を示したり、「がんと共に働き、生きる」ことを後押しできればと願っています。「がんと共に働き、生きる」ためのガイドブックとしてご活用いただきたいと思います
書名:わたしも、がんでした。がんと共に生きるための処方箋
編著:国立がん研究センターがん対策情報センター ISBN:978-4-8222-7425-2
発行:日経BP社 発売:日経BPマーケティング 2013年9月
郵便番号:108-8646 東京都港区白金1-17-3
お問い合わせ先:日経BP社読者サービスセンター 電話番号:03-5696-1111(平日9時から17時)
四六判 288ページ 定価:1,200円(税別)
書籍の入手方法とがんに関する相談窓口について
全国の書店や病院の売店などで購入していただくことができます。
それぞれの書籍の内容は、「がん情報サービス(がん情報サービスへリンクします)」からもご覧いただくことができます。
- 患者必携 がんになったら手にとるガイド 普及新版(PDF版)(がん情報サービスへリンクします)
- がんと共に働く まず一歩前へ。(がん情報サービスへリンクします)
それぞれの電子書籍はこちらからご覧いただけます。
患者必携 がんになったら手にとるガイド 普及新版(電子書籍)(外部サイトにリンクします)
がんと共に働く まず一歩前へ。
(電子書籍は、現在準備中です)
また、全国のがん診療連携拠点病院(397施設)のがん相談支援センターで見本版が閲覧できます。がん相談支援センターは、全国のがん診療連携拠点病院に設置されているがんに関しての相談窓口で、患者さんや家族あるいは地域の方々に、がんに関する情報を提供したり、相談にお応えしています。その病院にかかっていなくても、どなたでも無料で相談することができます。全国のがん相談支援センターの情報は、こちらをご参照ください。
- インターネット
がん情報サービス 相談支援センターを探す(がん情報サービスへリンクします) - 電話
国立がん研究センターがん情報サービスサポートセンター(がん情報サービスへリンクします)
0570-02-3410(ナビダイヤル)
受付時間は、平日(土曜日、日曜日、祝日、12月29日から1月3日を除く)の10時から15時です。
(相談は無料ですが、通信料は発信者負担となります。一部のIP電話、PHSからはご利用いただけません。)
がん対策情報センターのがん情報普及支援と普及状況評価の取り組み
『利用者の84%が役に立った』とくに70歳代以上で顕著
2011年3月に作成した「患者必携 がんになったら手にとるガイド」について、全国のがん診療連携拠点病院などにおいて研究班が行った評価研究では、81%の患者さんが、「利用した(ほぼ毎日あるいは数回)」と回答していました。また、84%が「役に立った」、70%が「不安の軽減に役立った」と回答しています(n=569)。特に70歳代以上の高齢者では、不安の軽減に役立ったという意見が多い傾向にありました。役立った項目では治療法の選択、抗がん剤治療、食事と栄養、費用負担に関する情報などが挙げられました。
75%のビジネスパーソンが『がんになっても仕事を続けられる』と思う一方で、69%が『がん患者を受け入れる職場環境』になっていないと回答
2013年2月にビジネスパーソンを対象にした、がんに関する意識調査では、「がんにかかったら、仕事をやめなくてはならない」という質問には、回答者全体(n=389)の75%が「そう思わない」と回答していました。しかし、自身ががん患者に絞ると92%が「そう思わない」と答え、とりわけがん患者本人の仕事継続への強い意志のあらわれと考えられました。一方で「働きたいと思うがん患者を受け入れる職場環境になっているか」という質問には、がん患者の回答(n=111)では69%は「そう思わない」と回答し、「がんと共に働く」環境整備がまだまだ進んでいないことが示唆されました。
全国の都道府県で進められている「都道府県版 患者必携 地域の療養情報」作成支援
身近ながん診療連携拠点病院やがん相談支援センター、セカンドオピニオンの窓口や、緩和ケア外来・病棟(ホスピス)の紹介、患者会や支援団体の情報や、医療費など経済的な負担を減らす制度や相談窓口など「患者必携 がんになったら手にとるガイド 普及新版」と組み合わせて使うことのできる、「都道府県版 患者必携 地域の療養情報」の作成が進められています(平成25年7月現在、約半数の都道府県で作成)。がん対策情報センターでは各都道府県やがん診療連携拠点病院などと連携し、作成や普及の支援を行っています。
- がん情報サービス 地域のがん情報(がん情報サービスへリンクします)
がん対策情報センターでは、今後も全国のがん患者さんとご家族が不安なく治療や療養に向き合う環境をより多くの地域で整備できるよう、さまざまな対策を講じてまいります。
問い合わせ先・報道担当
問い合わせ先
国立がん研究センターがん対策情報センター
がん情報提供研究部 医療情報コンテンツ研究室長
渡邊 清高(わたなべ きよたか)
Eメール:kiwatana●ncc.go.jp(●を@に置き換えください)
電話番号:03-3542-2511(内線番号:5919)
ファクス番号:03-3547-8577
報道担当
国立がん研究センター 広報企画室
電話番号:03-3542-2511(代表)
ファクス番号:03-3542-2545
Eメール:ncc-admin●ncc.go.jp(●を@に置き換えください)