毎年公開、がん対策の目標設定、評価分析に活用国内初の当年予測 2014年のがん罹患数、死亡数予測公開
2014年7月10日
独立行政法人国立がん研究センター
独立行政法人国立がん研究センター(理事長:堀田知光、所在地:東京都中央区、略称:国がん)がん対策情報センター(センター長:若尾文彦)は、本年2014年に新たにがんと診断される罹患数と死亡数の予測をがん情報の総合サイト「がん情報サービス(がん情報サービスへリンクします。)」にて7月10日に公開しました。
- がん登録・統計(がん情報サービスへリンクします。)
これまで、罹患数においては地域がん登録による全国がん罹患モニタリング集計2010年が、死亡数においては人口動態統計により2012年の実測値が、それぞれ最新統計として公開されていますが、いずれも集計に時間を要し数年遅れでの公開のため、今現在と直近の変化を知ることが出来ませんでした。予測数値は、現在のがん対策を継続した場合を前提に算出するため、後に公開される当該年の実測値と突き合わせることにより、それまでに実施されたがん対策の評価・分析を行うことが可能となります。
がん対策情報センターは、今後も毎春その年のがんの罹患数と死亡数の予測を公開し、国や地域のがん対策の目標設定や評価への活用など一層確実ながん対策に寄与したいと考えております。
今回の2014年予測は、罹患数は全国がん罹患モニタリング集計の年齢階級別がん罹患数(1975年から2010年全国推計値)を、死亡数は人口動態統計がん死亡数(1975年から2012年実測値)を用いて算出しました。今後、2016年に施行されるがん登録推進法により罹患数の実測数値の集計が可能となれば、データソースがより確かな数値となり、予測数値の精度も上がると思われます。今後も予測精度を検証しつつ、ニーズに沿ったがん統計情報を整備してまいります。
2014年のがん統計予測
罹患約88万人、死亡約37万人と推定
罹患数(新たに診断されたがんの数)
結果および考察
- がん罹患数は882,200例(男性501,800例、女性380,400例)
- 2010年の全国推計値と比べると約7万7千例増加
- 胃、肺、大腸、乳房、前立腺の順に罹患数が多い
- 2010年と比べると肺が大腸を抜いて第2位になる
死亡数
結果および考察
- がん死亡数は367,100人(男性217,600人、女性149,500人)
- 2012年の実測値と比べるとほぼ同じ(約6千人増加)
- 肺、胃、大腸、膵臓、肝臓の順に死亡数が多い
- 2012年と比べると膵臓が肝臓を抜いて第4位になる
結果の解釈
- 罹患数・死亡数の増加の主要因は高齢化として、無料のクイット・ライン(禁煙電話相談)が既存の制度を補完することにより、禁煙需要を維持・喚起できる。
- 肺がんは高齢化の影響を除くと減少局面に入っているが、それを上回るペースで高齢化が進んでいる
- 胃がんは高齢化の影響を除くと長期的な減少傾向だが、高齢化の影響で罹患数・死亡数は増加または横ばい
- 前立腺がんの罹患数は、PSA検診も増加の要因
- 膵臓がんは高齢化の影響を除いても増加傾向(喫煙が確実な、糖尿病がほぼ確実な危険因子)
解釈の注意点
- 予測精度は主要部位の5年間の予測について検証
- 予測には誤差が伴う(統計学的なもの+予測不能な要因)
- 予防危険因子の動向は、過去の罹患率、死亡率の変化に表れている部分は反映されていると考えられるが、将来の変化などは考慮していない
- 検診の動向などによって変動がありうる(特に前立腺がんの罹患)
予測モデル
予測は、全国がん罹患モニタリング集計の年齢階級別がん罹患数(1975年から2010年全国推計値)および人口動態統計がん死亡数(1975年から2012年実測値)を用いて、年齢、暦年、およびそれらの交互作用を説明変数とした予測モデルにより行いました。
(参考文献 Japanese Journal of Clinical Oncology 2014, 44: 36-41)
部位毎に予測を行っているため、また予測値の四捨五入のため、合計値が一致しないことがあります。
プレスリリース
- 2014年のがん罹患数、死亡数予測公開
関連ファイルをご覧ください。
説明資料
- 2014年のがん罹患数、死亡数予測説明資料
関連ファイルをご覧ください。
問い合わせ先
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