国内初、通院で第1相試験を含む治験を可能とする国立がん研究センター中央病院「第二通院治療センター」開設
2015年3月16日
独立行政法人国立がん研究センター
独立行政法人国立がん研究センターは、中央病院(病院長:荒井保明、東京都中央区)に国内では初めて通院で第I相試験を含む治験の実施を可能とする「第二通院治療センター」を開設し3月23日より本格稼働いたします。
現在、海外の主たるがんセンターでは、第I相試験を含む多くの臨床試験を外来で実施していますが、日本においては設備・体制の整備が遅れており、特に第I相試験においては入院で実施しているのが現状です。
第二通院治療センターにおいては、海外同様に外来で実施することを可能にする設備・体制を整備し、安全かつ確実に実施するために欠かせない臨床研究コーディネーター(CRC)、がん化学療法看護認定看護師、がん専門薬剤師、検査技師など専門職種も十分に配置、チーム医療で患者さんを支援する体制を整えました。
働くがん患者さんは約32万5千人と推計(厚生労働省)されており、抗がん剤による治療もその多くが外来で行われているのが現状です。治験・臨床試験においても、可能な限り生活を維持しながら参加できる環境の構築が求められています。
国立がん研究センター中央病院は、第二通院治療センターの開設により日本における新しい外来化学療法モデルを構築し、ナショナルセンターとしてさらに治療薬開発に貢献して参ります。
臨床試験
新しい薬や手術、放射線治療などを用いた新しい治療、あるいはそれらの組み合わせで行われる治療法などに対して、その効果や安全性について確認するために行われる試験のことを臨床試験といいます。
治験
臨床試験の中でも、厚生労働省から医薬品、医療機器としての製造販売承認を得ることを目的として行われるものを「治験」といいます。治験は臨床試験の一種です。
治験の3つの段階
- 第I相試験:
新しい薬をはじめて患者さんに投与する段階です。少数の患者さんで、投与量を段階的に増やしていき、薬の安全性と適切な投与量、投与方法を調べます。 - 第II相試験:
がん種や病態を特定し、前の段階よりも多い数の患者さんに参加していただきます。前の段階で最適と判断した投与量や投与方法を用い、薬の有効性と安全性を確認します。 - 第III相試験:
より多くの患者さんに参加していただきます。新しい薬や治療法が従来の薬や治療法(標準的な治療)と比べ、有効性や安全性の面で優れているかどうかを比較試験で確認します。
第二通院治療センターの概要
場所:中央病院3階
設備:右図見取り図参照
- 治療コーナー1
12床 リクライニングチェア - 治療コーナー2
4床 ベッド(薬物動態解析にも対応) - 治療コーナー3
10床 リクライニングチェア - 検査室
採血の実施、遠心分離器による血液検体処理、冷蔵、冷凍一次保存、心電図検査 - 面談室1、2
看護師、薬剤師、CRCが患者と対面式に面談 - 救命救急室
外来化学療法中の救命救急処置 - 多目的室
患者教室、アピアランス教室など - ロビー
主に治験患者さんを対象としたロビー - カンファレンスルーム
医療関係者の多職種カンファレンス
治療コーナー1
(リクライニングチェア)
治療コーナー2
(ベッド)
面談室
救命救急室
検査室
ロビー
待合室
カンファレンスルーム
中央病院 通院治療センターの歴史
- 1977(昭和52)年 第一通院治療センター開設10床
- 1992(平成4)年 増設16床(年間約5,000件治療)
- 1999(平成11)年 増設30床(年間約10,000件治療)
- 2006(平成18)年 増設36床(年間約20,000件治療)
- 2012(平成24)年 36床(年間約26,000件治療)
注:1日平均110件から120件 - 2015(平成27)年 第二通院治療センター開設26床
注:第一と第二合わせ62床(年間約28,000件治療)
第一通院治療センター
第一通院治療センター
通院治療センター抗がん剤実施件数
(件数/年)
プレスリリース
- 「第二通院治療センター」開設
関連ファイルをご覧ください。
資料
- 第二通院治療センターの概要
- 臨床研究コーディネーター(CRC)の役割
- 薬剤師の役割
- 看護師の役割
関連ファイルをご覧ください。
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