WHOのがん専門研究機関IARCと覚書を締結
がん対策やがん研究での国際標準策定に貢献
2017年12月5日
国立研究開発法人 国立がん研究センター
in English
国立研究開発法人国立がん研究センター(理事長:中釜斉、東京都中央区)は、国際がん研究機関(International Agency for Research on Cancer, IARC、本部:フランス・リヨン)との協力強化に向け9月19日に覚書を締結しました。
IARCは、世界保健機関(WHO)のがん専門研究機関で、がんの原因究明、予防研究の企画・推進を担っています。国立がん研究センターは、これまでも疫学、がん登録、WHO病理分類、発がんリスク評価、たばこ政策の各分野で協働しており、本年5月には、がん登録事業のコラボレーティングセンターとして指定を受け、東南アジアでのがん登録研修や、IARC幹部を招聘しての国内セミナーを共催しています。
今回の覚書においては、より包括的な関係強化を目的とし、従前の協力を強化するとともに、発がん、疫学、遺伝現象、早期診断、検診、予防、サバイバーシップなどの共同研究や人事交流を推進します。がん対策やがん研究において国際標準の策定に貢献し、採用することで、国際的な協働・比較可能性を確保することが可能となります。
また、IARCと本覚書のもと、新たに環境と腫瘍との関係性を遺伝子解析により研究する共同プロジェクトが今月から始動し、さらに腫瘍の分類規約の編集作業に当センターの医師が加わる準備が進んでいます。
IARCの取り組み
IARCは発がん状況の監視、発がん原因の特定、発がん性物質のメカニズムの解明、発がん制御の科学的戦略の確立を目的に、各国の研究協力を推進して活動しています。人に対する発がん性評価・分類(IARC Monographs(外部サイトにリンクします))、サーベイランス部門がとりまとめる5大陸のがん罹患(CI5 : Cancer Incidence in Five Continents(外部サイトにリンクします))、各国のがん死亡率データ(Globocan(外部サイトにリンクします))などをとりまとめたGlobal Cancer Observatory(外部サイトにリンクします)(GCO)のほか、腫瘍の分類「WHO分類シリーズ」(WHO/IARC Classification of Tumours Series(外部サイトにリンクします))が広く知られ、さらに60万人のサンプルを擁するバイオバンク、がん研究者の教育研修で大きな役割を果たしています。
今後の展望
- 新しいがん病理規約の制定に貢献
- 両機関の有機的協力による研究の推進
- 国際共同研究への参画機会の拡大
- がん対策における国際標準の策定に関与し、協働・比較可能性を確保
参考
2017年5月30日 リリース
国立がん研究センター、世界保健機関(WHO)/国際がん研究機関(IARC)によりがん登録に関する国際協力事業のコラボレーティングセンターに指定
コラボレーティングセンターに世界で初めて指定された調印式にて 2017年5月
国立がん研究センター病理臨床検査科にて 2017年10月
IARC Cree博士(病理「WHO分類シリーズ」編集長)、Brennan博士
IARC Cree博士、Brennan博士 NCC病理科にて 2017年10月
写真右から NCC病理科長 平岡伸介とIARCのがん登録事業に共に協力するタイ国立がんセンター Suleeporn Sangrajrang博士、IARC Scelo博士、NCCバイオバンクにて2017年8月
報道関係のお問い合わせ先
覚書に関する問い合わせ先
国立研究開発法人 国立がん研究センター 企画戦略局 国際戦略室
郵便番号:104-0045 東京都中央区築地5-1-1 電話番号:03-3542-2511
その他全般
国立研究開発法人 国立がん研究センター 企画戦略局 広報企画室
電話番号:03-3542-2511
ファクス番号:03-3542-2545
Eメール:ncc-admin●ncc.go.jp(●を@に置きかえてください)