がん遺伝子パネル検査後の新たな治療選択肢
適応外使用を患者申出療養制度のもと多施設共同研究として実施
2019年10月2日
国立研究開発法人国立がん研究センター
本研究は、国立がん研究センター中央病院が調整事務局となり、がんゲノム医療中核拠点病院11施設で行う多施設共同研究として実施する予定です。患者さんの全額自己負担となりうる適応外薬については、本研究の趣旨に賛同いただいた一部の企業からは無償提供の申し出をいただいており、開始時点ではノバルティス ファーマ株式会社から無償提供を受けた医薬品のみを対象として実施予定です。今後さらに多くの企業の協力が得られるようお願いしてまいります。
本研究の対象者
がん遺伝子パネル検査を先進医療または保険診療で実施し、以下の基準を満たす方。(以下以外にも除外基準等があります。)
- 条件を満たさないなどの理由により、別の治験や先進医療に参加できないこと。
- 保険適用または先進医療などで実施された遺伝子パネル検査を受けて、何らかの適応外薬の推奨が、専門家会議(エキスパートパネル)及び担当医からなされていること。
- 遺伝子パネル検査の情報を含む患者さんの情報をがんゲノム情報管理センター(C-CAT)に登録すること、および、本研究で得られたデータをC-CATに登録することに共に同意しており、その情報を本研究や当該医薬品を無償提供した製薬企業に提供することに同意していること。
- 年齢が16歳以上であること。
など
実施医療機関
本研究は、国立がん研究センター中央病院が調整事務局となり、がんゲノム医療中核拠点病院11施設で行う多施設共同研究です。
国立がん研究センター中央病院以外の医療機関については、調整が済み次第、順次組み入れ予定です。
登録開始日
10月1日
登録期間
5年間
患者さんの費用負担
適応外薬: 原則全額負担(医薬品により異なります。)ですが、企業から無償提供の申し出があった医薬品については無償となります。
診療費: 保険診療として負担
研究費: 約40万円(医療機関によって、若干研究準備に係る費用が異なります。)
本研究で使用対象となる医薬品(2019年10月時点)
- ジカディアカプセル
- グリベック錠
- アフィニトール錠
- アフィニトール分散錠
- タフィンラーカプセル
- メキニスト錠
- ヴォトリエント錠
- タシグナカプセル
- ジャカビ錠
上記すべて、ノバルティス ファーマ株式会社提供
本研究の参加方法
本研究の対象者となり得る方へは、がん遺伝子パネル検査の結果と合わせ、医師より提示されます。
参加を希望される場合は、本研究への同意と場合によっては患者申出療養の手続き(厚生労働省への申請)が必要です。
研究名称
「遺伝子パネル検査による遺伝子プロファイリングに基づく複数の分子標的治療に関する患者申出療養」
参考
がん遺伝子パネル検査の保険適用について
中央社会保険医療協議会 総会(第415回) 議事次第
医療機器の保険適用について
https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/shingi-chuo_128154.html(外部サイトにリンクします)
第17回患者申出療養評価会議 議事次第
1 患者申出療養に係る新規技術の科学的評価等について
患者申出療養の新規届出技術に対する事前評価結果等について
https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000203222_00006.html(外部サイトにリンクします)
国内で薬事法上未承認・適応外である医薬品について
用語解説
(注1)がん遺伝子パネル検査
1度に多数のがんにかかわる遺伝子の変異を調べる検査。がんゲノムプロファイリング検査とも呼びます。単一遺伝子の変異検査を重ねるよりも、検査時間や再生検などの患者さんの負担が軽減できます。
(注2)臨床研究
患者さんに参加・協力していただいて治療法や診断法の有効性や安全性を調べる研究のことをいいます。現在行われている多くの治療法や診断法も、国内および海外で行われた臨床研究によって進歩してきました。
(注3)医薬品の適応外使用
医薬品はその薬を使用する病気(効能・効果)や投与方法(用法・用量)が細かく定められた上で承認され、保険での投与が可能となっていますが、承認されている効能や投与方法以外で医薬品の投与を行うことをいいます。適応外使用は原則保険外診療として実施する必要があります。
(注4)患者申出療養制度
困難な病気と闘う患者の思いに応えるため、先進的な医療について、患者さんの申出を起点とし、安全性・有効性等を確認しつつ、身近な医療機関で迅速に受けられるようにするものです。患者さんの申出をもとに、臨床研究中核病院が臨床研究を立案し、患者さんの希望する療養を臨床研究として実施する制度です。国内の未承認・適応外のさまざまな治療法が対象になりますが、保険収載を前提とするものに限ります。したがって費用については、未承認薬等の費用に加え、保険収載を目指すためのデータをつくるために、研究支援者の人件費や研究の品質管理、統計解析のための費用などがかかります。
厚生労働省 「患者申出療養」制度とは? https://www.mhlw.go.jp/moushideryouyou/(外部サイトにリンクします)
患者さんからのお問い合わせ先
国立がん研究センター中央病院
相談支援センター
電話番号:03-3547-5293(平日10時から16時まで)
報道関係からのお問い合わせ先
国立研究開発法人国立がん研究センター
企画戦略局 広報企画室
〒104-0045 東京都中央区築地5-1-1
電話番号:03-3542-2511 ファクス番号:03-3542-2545
Eメール:ncc-admin●ncc.go.jp(●を@に置き換えてください)
関連ファイル
関連リンク
- 先進医療・費用対効果評価室
- ノバルティス ファーマ株式会社 プレスリリースページ (外部サイトにリンクします)