がん診療連携拠点病院等院内がん登録2018 年全国集計報告書公表特別集計:疾患別の診療規模(患者登録数)別にみた年齢、病期、治療方法の分布
2019年12月14日
国立研究開発法人国立がん研究センター
本リリースのポイント
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がん診療連携拠点病院等の施設のがん登録数をまとめた集計で、本集計で12回目の報告となります。
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これまでデータ収集から報告書公表まで約1年を要していましたが、準備期間を約6カ月に短縮し、より迅速でタイムリーな情報提供を行うことができました。
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特別集計として、疾患別診療規模(自施設初回治療開始例)別にみた年齢と病期、治療方法の分布について集計を行いました。疾患別診療規模により、診療している患者さんの年齢構成に違いがあり、比較的小規模の施設で高齢の患者さんが多い傾向がみられました。
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2018年診断例よりUICC TNM分類第8版準拠で登録が行われているため、2017年診断例までの病期分布等との比較には留意が必要です。
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胃癌等をはじめとする「IV.結果詳細(腫瘍情報)」の施設別、都道府県別集計結果は、「院内がん登録全国集計結果閲覧システム」から閲覧することができます。例えば、がん・病期別に施設の登録数が検索できるため、最寄りの病院を探す手がかりとして活用いただけます。
国立研究開発法人国立がん研究センター(理事長:中釜斉、東京都中央区)は、専門的ながん医療を行う全国のがん診療連携拠点病院等から収集した院内がん情報を用いて、2018年の1年間に診断された患者さんの診療情報(2018年全国集計)について報告書をまとめ、ウェブサイトで公開しました。
国立がん研究センターがん対策情報センター「がん情報サービス がん登録・統計」統計ページ
2018全国集計 https://ganjoho.jp/reg_stat/statistics/brochure/hosp_c_registry.html
報告書のポイント
2018年がん診療連携拠点病院等院内がん登録全国集計
- がんの種類、進行度(病期)、その治療の分布を把握し、国や都道府県のがん対策に役立てること等を目的とし、その基礎資料として院内がん登録のデータを集計(本集計は2007年診断例より行っており、今回は12回目の報告)。がん診療連携拠点病院等、小児がん拠点病院、都道府県推 薦病院、任意で参加を希望された病院、計828施設、1,039,193件のデータを解析しました(2017年診断例収集データ842施設、1,018,616件)。
- 今回の報告では、特別集計として疾患別診療規模別にみた年齢、病期、治療方法の分布を集計しました。患者登録数が少ない小規模群では、患者の平均年齢がやや高く、85歳以上の高齢の患者さんが多い傾向にありました。がん診療の実態を考えるには、各施設の患者さんの年齢構成等も考慮することが必要です。
- 2018年診断例よりUICC TNM分類第8版準拠で登録が行われるようになったため、全体集計では高分化型神経内分泌腫瘍(膵臓)、子宮肉腫を別途集計しました。病期分類が変更となったため過去のデータとの比較には留意が必要です。また、一般的に臨床で用いられている取扱い規約分類とは異なります。
院内がん登録全国集計結果閲覧システムの更新
- 施設(自施設初回治療開始例)におけるがん別、病期別、治療方法別登録数の閲覧において、治療前、総合病期だけでなく、手術症例を主な対象とする術後病期での閲覧が可能となりました。自宅近くの病院を探す一つの手がかりとして活用が期待されます。
解説
2018年がん診療連携拠点病院等院内がん登録全国集計
概要
各施設で登録された院内がん情報を用いて、年齢、来院経路、発見経緯、部位別の登録数、さらに詳細な腫瘍情報集計としてがん別に病期や治療方法などについて、全体、都道府県別および施設別に集計することで、国や都道府県におけるがん対策と、拠点病院をはじめとするがん診療を担う病院のがん診療の実態把握に活用されます。院内がん情報の集計は、がん診療連携拠点病院で2007年診断例より開始し、本集計で12回目の報告となります。
今回の集計では、特別集計として胃癌、大腸癌、肺非小細胞癌、女性乳癌、前立腺癌について各癌の診療規模別に患者の年齢、病期、治療方法の分布を集計しました。さらに、前回公開した院内がん登録全国集計結果閲覧システムで、施設別・都道府県別にがんの治療前ステージ、総合ステージ別の登録数の閲覧に加え、術後病理学的ステージ別登録数が閲覧できるようシステムを更新しました。また、がん診療連携拠点病院等については、検索結果からがん情報サービスの各病院情報ページを見ることができます。
集計方法
集計対象施設
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1,039,193例、828施設
2019年6月時点のがん診療連携拠点病院等433施設、小児がん拠点病院15施設(がん診療連携拠点病院9施設を含む)、都道府県から推薦された336施設、任意で参加した53施設
登録(集計)対象腫瘍
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悪性新生物および上皮内癌、髄膜または脳、脊髄その他中枢神経系に発生した腫瘍の良性および良悪性不詳の腫瘍、消化管間質腫瘍、卵巣の一部の境界悪性腫瘍
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詳細な腫瘍情報集計:胃癌、大腸癌(結腸癌、直腸癌)、肝癌(肝細胞癌、肝内胆管癌)、肺癌(肺小細胞癌、肺非小細胞癌)、乳癌、食道癌、膵臓癌、高分化型神経内分泌腫瘍(膵臓)(全体集計のみ)、子宮頸癌、子宮内膜癌、子宮肉腫(全体集計のみ)、前立腺癌、膀胱癌、甲状腺癌(乳頭・濾胞癌、未分化癌、髄様癌)、胆嚢癌、喉頭癌、腎癌、腎盂尿管癌(下線が前回からの変更点)
集計対象例
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2018年1月1日から12月31日までの1年間にがんと診断された例
集計項目
診断時住所(都道府県)別、年齢階級別、症例区分別、来院経路別、発見経緯別、部位別の登録数、さらに詳細な腫瘍情報集計としてがんの病期別(UICC TNM(国際病期)分類ステージ)、定義に基づく自施設初回治療方法別登録数など
公表対象
各集計表において集計値が10例未満の場合、個人が特定される可能性があることから値を伏せ、「1~3」「4~6」「7~9」で表記
集計のポイント
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がん診療連携拠点病院等、小児がん拠点病院、都道府県推薦病院、任意参加病院を合わせ集計
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がん診療連携拠点病院等、小児がん拠点病院、都道府県推薦病院、任意参加病院を合わせた828施設、1,039,193例について集計を行いました。前回と比較して集計対象施設は14施設減少していますが、登録数は20,577例増加しました。
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特別集計として、胃癌、大腸癌、肺非小細胞癌、女性乳癌、前立腺癌について施設の疾患別診療規模(自施設初回治療開始例)別に年齢、病期、治療方法の分布を集計
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各癌について疾患別診療規模(自施設初回治療開始例数)別に施設をグループ分けし、患者の年齢、病期、治療方法の分布を集計しました。
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院内がん登録全国集計結果閲覧システムで、術後病理学的ステージ別の登録数が検索可能
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主に手術症例を対象とする術後病理学的ステージ別に、治療方法別の登録数が検索できるようになりました。また、検索結果からがん情報サービスに掲載されているがん診療連携拠点病院等の病院別情報を見ることができます。
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集計結果のポイント
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施設の疾患別診療規模別に施設を4つのグループに分け、患者の年齢、病期、治療方法の分布をみると、全体として疾患別の患者登録数が少ない小規模群では患者の平均年齢がやや高くなり、85歳以上の高齢患者さんの割合が多くなる傾向がありました。病期、治療方法の分布は、癌によって異なり、胃癌の小規模群ではIV期の割合がやや多く、治療無しの割合もやや多い傾向でした。大腸癌では、診療規模が異なっても病期分布に大きな差は認めませんでした。しかし、III期の治療方法をみると、小規模施設では高齢の患者さんが多いためか、手術のみの割合が他よりやや多い傾向でした。
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2018年診断例よりUICC TNM分類第8版準拠で登録
子宮頸部・体部に発生した子宮肉腫の自施設初回治療開始例の登録は、311施設601例でした。発生部位は、子宮体部が約98%、組織形態としては約53%が平滑筋肉腫でした。
膵臓の高分化型神経内分泌腫瘍は、膵臓に発生したがんの約4%であり、399施設1,268例の登録がありました(自施設初回治療開始例)。UICC TNM分類総合ステージをみると56.8%がI期でした。ただし、実臨床で用いられている取扱い規約分類とは異なります。
院内がん登録全国集計結果閲覧システム
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院内がん登録全国集計結果閲覧システムを更新
2018年診断例について、従来の施設別がんの治療前・総合病期別、治療方法別登録数に加え、主に手術症例を対象とした術後病理学的病期別登録数が閲覧できるようシステムを更新しました。がん診療連携拠点病院等については、検索結果からがん情報サービスの各病院情報を見ることができます。
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院内がん登録全国集計結果閲覧システムは、施設別(自施設初回治療開始例)にがん別登録数等の検索が可能なため、自宅近くの病院を探す一つの手がかりとして活用が期待されます。
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掲載サイト:がん情報サービスURL https://ganjoho.jp
「がん診療連携拠点病院等院内がん登録全国集計」(https://ganjoho.jp/reg_stat/statistics/brochure/hosp_c_registry.html)
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検索項目:自施設初回治療開始例におけるがん別、施設別、都道府県別、病期別(治療前、術後病理学、総合)、治療方法別、年齢階級別、性別登録数(検索可能ながん:胃癌、結腸癌、直腸癌、大腸癌、肝細胞癌、肝内胆管癌、肺小細胞癌、肺非小細胞癌、乳癌、食道癌、膵臓癌、前立腺癌、子宮頸癌、子宮内膜癌、膀胱癌、甲状腺乳頭・濾胞癌、甲状腺未分化癌、甲状腺髄様癌、胆嚢癌、喉頭癌、腎癌、腎盂尿管癌)(下線:新規追加)
【検索画面】
1.「がん」を選ぶ (オプションで臨床病期別集計値も選択可) |
院内がん登録について
「院内がん登録の実施に係る指針」 (平成27年12月15日厚生労働省公布)より
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院内がん登録とは
病院において、がん医療の状況を適確に把握するため、当該病院におけるがん患者について、全国がん登録情報よりも詳細な治療の状況を含む情報を収集し、院内がん登録データベースに記録し、および保存すること
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院内がん登録データベースの活用により期待される効果
- 病院において、当該病院において診療が行われたがんの罹患、診療、転帰等の情報を適確に把握し、治療の結果等を評価することおよび他の病院における評価と比較することにより、がん医療の質の向上が図られること
- 国立がん研究センターにおいて、院内がん情報等を全国規模で収集し、当該情報を基にしたがん統計等の算出等を行うことにより、専門的ながん医療を提供する医療機関の実態把握に資すること
- 病院や国立がん研究センターにおいて、院内がん情報等を適切に公表することにより、がん患者及びその家族等の医療機関の選択等に資すること
- 行政において、前号に基づき公表された院内がん情報を活用し、がん対策の企画立案やがん医療の分析及び評価を行うことにより、がん対策の充実が図られること
報道関係からのお問い合わせ先
本報告の内容に関するお問い合わせ
国立研究開発法人国立がん研究センター
〒104-0045 東京都中央区築地5-1-1
がん対策情報センター がん登録センター 院内がん登録分析室
TEL: 03-3542-2511(代表) 内線1600
その他全般
企画戦略局 広報企画室
TEL:03-3542-2511(代表)
E-mail:ncc-adminm●ncc.go.jp(●を@に置き換えてください)