がんの進展範囲を可視化し、根治的切除範囲の認識を支援する内視鏡手術システムを開発する共同プロジェクトを開始
2024年6月24日
朝日サージカルロボティクス株式会社
国立研究開発法人国立がん研究センター
発表のポイント
- 朝日サージカルロボティクス株式会社と国立がん研究センター東病院は、がんの進展範囲を可視化し、根治的切除範囲の認識を支援する内視鏡手術システムの開発を共同で進めます。
- 根治的切除範囲の精度向上により、術後合併症の発生率を低下させ、患者の生存率を向上させるなどの治療成績の改善が期待されます。
- 本プロジェクトは、国立がん研究センターで培ってきた内視鏡映像解析の技術を応用し、手術ロボットメーカーと医療機関が一体で進める先進的な手術システム開発プロジェクトです。
朝日サージカルロボティクス株式会社(代表取締役社長 千葉 和雄、千葉県柏市、以下「朝日サージカルロボティクス」)、国立研究開発法人 国立がん研究センター(理事長 中釜 斉、東京都中央区)東病院(病院長 土井 俊彦、千葉県柏市)以下「国立がん研究センター東病院」)は、がんの進展範囲を可視化し、根治的切除範囲の認識を支援する内視鏡手術システムの開発を正式に開始しました。
なお、本プロジェクトは、2024年4月10日付で国立研究開発法人 日本医療研究開発機構(AMED)における令和6年度「医療機器等における先進的研究開発・開発体制強靭化事業(先進的医療機器・システム等開発プロジェクト)」に採択されています。
1. プロジェクト内容
直腸がん内視鏡手術において、術前画像診断と術中内視鏡画像情報を統合化し、解剖認識を支援する内視鏡手術システムの開発を行います。 当面の間は机上での検討・開発を進め、開発の進度により臨床試験実施を検討します。
2. 背景
直腸は、骨盤内の様々な臓器と隣接することから、直腸がんの根治術を行う際には切除範囲の 選択が重要です。局所再発の危険性を低減するため、十分な切除範囲を確保する必要がある一方、術後の排尿・排便障害といった機能障害を避けるため、適切な切除範囲を選択する必要があります。外科医は通常がんの進展範囲をMRI/CT画像等により術前に診断し切除範囲を決定します。しかし、術中においては、内視鏡画像を通じてがんの進展範囲を完全に把握することは困難です。本開発プロジェクトは、外科医が術中にがんの進展範囲を正確に捉え最適な切除範囲を認識しながら内視鏡手術を完遂できる未来を目指してスタートしました。
3. 今後、期待されること
(1) 術後合併症の発生率を低下させ、術後生存率を向上させるなど、直腸がん手術の治療成績向上が期待されます。
(2) 手術支援システムの活用により、熟練した外科医チームと同等の質の高い手術を行うことで、周術期合併症や再手術の減少とともに、外科医の負担軽減等の効果が期待されます。
(3) 周術期の合併症や再手術の減少や在院日数の短縮という効果を通じて、医療資源の最適化を通じて、超高齢化社会に向けた医療の持続可能性に貢献することが期待されます。
お問い合わせ先
研究に関する問い合わせ
国立研究開発法人国立がん研究センター東病院
NEXT医療機器開発センター事務局
電話番号:04-7130-0199
Eメール:NEXT_AxL●east.ncc.go.jp
広報窓口
朝日サージカルロボティクス株式会社
管理グループ
電話番号:04-7136-1496
Eメール: amed-kanri●asahi-surgrob.com
国立がん研究センターへの取材に関する問い合わせ
国立研究開発法人国立がん研究センター
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Eメール:ncc-admin●ncc.go.jp