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国立がん研究センター

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国立がん研究センター、医療機器スタートアップの国際展開に向けた新たな支援を始動し、日本の医療機器産業のグローバル化を促進します

2024年10月22日

国立研究開発法人国立がん研究センター

発表のポイント

  • 国立がん研究センター東病院は、NEXT医療機器開発センターを基点に海外企業を含むパートナーシップを構築し日本発の医療機器スタートアップの国際展開を支援する新たな取り組みを開始します。
  • この新たな取り組みでは、国際展開のための人材育成プログラム、グローバル開発における薬事戦略相談プログラム、米国展開ハンズオン支援プログラムの3種類を提供します。
  • 今年度はスタートアップ3社を選定し、具体的な支援活動を展開するとともに、拠点内の支援人材の育成や海外拠点との連携を進め、「世界の医療を変える」医療機器のグローバル展開を実現するエコシステム拠点を構築していきます。

概要

国立研究開発法人国立がん研究センター(理事長:中釜 斉、東京都中央区)東病院(病院長:土井 俊彦、千葉県柏市)は、医療機器イノベーション創出と社会実装を目指すNEXT医療機器開発センターを基点に海外企業を含むパートナーシップを構築し、日本発の医療機器スタートアップの国際展開を支援する新たな取り組みを開始いたします。この取り組みは、国立がん研究センター東病院 副院長/医療機器開発推進部門長伊藤 雅昭が、国立研究開発法人 日本医療研究開発機構(AMED)の「優れた医療機器の創出に係る産業振興拠点強化事業」の採択を受けて実施するものです。この取り組みを通じて、日本の医療機器産業のグローバル化を促進し、医療機器開発のエコシステム構築を後押しすることを目的としています。

背景

医療機器イノベーションを創出するには、現場ニーズに即した開発を行うことが肝要です。また、そのためには、企業や研究者、医療従事者など、開発に携わるプレイヤーの伴走支援を行う産業振興拠点が必要です。このような見解から、東病院では、これまで医療機器開発人材の育成やプロジェクト伴走支援に取り組み、一定の成果を上げてきました。

しかし、今後も日本が国内だけでなく世界の人々の健康に貢献し続けていくためには、国内の医療機器産業に官民双方から安定した研究開発資金を投入し、特にスタートアップを中心とした産業振興が推進されることが重要です。一方で、医療機器産業は高い成長が期待される分野であるにもかかわらず、グローバル市場に対する日本市場のシェアは、1990年の22.1%から 2018 年の 7.3%まで低下しており、国内市場はグローバル市場と比較して成長の伸びは低いと見込まれます。注1このため、医療機器産業のエコシステム構築にはグローバル展開が欠かせない状況です。

グローバル展開を進めるためには、医療機器開発のエコシステム形成に成功している米国の事例や市場を熟知する国内人材を育成すること、また、日本発スタートアップによる米国市場での成功事例を創り出すことが喫緊の課題となっています。

注1 経済産業省「医療機器産業ビジョン 2024」より

本取り組みの内容

  • 国際展開のための人材育成プログラム
    米国シリコンバレーに拠点を置くKicker Ventures社が主催する『Kicker AccelFit』との連携により、米国を中心としたグローバル市場への展開に必要な基礎知識を習得するためのレクチャーと個別メンタリングセッションを提供します。このプログラムでは、実際に国際展開する上でクリアしなければならない法規制、流通の仕組み、法人の設立方法等、実践的な知識やスキルを身につけることができます。
  • 薬事戦略相談プログラム
    Mk DUO合同会社(代表:肘井 一也、東京都国分寺市)との連携により、米国及び各国の医療機器法規制に対応する薬事戦略の立案及び許認可の取得を支援します。
  • 米国展開ハンズオン支援プログラム
    Nozomi Medalliance社(VP of Marketing & Business Development:Jeff Marks、東京都港区虎ノ門)、Theranova社(CEO:Dan Burnett、カルフォルニア州サンフランシスコ)の協力のもと、米国市場への進出を計画するスタートアップを対象に、今年度は市場調査やパートナー探索、事業戦略構築等に関するハンズオンを実施し、さらには2025年度以降、米国での事業基盤を整えるためのインキュベーション施設滞在を支援していく予定です。

この取り組みは、日本が優れた革新的医療機器を創出するエコシステムを構築するため、人材育成やリスキリングにより、医療機器の創出を一貫して把握した高度人材の創出を行うこと、及び、医療機器スタートアップ企業の振興ができる拠点の整備を行うことを目的に策定されました。

本取り組みの前身であるAMED「次世代医療機器連携拠点整備等事業」注2では、医療機器人材育成プログラム『イノベーションの虎』や臨床現場観察の受け入れ、企業、またはアカデミアとの共同プロジェクトの伴走支援を行い、17件の共同開発製品の創出、4つの国立がん研究センター発スタートアップ設立への貢献をしました。本取り組みでは、スタートアップの国際展開に向けた支援だけではなく、従来取り組んできた支援活動も継続して行います。また、前事業で得た経験をもとに、医療機器アントレプレナー育成に必要なハンズオンやワークショップ、臨床ニーズ検証の機会の提供を加えたメドテックスタートアップ共創プラットフォーム『イノベーションの虎~2024~』を始動し、医療機器の創出拠点として強化を図ります。
注2 次世代医療機器連携拠点整備等事業:2019年7月から2024年3月に実施された事業

国立がん研究センター東病院 副院長/医療機器開発推進部門長 伊藤 雅昭のコメント

この取り組みを通じて、がん領域におけるハイボリュームセンターであり、国立高度専門医療研究センターでもある東病院を医療機器産業振興の拠点として、医療機器産業における支援の在り方や役割を模索し、産官学連携で日本の医療機器産業発展に積極的に貢献していきたいと思います。

展望

今年度は3社のスタートアップを選定し、国際展開に向けた人材育成プログラムや米国展開のハンズオン支援を提供しながら、拠点内の人材育成にも注力してまいります。そして、医療機器開発やスタートアップの支援において、早い段階から国際展開を視野に入れた伴走支援を提供できる体制の構築を目指します。

NEXT医療機器開発センターについて

NEXT医療機器開発センターは、産学官・医工連携で臨床ニーズに基づいた次世代に望まれる革新的医療機器を開発するため、国立がん研究センター東病院に2017年5月に開設された組織です。医療機器企業、ものづくり企業、アカデミア、そして地域との連携で、医療機器開発を推進するとともに、臨床試験・治験のフィールドで医療機器開発を支援しています。また、臨床と隣り合わせのインキュベーション施設として人材育成、情報発信に取り組んでいます。

研究費

国立研究開発法人 日本医療研究開発機構(AMED)

公募名(事業名):優れた医療機器の創出に係る産業振興拠点強化事業

補助事業課題名:「世界の医療を変える」医療機器のグローバル展開を実現するエコシステム拠点の構築

補助事業代表者名:伊藤 雅昭

お問い合わせ先

  • 研究に関するお問い合わせ
    国立研究開発法人国立がん研究センター
    NEXT医療機器開発センター事務局 鈴木 佳代
    電話番号:04-7130-0199
    Eメール:NEXT_AxL●east.ncc.go.jp
  • 広報窓口
    国立研究開発法人国立がん研究センター
    企画戦略局 広報企画室(柏キャンパス)
    電話番号:04-7133-1111(代表)
    Eメール:ncc-admin●ncc.go.jp

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