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2023年のがん診療連携拠点病院等におけるがん診療の状況

院内がん登録2023年登録集計 公表
2023年のがん診療連携拠点病院等におけるがん診療の状況

2025年2月13日
国立研究開発法人国立がん研究センター
国立研究開発法人国立がん研究センターは、国が指定するがん診療連携拠点病院等(以下「拠点病院」という。)と小児がん拠点病院(以下「小児拠点」という。)、その他のがん診療を行う院内がん登録実施施設(以下「拠点外病院」という。)において、2023年1月1日から12月31日の1年間にがんと診断または治療された患者さんの院内がん登録データを収集し、集計した結果を報告書にまとめ公表します。
国立がん研究センター がん情報サービス「がん統計」院内がん登録全国集計 報告書ページ(外部サイトにリンクします)

    がん登録とは

    がんの罹患(病気にかかること)や転帰(最終的にどうなったか)という状況を登録・把握し、分析する仕組みで、がんの患者数や罹患率、生存率、治療効果等、がんを取り巻く状況を把握し、がん対策の基礎データとして必要な仕組みです。がん対策を推進するためには、正確ながんの実態把握が必要であり、その中心的な役割を果たすのが「がん登録」です。がん登録には、院内がん登録と全国がん登録の2種類があります。(厚生労働省がん登録「がん登録とは」から一部引用)

    院内がん登録

    拠点病院を中心に、全国約880病院で行われているものです。その登録データを国立がん研究センターで収集・集計し、得られた診療実績を用いて、医療の実態把握を行い、質の向上を図ることや、患者さんの医療機関選択に資する情報を提供しています。

    全国がん登録

    全国の病院(一部診療所を含む)において義務として行われているもので、各施設でがんと診断されたすべての患者さんの登録データを国が収集・集計し、得られた罹患数・率は、国および都道府県のがん対策に活用されています。

    院内がん登録2023年登録集計の概要

    拠点病院461施設、小児拠点6施設、拠点外病院415施設の計882施設において、2023年1月1日から12月31日までの1年間にがんと診断または治療された症例の登録データを収集しました。その結果、2023年の全登録数は1,149,859例でした。

    特別集計:2018年から2023年の登録数および対策型がん検診による発見登録数の比較概要

    新型コロナウイルス感染症の流行下におけるがん診療の実態を把握するため、2018年から2023年の6年間を通して登録データの提出があった拠点病院455施設と小児拠点6施設、拠点外病院277施設の計738施設6,151,877例の登録データを用いて、その推移と対策型がん検診の対象部位である、胃、大腸、肺、乳房、子宮頸部(以下「対策型がん検診推奨部位」という。)を中心に、特別集計として分析しました。

    特別集計:2018年から2023年における診断月等要因別の登録数の比較 結果のポイント

    2023年登録数はゆるやかに増加傾向

    2023年登録数を2018-2019年登録数の2カ年平均登録数(以下「2カ年平均登録数」という。)と比較したところ、2020年登録数は96.0%と減少していましたが、2021年登録数は101.0%、2022年登録数は102.4%、2023年登録数は104.4%と、ゆるやかに増加していました(図1)。(報告書P115)

    <図1>2ヵ年平均登録数と2020年、2021年、2022年、2023年の登録数との比

    2ヵ年平均登録数と2020年、2021年、2022年、2023年の登録数との比の画像

    対策型がん検診推奨部位における2023年登録数の発見経緯別割合は、胃は減少、乳房は増加傾向が継続、子宮頸部は横ばい

    対策型がん検診推奨部位(胃、大腸、肺、乳房、子宮頸部)を、発見経緯別(がんと診断された経緯)に検診発見例と非検診発見例に分け、2023年登録数を2カ年平均登録数と比較したところ、検診発見例は101.7%でした。これをがん検診推奨部位別に検診発見例の登録数をみると、胃は2023年も減少傾向が継続し、大腸と肺は2022年からは微増したものの2カ年平均登録数より減少した状態が継続、乳房は2021年以降増加傾向が継続しています。子宮頸部は2020年に減少、2021年に増加しましたが、2022年は再び減少に転じ2023年は横ばいでした(表1)。(報告書P121から122)

    <表1>発見経緯別がん検診発見例登録数の2018-2019年2ヵ年平均登録数との比

    がん検診
    推奨部位
    2020年 2021年 2022年 2023年
    77.3% 87.8% 86.4% 82.0%
    大腸 86.7% 95.9% 95.8% 98.3%
    88.5% 98.7% 97.0% 98.1%
    乳房(女性) 89.8% 106.1% 110.6% 116.0%
    子宮頸部 87.6% 98.3% 91.2% 91.6%

    対策型がん検診推奨部位における病期別登録割合は、非小細胞肺がんのI期が増加傾向、子宮頸部の0期I期が減少傾向

    部位別総合病期別登録割合について、2023年登録数を2018-2019年2カ年平均登録数と比較したところ、胃がん、大腸がん、乳がんの病期別登録割合にほぼ変化はありませんでした。肺がんにおける主な組織型の1つである非小細胞肺がん(腺がん、扁平上皮がん等)はI期の割合が増加、子宮頸がんでは0・I期の割合が減少していました。子宮頸がんの0・I期の割合の減少は、表1で示した検診発見例の減少が一因となった可能性が考えられます(表2)。(報告書P123から125)

    <表2>部位別病期別登録割合(2018-2019年2ヵ年平均登録数と比較)

    2023年 0期 I期 II期 III期 IV期
    胃がん 0.3% -0.1% -0.1% 0.4%
    大腸がん 0.7% -0.3% 0.1% 0.1% 0.4%
    非小細胞肺がん -0.4% 2.6% -0.5% -1.1% -0.6%
    乳がん 0.2% -1.1% 0.8% -0.2% 0.3%
    子宮頸がん -0.2% -1.0% 0.1% 0.9% 0.2%

    2021年からゆるやかに登録数が増加

    参考として、2015年から2023年の9年間継続して院内がん登録データの提出があった施設に限定して登録数の推移を観察すると、2015~2019年にかけて全がんの登録数は増加していたが、2020年に減少しました。その後、2021年は2019年と同程度、2022年と2023年はゆるやかに登録数が増加していましたが、少なくとも2020年の減少分が上乗せされている様子は見受けられませんでした(図2)。(報告書P130)

    <図2>2015年-2023年の年間登録数の推移

     2015年-2023年の年間登録数の推移の画像

    ただし、本報告の数値は全てのがん患者を把握しているものではなく、本集計参加施設における登録数を示すものです。そのため、新型コロナウイルス感染拡大の影響を正確に把握することは困難です。新型コロナウイルスの感染拡大によるがん診療への影響等は、全医療機関から悉皆性をもって情報を収集した全国がん登録等のデータによる分析が必要です。しかしながら、即時性の点から院内がん登録による集計のメリットは大きく、本報告の数値に基づいて迅速な対策をとることや、全国がん登録等のデータ解析の事前情報として非常に有益と考えます。今後も院内がん登録における集計を継続し、登録数の推移を確認する必要があります。

    お問い合わせ先

    院内がん登録全国集計について

    国立研究開発法人 国立がん研究センター がん対策研究所
    がん登録センター 院内がん登録分析室
    〒104-0045 東京都中央区築地5-1-1
    ダイヤルイン:03-3547-5201(内線1600) E-mail:hbcr_analysis●ml.res.ncc.go.jp(●を@に変更してください)

    その他全般について

    国立研究開発法人 国立がん研究センター 企画戦略局 広報企画室
    担当:がん対策研究所 がん登録センター 院内がん登録室
    〒104-0045 東京都中央区築地5-1-1
    ダイヤルイン:03-3547-5201(内線 3548)
    TEL:03-3542-2511(代表) E-mail:ncc-admin●ncc.go.jp(●を@に変更してください)

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