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免疫ゲノム解析部門
研究室の紹介
免疫チェックポイント阻害剤の承認から10年以上が経過し、多様ながん種に適応が拡大されるとともに長期の臨床成績が明らかになってきました。その結果、免疫チェックポイント阻害剤に様々な併用薬を加えたがん免疫複合療法を駆使した場合でも長期生存を達成できる割合は十分とは言えず色々な課題が見えてきました。同時に、がんの増悪・進展において生体が持つ免疫機能による調整が不可欠であることも分かってきました。私達は、がん免疫複合療法にも関わらず、なぜ十分に効果を発揮できないのか、なぜ長期に治療効果が持続できないのか、という課題について、実際に治療をうけた症例から検体を提供頂き、キャッチアップ可能な最新の技術を取りいれて腫瘍微小環境の免疫・ゲノムに関する詳細な解析を行うことで、治療抵抗性・耐性化の克服に繋がる標的を探索し続けています。
技術支援
免疫ゲノム解析部門では、国立がん研究センターにおける研究連携の強化を図るために設置されているFIOC(Fundamental Innovative Oncology Core)の1部門として、手術検体・生検検体・体腔液など様々なヒト腫瘍組織における微小環境の免疫学的解析(マルチカラーフローサイトメトリー、多重免疫染色、免疫細胞を用いた機能解析など)並びに遺伝子発現解析(RNAシークエンス、シングルセルシークエンスなど)を中心とした技術支援を行い、がん免疫研究の推進を目指して参ります。二重特異性抗体や抗体薬物複合体などにも対応した位置情報解析にも取り組んでおります。
研究内容
様々ながん種(特に消化器がん、肺がん、泌尿器がん、頭頚部がん、皮膚がん)の治療前(後)の臨床検体を用いて、がん細胞が持つ特定の遺伝子変異や遺伝子発現が腫瘍微小環境においてがん細胞自体の免疫原性(内因性の変化)や腫瘍に浸潤する免疫細胞・ストローマ細胞の特徴(外因性の変化)に与える影響を解析し、がん免疫複合療法に対する感受性もしくは抵抗性に関わる分子を探索しています。同定した標的分子については、その機能をマウスモデルで解析し新たな治療標的としての可能性を提案します。
- がん細胞の膜上に発現する分子による腫瘍免疫微小環境の修飾とそれらを標的とした治療法の開発
- 病態に基づく腫瘍浸潤骨髄球系細胞の抑制性サブセットによる免疫抑制機構の解析
- 免疫細胞浸潤が乏しいもしくは排除されたnon-inflamed 腫瘍に対する免疫賦活化誘導の検討
など