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がんを発症する以前の正常組織や前がん病変にみられるゲノム異常の解析
がんは遺伝子異常により起こる疾患ですが、がんを発症する以前の正常組織においても遺伝子異常が加齢や環境因子により蓄積しており、発がんの直接の原因として知られているドライバー遺伝子変異も獲得されていることが様々な臓器について報告されています。そのため、早期の発がんメカニズムの解明のためにはがんを発生する以前の正常組織における遺伝子異常を理解することが重要だと考えています。
これまでに当研究室は、正常気管支上皮細胞の全ゲノム解析により、加齢や喫煙により体細胞性変異が蓄積し、TP53やNOTCH1などの肺癌と共通するドライバー変異がすでに獲得されていることを報告しました(Yoshida et al., Nature. 2020)(図)。この他にも、食道(Yokoyama et al., Nature. 2019)、大腸(Kakiuchi et al., Nature. 2020)、乳腺(Nishimura et al., Nature. 2023)、血液などの正常細胞に蓄積するゲノム異常の研究にも取り組んできました。
正常組織はクローンのサイズが小さいことからがんに比べて解析が困難ですが、単一細胞由来のオルガノイド(コロニー)作成やレーザーマイクロダイセクションなどの方法による微小サンプリングによりゲノム解析が可能となってきました。当研究室では、今後さらに様々な臓器における正常組織にみられるゲノム異常と環境因子、治療などとの関係、さらには遺伝子発現やDNAメチル化の関係について研究を進めていきたいと考えています。