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分子発がん研究ユニット

研究室の紹介

分子発がん研究ユニットでは、細胞内non-coding RNAの一つであるマイクロRNA(miRNA)に着目し、その機能を知ることで、発がんの分子メカニズムを理解し、新たながん治療法や診断法に資する基盤的研究を行なっています。

miRNAは、約22塩基ほどの小さなRNAですが、ヒトのゲノム中には2000を超えるmiRNA遺伝子がコードされています。それらは、タンパク質をコードする遺伝子と同様に、組織に特異的な発現パターンを示します。miRNAは細胞内において、標的とするmRNAと相互作用することにより、遺伝子の発現を負に制御することが知られています。つまり、miRNAにより特定遺伝子の発現が制御されていると言うことです。miRNAは遺伝子発現制御因子として、固体の発生、細胞分化や細胞死の制御に必須であり、その機能異常はヒト疾患の病態誘発と深く関連していることがわかってきました。特に、“がん”は遺伝子発現の異常に起因する疾患です。発がん過程では、様々なゲノム・エピゲノムの異常が生じますが、miRNAの発現異常も起こります。ヒト悪性腫瘍のほとんど全てのケースでmiRNAの発現異常が観察されます。

私たちは、分子生物学・細胞生物学・生化学的手法を駆使し、“発がんとは?”“がん細胞とは?”との問いに対して、答えの一端となる科学的な知見を得ること、その成果をがんの新たな治療法や診断法へと応用することを目指して日々研究活動に取り組んでいます。

マイクロRNAの説明画像

お知らせ

研究プロジェクト“ miRNAの機能多様性制御メカニズムの発がんにおける役割 ”の研究成果として、「IGF2BP3を介したマイクロRNAの多様性制御が早期肺腺癌の悪性度を決定する」という内容の論文をProceedings of the National Academy of Sciences of the United States of America(PNAS)に発表しました。研究内容の詳細は研究プロジェクトのページで紹介しています。

Fujiwara Y., Takahashi R., Saito M., Umakoshi M., Shimada Y., Koyama K., Yatabe Y., Watanabe S., Koyota S., Minamiya Y., Tahara H., Kono K., Shiraishi K., Kohno T., Goto A., Tsuchiya N. “Oncofetal IGF2BP3-mediated control of microRNA structural diversity in the malignancy of early-stage lung adenocarcinoma.” Proc Natl Acad Sci USA. 121(36): e2407016121, 2024.(外部サイトにリンクします)