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成人T細胞白血病リンパ腫の全ゲノム解析
以前に実施したATLの統合解析により病態に関する多数の知見を得ることができましたが、このとき行われた解析はエクソン領域を中心とした解析であり、未解明のゲノム領域が残されていました。そこで、我々は国内外の施設から150例のATLサンプルを収集し、高深度全ゲノム解析を行いました(Kogure Y, Blood, 2022)。これによりタンパクコード・非コード変異、構造異常、コピー数異常のデータを同時に解析することが可能となり、合計56個のドライバー遺伝子を同定しました。この中には、以前は解析されていなかったエクソンに多数の異常を認めたCIC遺伝子(ATLの33%)や、構造異常によるC末端切断が高頻度に起きていたREL遺伝子(ATLの13%、GCB型のDLBCLで13%)等の11個の新規遺伝子が含まれていました。アイソフォーム特異的Cicノックアウトマウスの解析により、CIC-LがT細胞の分化・増殖を制御する上で選択的に作用していることも突き止めました。また、タンパク非コード領域ではスプライス部位の変異を繰り返し認めました。更に、全ゲノム解析による遺伝子異常の情報を用いて、ATL患者を二群に分類でき、この分類は臨床所見や予後と関連していることを明らかにしました。
プレスリリース:「成人T細胞白血病リンパ腫(ATL)のゲノム異常の全体像を解明-がん研究における全ゲノム解析の可能性を示す-」
図:全ゲノム解析で解明されたATLのゲノム異常の全体像(Kogure Y, Blood, 2022)
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