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研究の奥の細道2019年
12月13日(京都)
First QNM-iCeMS Symposium: Exploring New Approaches for Cancer Therapy(PDF:254KB)にて、「Patient-derived cancer model」と題する講演を行いました。異なる分野の研究者が学際的な議論を行う場として、本シンポジウムはたいへんおもしろいものでした。歴史のある大学らしい趣のある建物で行われた懇親会もたいへん楽しく、次回以降も聴衆として参加したいと思いました。
12月12日(東京)
武蔵野大学薬学部にて特別講義「患者由来がんモデル」を行いました。この6年間、武蔵野大学で客員教授を務めさせていただいており、毎年2回の特別講義を行っています。これから学問を修める学生さんに、最先端のがん研究を理解していただけるように工夫して準備をしましたが、果たしてどうだったのか。講義の内容を毎回アップデート、バージョンアップし、完成度を高めていこうとしています。
12月7から8日(台南、台湾)
2019 Multi-omics and Precision Medicine Joint Conference (MOPM2019)(外部リンク)に参加しました。台湾プロテオーム学会会長のJau-Song Yu教授の御好意で招待していただき、「Patient-derived cancer model-Indispensable tool for poroteogenomics」と題する基調講演を行いました。台湾は歴史的に日本と関係が深く、台湾の方々は日本人にとても好意的で、交通機関でも街中でも知らない人から流暢な日本語で話しかけられたりします。台北から台南へ移動しましたが、英語が通じることが多いので移動には苦労しませんでした。本学会の会場となった成功大学の風景は、設立に日本人が関わっただけあってか日本の大学とたいへんよく似ており、母校を思い出して懐かしい感じがするほどでした。プロテオーム解析が関わる学会だけに、がん研究への取り組みは日本と似ており(世界中共通?)、フロアでは話すことがたくさんありました。今回の訪問を機会に、交流をさらに深めていきたいと思います。
11月13から16日(東京)
The Connectivity Tissue Oncology Society 2019 Annual Meeting(外部サイトにリンク)に参加しました。本学会は肉腫の学会としては世界最大のものです。肉腫の新しい抗がん剤の臨床試験の最新の結果や、基礎研究の進捗状況を把握することができる学会です。世界中の肉腫研究者が集まるので、打合せの場としても重宝しています。本学術集会は今回初めて日本で開催され、国立がん研究センター・骨軟部腫瘍科の川井章先生が大会長を務められました。来年はフロリダで開催とのことです。
10月29日から11月2日(マイアミ、米国)
Leaders in Biobanking Congress 2019(外部サイト)に参加しました。バイオバンクのデータ管理のプログラムの実際や認証の仕組み、研究目的に合った運用方法、特定の細胞の新しい分画・保存法、希少がんに特化したバイオバンクの実例、患者由来がんモデルのバンク化など、参考になる話を聴いてきました。さまざまな国のバイオバンクの運営に関わる方が参加されており、交流会では意見交換をすることができました。
10月25日(東京)
第69回日本電気泳動学会シンポジウム(外部サイト) に参加しました。私の研究室でプロテオーム解析やバイオマーカー開発を行っておられた菊田一貴先生(栃木県立がんセンター・骨軟部腫瘍科・科長)が主催される会です。私は「肉腫の蛍光二次元電気泳動法:バイオマーカー開発から患者由来がんモデルまで」と題する講演を行いました。
10月19から20日(東京)
第37回日本ヒト細胞学会学術集会(外部サイト)に参加しました。基礎から臨床までを網羅する内容で、楽しい二日間でした。当研究室からは2演題を発表しました。肉腫の細胞株の樹立と、樹立した細胞株を用いたオミクス解析および薬効評価試験の統合的な解析について、御紹介しました。
10月17から18日(横浜)
第34回日本整形外科学会基礎学術集会:基礎と臨床の融合(外部サイト) に参加しました。二日目に、「希少がんの研究材料―骨軟部肉腫細胞株とPDXモデルの樹立―」と題するパネルディスカッションを企画しました。6名の国内外の研究者の方にご登壇いただき、私自身も「腫瘍組織を用いた患者由来「肉腫」モデルの開発」と題する講演をしました。肉腫の細胞株やゼノグラフトを入手しやすくするにはどうしたらよいのか、今のがんモデルの限界、などについて討論し、盛況なセッションとなりました。本学術集会では肉腫研究に限らず整形外科領域のさまざまな基礎研究がとりあげられており、勉強になりました。いろいろな視点をがん研究に取り入れるために、がん以外の疾患のことを学ぶのも必要ではないかと思います。
大阪国際がんセンターの中紀文先生と座長を務めさせていただきました。
講演の模様
9月26日から28日 第78回日本癌学会学術総会(京都)
第78回日本癌学会学術総会(外部サイトにリンクします。)に参加しました。当研究室からはポスター発表、口頭発表を行いました。私はランチョンセミナーで「患者由来がんモデルの開発と応用:希少がんの研究者からみた現状と展望」と題する講演を行いました。講演は最終日にも関わらず多数の方に御参加いただき、本分野への関心の高さが伺えました。
希少がんや希少な変異をもつ腫瘍のPDXや細胞株を用いた共同研究にご興味のある方は、ぜひご一報ください(takondo●ncc.go.jp(●を@に置き換えてください))。大学など公的機関だけでなく、製薬企業など民間企業との共同研究においてもご使用いただいています。
9月25日 第39回日本分子腫瘍マーカー研究会(京都)
第39回日本分子腫瘍マーカー研究会:ボーダレス時代を迎えた腫瘍マーカー研究(外部サイトにリンクします。)に参加しました。臨床や病理のトピックスそしてバイオマーカーの基礎研究から臨床応用まで最新の話を聞くことができ、たいへん勉強になる研究会でした。シンポジウムでは成松久先生(産業総合研究所)の楽しい御講演を久しぶりに拝聴し、いつもながら元気づけられました。懇親会では、奨励賞としてフレッシュな学生・若手研究者の発表が取り上げられ、本分野の明るい将来を感じました。来年は広島で開催とのこと。楽しみにしています。
9月15日から19日(アデレード、オーストラリア)
Human Proteome Organization (HUPO)(外部サイトにリンクします。)年会に参加しました。HUPOはプロテオーム解析の世界最大規模の学術集会です。年会は、北米、ヨーロッパ、アジア・オセアニアの地域が持ち回りで、2002年から毎年開催されています。今年はオーストラリアでの開催でした。私は特別セッション「International Cancer Proteogenomics Consortium (ICPC) Initiative」にて、「Patient-derived cancer model for proteogenomics: Report by ICPC Japan team」と題する講演を行いました。私の印象としては、この分野は米国、台湾、オーストラリアが進んでおり、イギリス、ドイツ、カナダがそれに続いているようです。これから日本もがんばりたいところです。来年はストックホルムで開催とのこと。今から楽しみです。9月14日(アデレード、オーストラリア)
International Cancer Proteogenomics Consortium (ICPC)(外部サイトにリンクします。)の代表者会議に出席しました。ICPCは、ゲノムとプロテオームを統合的に解析し、がんの新しい治療法やバイオマーカーの開発、そしてがんの本態解明に役立つ知見を得ようとする国際コンソーシアムです。現在、13か国が参加し、各種の悪性腫瘍をそれぞれの国が担当しています。日本は国立がん研究センターが代表となり肉腫を担当し、京都大学、がん研究会、徳島大学、岩手医科大学などの研究者が関わっています。多数の研究施設が協力することで、がんの理解や治療に役立つ知見を得ようとしています。このような取り組みは、希少がんの研究では特に重要だと思います。
代表者会議の集合写真。
8月23日から24日(東京)
第32回バイオメディカル分析化学シンポジウムー異分野融合を目指す分析化学―(外部サイトにリンクします)に参加してきました。一日目は「がん研究者からみた異分野が融合する研究の楽しさと難しさ」と題する講演を行いました。バイオマーカー開発のパターン(トップダウンとボトムアップ)、異分野交流が欠かせない理由、成功する共同研究の工夫、などについてお話ししました。講演・ポスター発表では、普段あまり触れることのない研究について学ばせていただきました。
主催者の川原正博(武蔵野大学)、中村洋先生(中央温泉研究所)、Yong-Moon Lee先生(忠北大学、韓国)と記念写真。これからもよろしくお願いします。
8月6から7日(サンディエゴ、米国)
AntiCancer社のホフマン教授を訪問しました。同社は同所性の腫瘍移植モデルを開発し受託解析を行っています。今回、ホフマン教授の御好意により、さまざまな臓器における同所性移植モデルの作製の手技を伝授していただきました。
ホフマン教授と研究室にて。移植の手技を丁寧に教えていただいたポスドクの方々、どうもありがとうございました。これからの研究に活用させていただきます。
7月31日-8月2日(東京)
第3回患者由来がんモデル研究会(外部サイト) を開催しました。参加者286名と、たいへん盛況な会になりました。情報交換会にも80名以上の方に御参加いただき、おいしいお酒と共に意見交換を進めました。講演いただいた研究者の方々、展示・広告にご協力いただいた企業の方々、どうもありがとうございました。来年はさらによい会にするようがんばります。
7月24日から27日(宮崎)
日本プロテオーム学会2019年大会・第70回日本電気泳動学会総会 合同大会(外部サイトにリンクします。) に参加しました。3日目に、シンポジウム「ゲノム医学の時代のがん研究に有用な電気泳動法とその関連技術」を企画しました。電気泳動法の基盤的な分離技術やバイオインフォマティクスの手法開発、そして臨床検体を用いたバイオマーカー開発を取り上げました。
シンポジウム終了後の、講演者との記念撮影。左から、服部恵美氏(希少がん研究分野)、菊田一貴先生(栃木県立がんセンター)、私(近藤格)。南国・宮崎での開催ということで、アロハシャツがオフィシャルスーツでした。
7月4日から7月5日(横浜)
第35回日本DDS学会学術集会(外部サイトにリンクします。)に参加しました。本学会はDDSに関する学際的な学会で、いろいろな分野の方々が参加されていることが印象的でした。二日目は、ランチョンセミナーにて「患者由来がんモデルの開発と応用」と題する講演を行いました。患者由来がんモデルの研究を始めることになった個人的な背景からはじめ、本分野の最近の動向から過去10年および100年の歴史的な背景、そして希少がん研究やゲノム医学に求められるがんモデルまでお話しさせていただきました。
7月5から7月7日(博多)
第5回クリニカルバイオバンク学会シンポジウム(外部サイトにリンクします。)に参加しました。バイオバンクの仕組みは、日頃ありがたく使わせていただいています。希少がん研究を円滑に行うためには、バイオバンクのいっそうの充実が望まれます。医療均霑化が原則の本邦では複数のバイオバンクが必要であり、その連携も必要だと思います。本シンポジウムでは、国内外のバイオバンクの現状や課題そしてこれからの方向性について勉強になりました。
6月22日(上海、東京)
「Advance of Peripheral Nerve Compression and Soft Tissue Tumor Diagnosis and Treatment」にて講演をしてきました。本会は、神経に関連した疾患に関係する臨床医、研究者が集う研究会です。主催した復旦大学華山医院の方とはMPNSTについて共同研究を行っています。希少がん研究分野ではMPNSTの患者由来がんモデルを多数樹立しており、細胞株を提供することになりました。がんモデルを用いた研究の進め方について話し合いをしました。
6月20から22日(東京)
第26回HAB研究機構学術年会(外部サイトにリンクします。)に参加しました。バイオバンクを構築する機関の外部の方々、とくに民間企業の研究者にバイオバンク試料を有効に使っていただく工夫について学ばせていただきました。製薬企業では海外から輸入された生体試料が使われているようですが、国内からもっと供給できるようになれば創薬研究が活性化されるのではないかと思います。何とかしたいものです。
5月31日から6月4日(シカゴ、米国)
American Society of Clinical Oncology (ASCO)(外部サイトにリンクします。)年会に参加しました。この学会では最新のがん治療の進捗状況を把握することができます。毎年がんの治療法が進歩しているのを感じます。米国でのトレンドが日本のがん研究・臨床にいかに影響を与えているか、この学会に来ると如実にわかる気がします。大きな国際学会に出席することのメリットは、海外の複数の方とのミーティングが短期間でできることです。今回も、有意義な話し合いを進めることができました。
5月11日(東京)
第15回日本臨床プロテオゲノミクス研究会(外部サイトにリンクします。)に参加しました。プロテオミクス・ゲノミクスの臨床応用に関する発表が充実しているところが、本研究会の特色です。ゲノムとその機能的な翻訳産物であるプロテオームと、両者を統合的に調べることで、かつてない発見が期待されます。教育講演として、「プロテオミクスによるがんバイオマーカー開発をこれから始める方へ:事前確率、がんモデル、プロテオゲノミクスの重要性について」と題する講演をしてきました。これから研究を始める方には、今までの歴史や成果、そして我々の失敗や反省を踏まえて、さらなる高みを目指していただきたいものです。本会には80名以上の方々が参加され、懇親会ともども盛況のうちに閉会しました。
5月10日(東京)
第108回日本病理学会総会(外部サイトにリンクします。)に参加しました。シンポジウム「オルガノイドとPDX」にて「患者由来『肉腫』モデルの開発:肉腫のモデル開発から学ぶこと」と題する講演をしてきました。肉腫に限らず希少がん全般において、よいモデルが存在しないことが、新しい治療法開発の障害となっています。がんのよいモデルを作るためには、モデルの対象となる臨床的な腫瘍をよく知らないといけないのですが、一般に基礎研究者が苦手とするところです。既存のモデルは臨床的な腫瘍の何をモデル化しているのか、何を指標としてモデルを評価するべきなのか、そして、どうすればよいモデルを作ることができるのか、が課題です。がんのモデル開発にあたっては、病理医の方に教えていただくところが大きいと思います。
3月31日-4月3日(アトランタ、米国)
American Association of Cancer Research (AACR)(外部サイトにリンクします。)年会に参加しました。AACRは世界最大規模のがん学会で、がん研究の世界的な動向を捉えることができます。AACRでは臨床的な研究が中心的に取り上げられるようになり、ゲノム医療や免疫療法の発展とも合わせ、がん研究の変遷をここ数年感じています。いろいろな国の研究者や企業の方と効率よく打ち合わせができることも、本会に参加することの大きなメリットです。一方、研究がグローバル化しているせいか奇抜な研究や製品を見かけないのが本会の物足りないところで、小さな研究会も捨てがたいと考える所以です。小さな研究会と大きな学会と、今年も忙しくなりそうです。
3月28-29日(ソウル、韓国)
第19回Korea Human Proteome Organization (KHUPO)年会に参加しました。今回、大会長のJe-Yoel Cho先生の御采配で、KHUPO年会に招待していただきました。会場のSeoul National Universityはソウル郊外に位置し、都会の喧騒から離れてじっくり物事を考えるにはよい場所だと感じました。学会に出席し、KHUPOは若手研究者がよく育っているという印象を強く受けました。また、ゲノム研究の次の段階として、プロテオミクスはますます重要になると改めて感じました。私は二日目に「What we can learn from biomarker study」と題したシンポジウム講演にて、事前確率、がんモデル、プロテオゲノミクスについて話しました。KHUPOは第10回Asia-Oceania Human Proteome Organization総会を主催します(2020年3月25-28日、釜山)。ぜひ参加したいと思います。
会場にて、会長のCho教授と一緒に記念撮影。いろいろどうもありがとうございました!
3月24日から25日(東京)
第8回Reverse Phase Protein Array(外部サイトにリンクします。)学会に参加しました。80名以上が参加する盛況な会でした。逆相タンパク質アレイ(RPPA)とはタンパク質をアレイして抗体に反応させるという実験手法です。RPPAによって、翻訳後修飾を含む分子パスウェイのデータを定量的に得ることができます。本会では、オルガノイド、組織スライス、細胞株のクローン解析など、モデル系に関する講演も行われました。私も二日目に「Patient-derived cancer model for sarcoma research」と題したシンポジウム講演を行い、オミクス解析の次の段階として必要になるがんのモデル系について話しました。
3月4-5日(シンガポール)
Asia-Pacific Scientific Workshop(外部サイトにリンクします。)に参加しました。本ワークショップは東アジア地域の国際交流を促進することを目的として、AMEDなど各国の資金提供機関が主催したものです。ワークショップのテーマは感染症とがんでした。私はRare Cancerのセッションを企画し、オーストラリア、フィリピン、そして日本の研究者および臨床医の方々に御講演いただきました。肉腫の研究や診療への取り組みが国によって大きく異なることがよくわかり、新しい研究のヒントをたくさんいただきました。また、ふだん聴講することのない感染症に関する発表も、興味深く拝聴しました。ワークショップの会期中は国際共同研究について大いに意見交換をすることができました。希少がん研究の国際連携に向けて、これから具体的な話し合いを進めようとしています。
会場での集合写真。National University of Singaporeにて、2日間にわたり早朝から夜まで盛んな議論が展開されました。
希少がんのセッションにて。患者由来がんモデルとプロテオゲノミクスを取り上げ、国際共同研究を促進するために共有可能なリソースについて講演をしました。
2月22-23日(東京)
第2回日本サルコーマ治療研究学会(外部サイトにリンクします。)に参加しました。参加者386名の盛況な会でした。本学会は、医師、研究者、医療スタッフ、企業、患者さんなどから構成されています。肉腫への学際的な取り組みが本学会の特徴です。たとえば今回の学術集会では、肉腫の医療の標準化や個別化医療について施設や診療科の枠を越えた議論が展開されました。研究者の私にとっても「Multi-disciplinary Sarcoma Conference」での臨床医の議論は興味深く、勉強になりました。また、肉腫の基礎研究から臨床応用、患者会や情報発信の活動など、多彩な内容の発表から研究のヒントをいただきました。垣添忠生先生の御講演「人はがんとどう向き合うか?」を、人生の深淵な機敏に触れる思いで拝聴しました。来年の学術集会は平成31年2月21-22日に大阪で開催される予定です。