高崎 哲郎さん(がん専門修練医・東京慈恵会医科大学)
更新日 : 2024年4月1日
高崎 哲郎さん(東京慈恵会医科大学)
国立がん研究センター中央病院 肝胆膵内科
研究指導者
吉見 昭秀(研究所 がんRNA研究分野)
米盛 勧(東京慈恵会医科大学 連携教員)
Q、連携大学院に進学しようと思ったきっかけ
連携大学院進学前に卒業後9年間臨床医として従事してきました。
愛知県で初期研修の後、千葉県にある同じ施設で総合内科医と消化器内科医として7年間過ごしてきましたので、そろそろ次のステップに進みたいと考えている時期でもありました。
消化器内科領域においては、特に胆膵がん治療に関心が高く、もともと医局に所属していなかったこともあり、日本トップの症例数を誇る国立がん研究センター(以下、NCC)中央病院でトレーニングをするために、がん専門修練医として入職することに決めました。
トレーニング先を決めるにあたり、NCCには連携大学院制度があることを知り、臨床医として働きながらでも学位取得ができることが大変魅力的であったためこの制度を利用させていただくこととしました。
臨床医として働いている中で、いつかは基礎研究に関しても学んでみたいという思いもありましたが、なかなか一歩が踏み出せずにいました。せっかくならと現在お世話になっているがんRNA研究分野のlabに見学に行き、こちらで研究をさせていただくこととなりました。
Q、職員としての業務との両立について
入職後に知ることとなりましたが、私のようにAタイプ(NCC職員が、NCCの研究環境を活用し、連携大学院における研究活動を行うもの)の人間が基礎研究をテーマに選ぶこと自体が珍しいことのようです。
基礎研究に関しては全くの初学者でありましたので、具体的なテーマや業務とのバランスは入職してから徐々に掴めてくるだろうと楽観視しておりましたが、臨床業務が非常に忙しく、入職1年目は基礎研究を開始することができませんでした。
NCCでの勤務は基本的にどの科もハードかつ、内視鏡のように手技のある科ですと、更に研究に割り当てられる時間が限られてきます。ある程度経験のある方は、所属先と相談し許可が得られれば、例えば週の半分などの割合で研究を進めることなどができるかもしれませんが、私のような初学者かつ特にwet labの場合は臨床業務を行いながらというのは実現が非常に困難であるように思います。
私の場合は事前に現在のlabに見学に行くことと、入職後に基礎研究をしたいという希望を所属科の教育担当者に相談していたことから、幸いにも科内で後押しをいただき、現在のlabにも受け入れをご快諾いただけたことから、2年目から基礎研究を開始することができました。
基礎研究に関しては完全にゼロからのスタートとなるため、わからないことだらけで壁に当たることも多々ありますが、多くの方々のお陰で日々刺激的な毎日を過ごせています。
Q、連携大学院生の1日のスケジュール
私の場合、1年目が臨床メイン、2年目がlabメインであり、1日のスケジュールが大きく異なりますので、以下にそれぞれの典型的な1日のスケジュールをお示します。
Q、連携大学院を希望する方へ一言
専攻医を終えて、卒後10年目前後までは自分のキャリアに悩むことが多々あるかと思います。
がんに携わる医師にとって、NCCには自分の臨床能力や研究能力を一段階も二段階も上に引き上げてくれる環境があり、またそれを目指す同年代の医師が多く集まってきます。
実際にNCCで勤務された人の多くが驚くほど多方面で活躍されています。お互いに切磋琢磨しながら前へと進んでいく経験が、勤務・進学する人の財産になるのではないでしょうか。
臨床研究に関してもNCCには市中病院はもちろん、一般的な大学病院以上に潤沢なリソースがあり、むしろAタイプの方にとってはそちらがメインになることが多いかと思います。私自身も内視鏡関連の臨床研究や、治験に付随するテーマで企業と共同研究を実施しており、このような経験もNCCならではと感じています。
是非、ご興味のある方は一度見学に来ていただき、NCCで働く人々の熱量に触れてみてはいかがでしょうか。
研究テーマ・主要な論文等
研究テーマ:
- GPCRに焦点を当てた新規がん治療薬開発のための探索的研究
- HER2陽性の切除不能または再発胆道癌に対するDS-8201aの医師主導治験(HERB試験)付随研究