湯脇 恵一さん(がん対策研究所・東京大学)
更新日 : 2024年4月1日
湯脇 恵一さん(東京大学)
がん対策研究所 行動科学研究部 実装科学研究室
研究指導者
島津 太一(がん対策研究所 行動科学研究部 実装科学研究室長)
井上 真奈美(東京大学 連携教員)
Q、連携大学院に進学しようと思ったきっかけ
国立がん研究センターと現在の勤務先が以前共同研究を行っていた際に、勤務先から派遣され外来研究員としてお世話になっていました。
共同研究では、コホートデータを使った観察研究や、がんリスクチェックを使って行動変容を促す介入研究を行っていました。
共同研究は終了しましたが、がん疫学の研究成果の社会実装に関心があり、大学院で研究を継続しようと思い、進学しました。
Q、NCCを進学先に選んだ理由
大きく二つの理由があります。
一つは、がん疫学や、その研究成果から得られた根拠のある介入手法をより良く取り込んでもらう方法を研究する学問分野である実装科学について学び、研究を行うため、国立がん研究センターがん対策研究所は国内では優れた環境ということです。
国立がん研究センターの先生方はもちろん、様々な研究機関の先生方からご指導いただく機会もあり、研究の進め方を学ぶことができます。また、関連する分野のセミナーも数多く開催されており、新たな知見を学ぶこともできます。
もう一つの理由は、以前からお世話になっている先生方がいらっしゃったことです。
仕事も継続しながら研究を行うことについても配慮していただき、勤務先からの許可もスムーズに得ることができました。
Q、NCCで研究するメリット、選んでよかったことなど
先生方との距離が近く、丁寧にご指導いただけることは大きなメリットです。
研究成果を社会実装するために、国の政策への反映や、提言の作成といったことが行われますが、研究立案の段階からそのような社会実装を意識するように指導を受けます。もちろん論文作成やプレゼンテーションについても、研究の結果だけでなくその意義が伝わるような指導を受けます。
これらのご指導を通じて、社会医学の研究の進め方を身に付けることができると感じています。
Q、連携大学院を希望する方へ一言
社会医学の中でもがん疫学や実装科学について研究することに適した環境ですので是非、連携大学院制度を活用して国立がん研究センターでの研究をスタートしてください。
Q、今後の目標・将来の進路等
予防可能な疾患に罹患せずに健康的な生活を送れるような社会を実現するため、社会実装を意識したがんの発症予防や健康増進に資する介入手法の開発とその効果検証を行うような研究を実施できればと考えています。
Q、研究テーマ・主要な論文等
研究テーマ:「禁煙治療アクセス向上のための実装研究」
主要な論文:
Nagasawa T, Saito J, Odawara M, Imamura H, Kaji Y, Yuwaki K, Nogi K, Nakamura M, Shimazu T. Smoking cessation interventions and implementations in Japan: a study protocol for a scoping review and supplemental survey. BMJ Open. 2022;12(12):e063912.
Yuwaki K, Kuchiba A, Otsuki A, Odawara M, Okuhara T, Ishikawa H, Inoue M, Tsugane S, Shimazu T. Effectiveness of a Cancer Risk Prediction Tool on Lifestyle Habits: A Randomized Controlled Trial. Cancer Epidemiol Biomarkers Prev. 2021;30(6):1063-1071.
Yuwaki K, Shimazu T, Yamagiwa Y, Inoue M, Goto A, Yamaji T, Iwasaki M, Sawada N, Tsugane S; JPHC Study Group. Association between serum liver enzymes and all-cause mortality: The Japan Public Health Center-based Prospective Study. Liver Int. 2019;39(8):1566-1576.