リンパ腫の原因・症状について
最終更新日:2024年11月01日
リンパ腫とは?
リンパ腫は血液がんの1つで、白血球のなかのリンパ球ががん化する病気です。リンパ球が存在する組織をリンパ組織といい、リンパ腫がおこる部位または病変が及ぶ部位はリンパ系組織とリンパ外組織(節外臓器)に大きく分けられます。
リンパ系組織とは、細菌やウイルスなどの病原体や異物から体を守るはたらき(免疫)をつかさどる組織や臓器のことで、正常のリンパ球が増える場所です。リンパ節や胸部付近にある胸腺、脾臓(ひぞう)、扁桃(へんとう)などが含まれます。リンパ外組織(節外臓器)とは、骨髄や肺などの臓器です。リンパ球は、血流に乗って全身に流れていく性質があるため、リンパ腫は全身どこにでも発生する可能性があります。通常、リンパ腫といえば、「悪性リンパ腫」のことを指します。
悪性リンパ腫は、組織学的に、ホジキンリンパ腫(HL)と非ホジキンリンパ腫(NHL)に分類され、日本人の90%以上は非ホジキンリンパ腫です。非ホジキンリンパ腫は、がん化しているリンパ球の種類によって、B細胞リンパ腫、T細胞リンパ腫、NK細胞リンパ腫に分類されます。細かくみると、数え方にもよりますが、リンパ腫には100種類近くのタイプがあります。
悪性リンパ腫は高齢者に多く、70歳代が発症のピークです。男女比は3:2と男性のほうが多く、高齢化に伴って年々増加傾向がみられます。
造血細胞から血液細胞への分化
血液の中には、酸素を運搬する赤血球、免疫をつかさどる白血球、出血を止める働きがある血小板などの血液細胞があります。血液細胞は、骨の中心部にある骨髄の中で、血液細胞のもととなる造血幹細胞(ぞうけつかんさいぼう)から増殖しながら分化(未熟な細胞が働きをもつ成熟した細胞になること)していきます。骨髄系幹細胞からは赤血球、白血球、血小板などがつくられ、リンパ系幹細胞からは、白血球の一種であるリンパ球(T細胞、B細胞、NK細胞)がつくられます。リンパ球は、リンパ系細胞から成長した白血球の一種です。
原因
リンパ腫の原因については、明らかになっていませんが、リンパ球の中でおこった遺伝子の異常により、リンパ球の寿命や増え方に異常がおこることなどが一因と考えられています。また、リンパ腫のなかには、成人T細胞白血病リンパ腫のようにウイルス感染したリンパ球からおこるものがあるほか、免疫不全が原因となっておこるものがあることも分かっています。
症状
くび(頸部:けいぶ)やわきの下(腋窩:えきか)、足の付け根(鼠径部:そけいぶ)などのリンパ節に腫れやしこりがあらわれることがあります。リンパ節全身に分布しており、リンパ球は血流に乗って流れていく性質があるため、リンパ腫の病変は全身のあらゆる臓器に出現する可能性があります。リンパ節の腫れは、多くの場合、痛みを伴いません。
出現した部位や進行の速度によって、さまざまな症状がみられますが、全身に広がると、原因不明の発熱、大量の寝汗(暑くもないのにおこります)、急激な体重減少などがおこることもあります。皮膚に発疹や腫瘤(しゅりゅう)がみられることもあります。しかし、リンパ腫に特徴的な症状があるわけではなく、まったく症状がなく健康診断のX線検査などで偶然見つかるケースも多くあります。