コンテンツにジャンプ
国立がん研究センター

トップページ > 広報活動 > がんの解説 > 精巣がん > 精巣がんの療養について

精巣がんの療養について

最終更新日:2023年10月17日

前回の動画▷精巣がんの治療について

治療期間について

精巣がんの治療では、手術の入院期間の目安は、精巣を摘出する手術は3~5日間、後腹膜のリンパ節を郭清する手術は2週間以内程度です。化学療法を行う場合、例えばBEP療法を4コース行うには、約3ヵ月かかります。それでも治癒しない場合は、別の化学療法や残存腫瘍の手術のため、さらに数ヵ月かかり、治療期間が1年以上になることもあります。

若い患者さんでは、学校や仕事を長期間休むのは大変だと思いますが、再発しないよう、しっかり治療することが大切です。現在は、入院と通院を組み合わせて化学療法や放射線治療が受けられるようになり、仕事や学業と治療を両立させている患者さんも多くいらっしゃいます。

抗がん剤の副作用について

抗がん剤の副作用として、吐き気や嘔吐などの消化器症状があらわれることがありますが、制吐剤などで症状を和らげることができます。また、白血球や血小板が減少して、免疫力が低下したり、貧血や出血傾向が現れることがあります。そこで、基本的な感染対策を行いつつ、白血球を増加させるお薬(白血球増殖因子)の注射や、赤血球や血小板の補充を行うことがあります。

脱毛はほとんどの方が起こりますが、治療終了後、約1年半~2年で元の髪の長さに戻ると言われています。その間の頭皮の管理やウィッグなどについて相談できる部署もありますので、ご活用ください

妊よう性(妊娠するために必要な力)について

片側の精巣を切除しても、残っている精巣が正常に機能していれば、治療後に子どもをつくることはできます。しかし、大量の抗がん剤を投与した影響などで、精子をつくる機能(生殖機能)がダメージを受けたり、治療後に不妊症になることがあります。治療前を行う前に精子を凍結保存しておくことも可能ですので、将来、子どもを持ちたいと考えている方は、主治医にご相談ください。

治療後は男性ホルモンが低下したりする影響で、性生活に気持ちが向かなくなることもあります。性行為の再開など、性生活の悩みや不安があれば、主治医に相談してください。主治医に聞きづらければ、がん相談支援センターの相談員などに相談しましょう。

再発のリスク・定期健診について

精巣がんでは、2年以内に再発が起こることが多いですが、2年後以降に再発(晩期再発)することや、反対側の精巣にがんができたりすることもあるため、長期的なフォローアップが必要となります。最初の1~2年間は、1~3ヵ月に1回くらいの頻度で、その後も、主治医から指示された間隔で通院し、定期検査を受けるようにしましょう。再発しやすい一方で、再発しても、早い時点で適切な治療を行えば、高い確率で完治が期待できますので、諦めず、治療を続けることが大切です。

精巣がんは、学生や働く世代の若い患者さんに多く、治療による学業や仕事への影響を最小限にするためにも、当センターでは、初診-診断確定-手術までの期間を可能な限り短縮して、早期に治療を始めるようにしています。通院回数を減らしたり、治療期間を短くする努力も行っていますので、不安なことがあれば気軽にご相談ください。

予防について

精巣がんには有効な予防法がありません。しかし、もし転移があっても、適切な治療を行うことで治癒する可能性が高いがんです。「生存率が高いがん」である一方、「進行が早いがん」でもありますので、日ごろから自己検診に努め、しこりや異変に気づいたら、恥ずかしがらずに受診するようにしましょう。

担当診療科のご紹介

精巣がんの解説

ページの先頭へ