既存のがん治療の枠組みを超えた次世代型治療の実現を目指す東病院 次世代外科・内視鏡治療開発センター(NEXT)開設
2017年6月1日
国立研究開発法人 国立がん研究センター
国立研究開発法人国立がん研究センター東病院(病院長:大津 敦、千葉県柏市)は、本年5月8日に「次世代外科・内視鏡治療開発センター(Center of New Surgical and Endoscopic Development for Exploratory Technology ; 通称NEXT)」を開設しました。
開設の背景
東病院では、手術件数、内視鏡治療件数共に年々増加傾向にあり、年間8,000人を超える新患の方の中には、治療をお待ちいただく場合が少なからず発生しておりました。多くの患者さんに最適な治療の機会と、質の高い治療を提供するため、NEXT棟では手術・内視鏡室を大幅に拡充し、医療機器開発センターや遺伝子検査室などの研究部門も設置しました。世界有数の外科・内視鏡技術と最先端の科学技術のマッチングを通じ、日本発の革新的医療機器の創出と、国内の医療経済の活性化を目指します。開設にあたり院長の大津は「NEXT棟開設により、さらに多くの患者さんに、より質の高いがん治療を安全に提供できるように病院全体で取り組んでまいります」と述べています。
NEXTが目指すもの
NEXTは、既存のがん治療の枠組みを超えた次世代型治療の実現を目指すため、4つのミッションを掲げました。
- 現在利用しうる最先端の医療技術を提供します
- 次世代に望まれる臨床ニーズの高い医療機器や技術を開発します
- 新規開発による創出された新しい医療を速やかに患者さんへ提供します
- 次世代のがん医療のリーダーたる医療者を育成します
施設概要
1階:内視鏡センター
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検査室
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X-TV
内視鏡センターは、床面積2,341平方メートルに内視鏡検査室7室、治療室3室、透視室4階、開発室2室の計16室、リカバリーベッド32床が配置されます。規模は、これまでの内視鏡室と比べ敷地面積が約3倍で国内最大級の内視鏡センターとなりました。これまで同様に、最新の内視鏡機器を用いて、患者さん一人ひとりの内視鏡検査や治療をていねいに行いながら、より多くの患者さんの内視鏡診療を行います。さらに次世代を見据えた、より新しく、より体への負担が少ない内視鏡診療の開発にも積極的に取り組んでいきます。
2階:病理診断科・遺伝子検査室
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標本作製室
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遺伝子検査室
病理診断科では顕微鏡を用いて、内視鏡や外科手術等で切除された組織中のがん細胞の性格や広がりを判定しています。これらの知識・技術をもとに、新しい内視鏡診断技術や、外科治療機器の評価、開発サポートも行っています。また、NEXTでは新たに遺伝子検査室を開設し、ゲノム情報に基づく次世代病理診断法の開発も行っていきます。
NEXT医療機器開発センター
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トレーニング室
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模擬手術室
NEXT医療機器開発センターでは、産学連携拠点としてNEXT棟2Fに医療機器開発センターを設置し、複数の開発企業やアカデミアが入居しました。国立がん研究センター発ベンチャーである株式会社A-Tracionや、千葉大学、千葉県、千葉県産業振興センター東葛テクノプラザの4者一体地域型医工連携として2015年から立ち上がったプロジェクトも医療機器開発センターを拠点として、より臨床現場と密接したシームレスな開発環境となります。新規事業の立ち上げから開発機器の上市まで行う国内最先端のインキュベーション施設として、多くの医療機器が輸入品に頼っている現状を打破し、国内の多領域の技術を統合した医療産業の創出し、日本から海外へ展開することを目指しています。また、早期臨床研究の体制を整備し、速やかな製品化、臨床現場への導入を目指します。
ななはちホール
「ななはちホール」(講堂)は、床面積170平方メートルを有しさまざまな研究会やセミナーを行うことを想定しています。手術室や内視鏡室ともライブで接続され、臨場感のある議論ができる仕組みを創りました。本年8月に行う予定のNEXTシンポジウム(仮)では、主に若い医学生や初期レジデントなどを対象に外科や内視鏡治療の現状の開発状況を知ってもらう機会をつくります。
3階:ICU(集中治療室)
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ICU 個室
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ICUスタッフステーション
1床当たりの床面積は、日本集中治療医学会が推奨する20?以上を基準に構成されています。8床のうち2床は、完全な個室で、当院で行われるあらゆる治療に対応していきます。
中央材料室
医療現場で使用する機材の点検や洗浄・減菌を行います。専門の委託業者が各部署から回収された機材などの作動点検を行い、洗浄や減菌処理を行っています。日々の確実な機材管理が安全な医療を支え、より高度な医療の提供を可能にしています。
4階:手術室
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手術室
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手術室
最先端かつ高度な外科手術をより多くの患者さんに提供するため、手術室はこれまでの8室から12室へ増室しました。特に東病院が力を注いできた内視鏡外科手術に関しては、6室の専用室を設けました。また、今後、東病院が目指す機器開発とリンクできるよう、新規医療機器の速やかな臨床応用を行うため、ロボット手術をはじめとしたさまざまな機器に対応し得るゆとりのスペースを確保しました。さらに、ライブ手術対応の部屋や映像システムを充実し、外科医の育成を図る場を提供します。
プレスリリース
- 東病院 次世代外科・内視鏡治療開発センター(NEXT)開設 既存のがん治療の枠組みを超えた次世代型治療の実現を目指す
関連ファイルをご覧ください。
次世代外科・内視鏡治療開発センター関連情報
プレスリリース
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