国立がん研究センター中央病院と国立国際医療研究センター病院 臨床試験推進に関する包括連携協定を締結がんと感染症領域の連携による日本発の革新的臨床開発のさらなる推進をめざす
2024年12月25日
国立研究開発法人国立がん研究センター
国立研究開発法人国立国際医療研究センター
発表のポイント
- 国立国際医療研究センターは、2025年4月より国立健康危機管理研究機構(JIHS)として、日本の感染症領域での臨床試験ネットワークの中核を担うため研究開発を推進する基盤等の機能を強化することをめざしています。
- 国立がん研究センター中央病院と国立国際医療研究センター病院は、両病院が専門とするがんと感染症領域での多様な臨床試験を推進するため、臨床試験推進に関する連携協定を締結しました。
- 本締結により、国立国際医療研究センター病院における臨床試験実施基盤の整備を促進し、両病院のノウハウの連携により、がん領域と感染症領域の革新的臨床開発のさらなる推進をめざします。
概要
国立研究開発法人国立がん研究センター(所在地:東京都中央区、理事長:中釜 斉)中央病院(病院長:瀬戸 泰之)と、国立研究開発法人国立国際医療研究センター(所在地:東京都新宿区、理事長:國土 典宏)センター病院(病院長:宮嵜 英世)は、両病院が専門とするがんと感染症領域での多様な臨床試験を推進するための連携協定を締結しました。本締結により、国立がん研究センター中央病院が2015年から医療法に基づく臨床研究中核病院として培った医師主導治験や企業治験、多施設共同試験、国際共同試験、分散型臨床試験(DCT)など、質の高い臨床試験を実施するための知見を基に、国立国際医療研究センター病院を支援し、感染症領域での臨床試験実施基盤の整備等を進め、さらにはがん領域と感染症領域の連携による日本発の革新的臨床開発の推進をめざします。
2024年12月24日署名式の様子
左写真(左から国立がん研究センター理事長 中釜 斉、
国立国際医療研究センター理事長 國土 典宏)
右写真(左から国立がん研究センター中央病院長 瀬戸 泰之、理事長 中釜 斉
国立国際医療研究センター理事長 國土 典宏、センター病院長 宮嵜 英世)
国立がん研究センター 理事長 中釜 斉 コメント
国立がん研究センターと国立国際医療研究センターは、これまでもナショナルセンターとして多分野にわたる連携を行ってきました。特にアジア地域の臨床試験ネットワークの構築については、両病院が実施拠点として採択され、それぞれが事業を進める中で、両病院の臨床研究支援部門の連携が進められてきました。今回の臨床試験推進に関する包括連携協定の締結により、国際共同試験に加えて、医師主導治験や多施設共同試験、分散型臨床試験など様々なタイプの臨床試験についてもノウハウを共有し、がん領域、感染症領域の臨床試験実施基盤がさらに強化されることを期待しています。
国立国際医療研究センター 理事長 國土 典宏 コメント
国立感染症研究所と統合して発足する国立健康危機管理研究機構(JIHS)は、「感染症に不安を抱くことのない社会の実現」のために、「感染症総合サイエンスセンター」として、次のパンデミックを見据えた感染症危機管理体制の構築を目指し、感染症の情報収集・分析・リスク評価機能、研究・開発の基盤と臨床試験ネットワークの中核になることが求められています。臨床研究中核拠点病院として、臨床試験の豊富な経験を持ち、がん領域での臨床試験ネットワークの中核機能を担っている国立がん研究センター中央病院と臨床試験推進に関する包括連携協定を締結することにより、感染症領域での臨床試験実施基盤の整備が進むと期待しています。
背景
国立国際医療研究センターは、2025年4月1日に国立感染症研究所と統合し、国立健康危機管理研究機構(Japan Institute for Health Security:JIHS)となります。JIHS(ジース)では、日本の「感染症総合サイエンスセンター」として、(1)国内外の感染状況の収集・評価機能の強化、(2)研究開発を促進する基盤、(3)臨床試験ネットワークの中核、これら3つのメイン機能が強化されます(厚生労働省 国立健康危機管理研究機構 T-VISION)。
このうちの臨床試験ネットワークの中核機能を果たすためには、全国の医療機関と平時から臨床試験ネットワークを形成するのみならず、治験・臨床試験に関する英知を全国の先進的な医療機関から結集させる必要があります。
国立がん研究センター中央病院は、2015年に医療法に基づく臨床研究中核病院に日本で初めて承認されました。臨床研究中核病院は、日本発の革新的医薬品・医療機器・医療技術の開発等に必要となる質の高い臨床研究や治験を推進するため、国際水準の臨床研究や医師主導治験の中心的な役割を担う病院として、厚生労働大臣が承認するものです。承認要件は、臨床研究支援体制等の「実施体制」や、自施設が主導的に実施する多施設共同医師主導治験等の件数、質の高い臨床研究論文数等の「実績」、CRC、データマネージャー、生物統計家の数等「人員・施設」などについて最高水準が求められます。国立がん研究センター中央病院は、この臨床研究中核拠点病院として、医師主導治験、企業治験、国際共同試験等の豊富な経験と充実した臨床研究支援部門を有し、分散型臨床試験(Decentralized Clinical Trial; DCT)をはじめとした革新的な臨床試験方法の構築および普及にも取り組んでいます。また、全国約190の医療機関が所属する多施設共同研究グループである日本臨床腫瘍研究グループ(JCOG)の中央支援機構として、がん領域での臨床試験ネットワークの中核機能を担っています。
国立国際医療研究センター病院は、感染症・免疫疾患並びに糖尿病・代謝疾患等に関する研究や高度総合医療を提供するとともに、医療の分野における国際協力や医療従事者の人材育成を総合的に展開しています。特定機能病院として平時は高度な総合医療を提供し、有事には感染症対応、救急医療、集中医療、災害医療などの役割も担ってきました。また研究面でも国立国際医療研究センター内に研究所、臨床研究センター、国際医療協力局を併設している利点をいかして、国際基準の臨床研究や医師主導治験を行っています。新興・再興感染症およびエイズ等の感染症、糖尿病・代謝性疾患、肝炎・免疫疾患ならびに国際保健医療協力を重要分野とし、国際的な視点に立脚した研究を行っています。
こうした両病院の特色や強みを活かし、本締結に基づき、双方が有する治験・臨床試験に関するノウハウおよび資産、能力、人材等を相互に活用し合い、連携・協力を進めることで、統合的に臨床試験実施基盤の整備を加速させ、日本発の革新的臨床開発のさらなる推進をめざしてまいります。
連携の内容
連携協定では、下記を含めた多面的な連携が掲げられています。
- 各種の臨床研究における標準手順書、マニュアル、その他のノウハウの共有
- 臨床研究にかかわる研究者、研究支援スタッフの相互受け入れによる人材育成
- 有事の際の臨床研究の実施、支援に関する協力
- 臨床研究に関する教育についての相互支援及び共同実施
- 臨床研究に関する情報交換
お問い合わせ先
本件に関するお問い合わせ
国立研究開発法人国立がん研究センター中央病院 国際開発部門/臨床研究支援部門
中村 健一
電話番号:03-3542-2511(代表)
Eメール:kennakam●ncc.go.jp
国立研究開発法人 国立国際医療研究センター病院 臨床研究支援部門
時田 大輔
電話番号:03-3505-7181
Eメール:dtokita●hosp.ncgm.go.jp
広報窓口
国立研究開発法人国立がん研究センター
企画戦略局 広報企画室
電話番号:03-3542-2511(代表)
Eメール:ncc-admin●ncc.go.jp
国立研究開発法人国立国際医療研究センター
企画戦略局 広報企画室
電話番号:03-3202-7181
Eメール:press●hosp.ncgm.go.jp