がん経験者やその家族のリアルな声を集めてできたがんの診断を受けて間もない方に、いちばんはじめに手にとっていただきたい本「国立がん研究センターのがんになったら手にとるガイド」発刊
2025年12月4日
国立研究開発法人国立がん研究センター
国立研究開発法人国立がん研究センター(東京都中央区、理事長:間野 博行)がん対策研究所(所長:松岡 豊)は、がんの診断を受けて間もない方やそのご家族、親しい方などに、いちばんはじめに手にとっていただきたい本として「国立がん研究センターのがんになったら手にとるガイド」を12月12日に発刊します。本書籍は、「患者必携 がんになったら手にとるガイド 普及新版」(2013年発行)を全面的に改訂したものです。
本書籍の特徴
国立がん研究センターとがん経験者・市民がともに作り上げた本
「がん経験者やその家族のリアルな声」を反映するため、改訂の計画段階から国立がん研究センター患者・市民パネルと国立がん研究センター内外の専門家が協力し議論を重ね、その成果として「国立がん研究センターのがんになったら手にとるガイド」をともに作り上げることができました。
イラストや図で一目瞭然、読みやすく理解しやすい
イラストや図表を多く取り入れ、簡潔な文章で、がんと診断された方やその家族が手に取りやすく理解しやすい内容にしました。
その時に、知っておきたい情報がわかる
がんの診断から治療、その後の生活において知っておきたい情報を網羅的に紹介しています。生活に関すること、お金や制度に関することなど、様々な情報をコンパクトにまとめました。
がんを経験した方やその家族のリアルな声がわかる
診断直後や治療選択などの各時期における、がんを経験した方たちの体験談34編を掲載しました。
書き込み、振り返り、予定をたてる「別冊付録 わたしの療養手帳」
診断から治療後までの時間の流れに沿って、ご自身のがんや治療などについて書き込みができる「別冊付録 わたしの療養手帳」の作成においても患者・市民パネルの意見を取り入れました。
図1-1.本体の表紙
図1-2.別冊表紙
本書籍作成の経緯
2006年に成立したがん対策基本法は、がん患者さんとその家族の切実な声を受けて成立しました。2007年に始まった第1期がん対策推進基本計画では、がん患者さんが治療方針を主体的に選べるよう、必要な情報にアクセスできる環境整備が求められました。がん対策情報センター(現:がん対策研究所)には、ウェブサイト「がん情報サービス」の充実とともに、インターネットが利用できないがん患者さんやその家族にも情報が届くよう、必要な情報をまとめた書籍「患者必携」を作成し、普及することが求められました。この計画に基づいて作成した「患者必携 がんになったら手にとるガイド」は2011年に初版発刊、2013年の改訂で普及新版として多くの方に活用されてきました。作成にあたっては国立がん研究センター「患者・市民パネル」と議論を重ね、医療に関することだけでなく、生活の不安や悩みへの対応など、がん経験者やその家族の視点を大切にしました。今日でも多くの方にご活用いただいており、累計発行部数は6万5千部にのぼります。
2011年の「患者必携」発刊から、がん治療は飛躍的に発展しました。また、就労と治療の両立や、AYA世代のサポートなど、発刊当時には十分に認識されていなかったニーズに対する取り組みも進みつつあります。インターネットやSNSの普及を受けて、情報収集の仕方も変化してきました。これらを受けてがん対策研究所では、「患者・市民パネル」のみなさんや国立がん研究センター内外の専門家を交え、2年ほどかけて改訂に向けて準備を進めてまいりました。「国立がん研究センターのがんになったら手にとるガイド」では、文字数を大幅に削減し、イラストや図表を多く掲載する、多数の体験談を掲載するなど、読みやすく、直感的にわかりやすい書籍となるよう努めました。
本書の構成
第1章 がんと診断されたとき ― 治療前にまずは知っておきたいこと
がんそのもの、がんに関する情報の探し方、がんと診断された後の心のケアや周りの方への伝え方、家族が診断されたときに知っておきたいこと等について紹介しています。
第2章 がんの状態を知る ― 検査とその目的
さまざまな検査やセカンドオピニオンの活用について紹介しています。
第3章 治療法を考える ― がん治療の基本
がんの治療(手術、放射線治療、薬物療法等)や臨床試験、世代に応じた治療方針の決め方、治療前に考えたい妊娠や出産への影響、保険の仕組み等について紹介しています。
第4章 治療中の体に起こること ― 治療の副作用と対処法
治療の副作用やそれへの対処方法、日常生活での工夫等について紹介しています。
第5章 がん療養中に考える暮らしのこと
仕事や学校、同じような経験をもつ方との交流の場、災害への備え等について紹介しています。
第6章 がんの治療 そのあとは・・・・・・?
治療後の定期的な通院、がん治療をせずに生活するときのこと等について紹介しています。
第7章 がん治療とお金 がん治療・療養を支える制度
医療費、医療費等の負担を軽くする制度、生活を支える制度等について紹介しています。
別冊付録「わたしの療養手帳」
ご自身についてまとめられる手帳です。医療者やがん相談支援センターへの質問リストや相談メモ、治療の内容や日々の体調、かかった費用や給付金、医療機関等について記録できます。
改訂のポイントをくわしく解説
イラストや図で一目瞭然、読みやすく理解しやすい
イラストや図表を多く取り入れ、簡潔な文章で、がんと診断された方やその家族が手に取りやすく理解しやすい内容にしました。また、さらに詳しい情報を知りたい方のために、補足情報を二次元バーコードで確認できるよう工夫しました。
図2.がんという病気についての解説ページ

図3.体の調子や生活リズムを整えるための紹介ページ
その時に、知っておきたい情報がわかる
がんの診断から治療、その後の生活において知っておきたい情報を網羅的に紹介しています。がんそのもの、検査、治療、仕事や学校などの生活に関すること、お金や制度に関することなど、様々な情報をコンパクトにまとめました。
図4.本書の使い方のご案内ページ
がんを経験した方とその家族のリアルな声がわかる
がんと診断された方やその家族、市民が知りたいことを反映するため、国立がん研究センター患者・市民パネル注1の意見を取り入れました。また、診断直後や治療選択などの各時期におけるがん患者さん・ご家族の体験談34編を掲載しました。
注1)国立がん研究センターでは2008年度より、がん対策推進にあたり、がん患者さん、ご家族と市民の視点を取り入れるため、「患者・市民パネル」を募集して活動しています。
写真1:患者市民パネル活動の様子
(患者・市民パネルのみなさんに写真掲載の許可をいただいています)
書き込み、振り返り、予定をたてる「別冊付録 わたしの療養手帳」
診断から治療後までの時間の流れに沿って、ご自身のがんや治療などについて書き込みができる「別冊付録 わたしの療養手帳」も患者・市民パネルの意見を取り入れて更新しました。がんや治療のまとめ、体調やスケジュールの記録、周囲の方や医療者に伝えたいことの整理、利用できる制度の確認、災害に備えて準備する際などに使うことができます。(図1参照)
表1:がん対策と「がんになったら手にとるガイド」の沿革と改訂
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時期 |
できごと |
|---|---|
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2006年 |
「がん対策基本法」成立
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2007年 |
第1期がん対策推進基本計画開始
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2008年から 2011年 |
「患者必携 がんになったら手にとるガイド」作成作業
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2011年 |
「患者必携 がんになったら手にとるガイド」発刊
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2013年 |
「患者必携 がんになったら手にとるガイド」普及新版発刊
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2023年から 2025年 |
「患者必携 がんになったら手にとるガイド」改訂作業
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2025年 12月12日 |
「国立がん研究センターのがんになったら手にとるガイド」発刊
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書誌情報
書名:国立がん研究センターのがんになったら手にとるガイド
発売日:2025年12月12日
仕様(サイズ・ページ):A5・256ページ(本体192ページ、別冊付録わたしの療養手帳64ページ)
定価:1,100円+税
ISBN:978-4778036508
書籍情報ページURL:
https://ganjoho.jp/public/qa_links/book/public/tenitorugaido.html●
(2025年12月12日(金曜日)10時からご覧いただけます)
書籍の入手方法
「国立がん研究センターのがんになったら手にとるガイド」は、全国の書店やインターネット書店で購入できます。また、がん情報サービスでもPDFを公開し、全文ダウンロードも可能です。
お問い合わせ先
「国立がん研究センターのがんになったら手にとるガイド」について
国立研究開発法人国立がん研究センターがん対策研究所
がん情報提供部
〒104-0045 東京都中央区築地5-1-1
電話番号:03-3547-5201(ダイヤルイン1610)
Eメール:ganjoho-admin-contact●ncc.go.jp
その他全般
国立研究開発法人国立がん研究センター
企画戦略局 広報企画室広報企画係
〒104-0045 東京都中央区築地5-1-1
電話番号:03-3542-2511(代表)
Eメール:ncc-admin●ncc.go.jp
