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国立がん研究センター

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がん患者さんのための災害への備えと対応に関する情報

災害への備え

情報・通信手段を確保する

  • ラジオ、スマートフォン、携帯電話、パソコンなど、災害時にも情報を得られる準備をしておきましょう。
    ・携帯電話や、パソコン・携帯電話のメールは、一般的に固定電話より早く通じます。
    ・携帯電話のインターネットは、一般的にパソコンよりも早く使用できます。
  • スマートフォンやタブレット端末、パソコンに、通話とメッセージのやり取りが可能なソーシャルネットワークサービスのアプリケーションを入れておくことで、電話が混線した場合も早く連絡を取ることができます。
  • 各通信会社が、安否確認用のサービスを提供しています。あらかじめ、確認しておきましょう。
  • 災害時は、停電で充電ができないことがあります。電気がない時の充電方法として、乾電池式充電器、手回し式充電器、ソーラー式充電器、シガーソケット式充電器、ポータブル電源(可搬型バッテリー)などを準備しておきましょう。

治療についての情報を持っておく

  • 災害時には、普段あなたがかかっている医療機関で治療を受けられるかわかりません。病名や受けている治療についての情報を手帳などに残しておきましょう。
    1. どのような薬を飲んでいるか
    2. 病名は何か
    3. アレルギーのある薬は何か
    以上の内容を記載した手帳(お薬手帳、緊急医療手帳など)を準備しておきましょう。
  • 抗がん剤による治療を受けている人は、抗がん剤の名前、前回の治療日、血液検査の結果があるとベストです。
  • 携帯電話に薬や処方せんを画像で保存、または、お薬手帳のアプリケーションをスマートフォンに入れておくと、薬の情報を確認することができます。
  • 薬や必要な物品は3日から1週間程度、少し多めに出してもらい、予備を家においておきましょう(内服薬、インスリン、ストマ用品など)。

災害時の治療について医師と相談しておく

  • 1~2週間程度遅れてよい治療なのか、日時をしっかり守らないといけない治療なのか、確認しておきましょう。
  • 発熱時にどのように対応したらよいか、相談しておきましょう。

連絡先・避難先を確認する

  • 災害時、「誰に、どのような方法で、何の連絡をとるか」を、ご家族、担当の医師や看護師と相談して決めておきましょう。
  • 連絡先一覧と避難経路を見やすいところに貼っておきましょう。
    ・誰に:ご家族、担当の医師、看護師、医療機器メーカーなど
    ・どのような方法で:携帯電話、アプリケーションによるメッセージ、固定電話
    ・何の連絡を:居場所、病状、薬や衛生材料の在庫、医療機器の動作状況など

避難所等へ移動方法を検討しておく

  • いざという時にあわてないために、移動方法を検討しておきましょう。
  • 1人で移動が困難な場合は、移動には4人以上必要なことがあります。ご家族や近所の方、地域の民生委員にあらかじめ相談し、災害時に避難の手助けをしてもらえるようにしておきましょう。あまり病気のことを知られたくない場合も、なるべく市町村や保健所など公的機関に情報提供しておきましょう。

災害発生時の対応

情報・通信手段を確保する

  • ラジオ、スマートフォン、パソコンなどから情報を集めます。
  • ソーシャルネットワークサービスからの情報収集は、発信元が信頼できる機関等であるかを確認しましょう。
  • 動画配信サービスから、ライブニュースを視聴することが可能です。

お薬手帳・数日分の薬を持って避難する

  • 薬の名前や病名を書いた手帳(お薬手帳、緊急医療手帳、携帯電話など)、数日分の薬を避難先に持っていきましょう。
  • 大規模災害時は、病院や診療所を受診できない場合がありますが、処方せんや薬がなくても保険薬局にお薬手帳や薬袋を持参することで薬を受け取ることができます。また、保険証を提示したり、現金の支払いをしなくても医療機関を受診したり、薬を受け取ることができます(薬は、数日経てば流通し始めます)。

避難、安否の連絡をする

  • 建物や室内の安全、電気・水道・ガス、天候を総合的に考え避難するかどうかを決めましょう。
  • 自宅で待機する場合、所在情報を近くの避難所に伝えておきましょう。自宅にいることを誰にも知らせていないと、取り残されてしまう可能性があります。
  • 電話等の通信が可能であれば、事前に決めておいた連絡方法で安否の連絡をしましょう。
  • 避難した場合は、安否確認に来た人に避難先がわかるように、自宅にメモなどを残しておきましょう。

がん治療・抗がん剤による治療を受けている方の災害時の対応

治療について

治療再開の見当をつける:急ぐ治療と急がない治療を知る

  • 抗がん剤による治療は、冑がん、肺がん、大腸がんなどたいていのがんの場合、1~2週間程度遅れても、病状が進行することはありません。災害直後には、まず、自分の生活を整えることを優先してください。
  • ただし、白血病など血液に関係するがん、胚細胞腫瘍、その他の特殊ながん(希少がん等)では、治療を継続して行う必要があります。医療機関などに必ず相談してください。
  • 飲み薬の抗がん剤は、手元に薬があって服用方法が分かっている場合は、体調が普段と変わりなければ服用を続けてください。
  • 2週間くらい前に静脈からの抗がん剤治療を受けた患者さんや、「白血球が少ないので注意してください」と言われている患者さんは、感染症に注意が必要です。38度以上の発熱があり、抗生物質が手元にある場合は、まず内服してください。
  • 自宅避難をされていることを避難所や役所に伝えておくと、その後の情報が入りやすくなります。

治療を受けられる施設に関する情報を得る

  • 大規模災害時は、病院でがんの診療ができなくなる場合もあります。普段受診している病院に連絡が取れない時は、地域のがん診療連携拠点病院の相談支援センターにご相談ください。各地域の病院情報は以下のページよりご確認ください。

    がん情報サービス 病名から病院を探す : がん情報サービス相談先・病院を探す(ganjoho.jp)

生活の注意点

1. ガレキ、ヘドロの処理作業はしない

  • がんの治療中(抗がん剤治療含む)は、感染への抵抗力が低下しています。ガレキ撤去、ヘドロ除去、家屋の清掃などはせずに、体調を整えることを優先してください。

2. 感染を予防する

  • マスクの着用、うがい手洗い、体温の測定を行う。
  • 水が不足している時の対応方法
    ・うがいは、一度に多くの水を含んで吐き出すよりも、「少量を口に含んで吐き出す」をくり返す方が効果的です。
    ・手洗いは、可能であればアルコール消毒液を使用する。
    ・歯磨きは、チューブ入りの歯磨き剤は使わず、歯ブラシを少量の水で濡らして磨く。
    ・入れ歯は使い捨ておしぼりでふく。入れ歯の針金は、歯ブラシや綿棒で清掃する。
    ・歯ブラシがない時は、タオルやティッシュペーパーで歯の表面をふく。

3. 脱水・血栓を予防する

  • 十分に水分をとります。食事がとれない時も水分は十分とるようにしてください。
  • トイレに行く回数を減らすために飲水を控える方が多いのですが、脱水、膀胱炎、血栓症(血液がねばねばになり、つまりやすくなる)になりやすくなります。
  • 血栓症の予防のために、足が動くようなストレッチや軽い運動をしてください。
    エコノミークラス症候群の予防のために|厚生労働省(外部サイトにリンクします)

4. がんであることを伝える

  • 避難所などで集団生活をしている場合、がんの治療中であることを避難所の保健師等、医療関係者に伝えることで、衛生状態に配慮してくれます。

5. 発熱したら

  • あらかじめ医師と相談できている場合には、その指示に従います。
  • 災害のため受診ができない場合、抗生物質が手元にあれば内服してください。

一般的にすぐに受診したほうがよい症状

  • 38.0度以上の体温が1時間以上続く、または発熱とともに寒気や汗が出る。
  • 傷口、手術の傷、中心静脈カテーテルなどの挿入部位、皮層(性器や肛門周囲)が、赤くなる、腫れる、膿む、圧痛がある、熱をもっている場合。
  • 下痢や嘔吐が続く。
  • 今までなかった痛みが起こった場合や痛みがひどくなる。
  • 排尿時に痛みがある、血尿や尿がにごる。
  • ひどい頭痛、首がこわばる、意識があいまいになる。
  • 鼻腔(副鼻腔)や喉の痛み、口内炎、息切れ、咳・痰がでる。

医療用麻薬を使用している方

医療用麻薬の災害時の入手の仕方

  • 医療用麻薬は、多くの方が利用されている一般的なお薬です。 被災の状況にもよりますが、おおむね、たいていの病院や薬局であれば医療用麻薬を受け取ることができます。万が一同じ薬が入手できなくても、代わりの方法があるので病院や薬局へ相談してください。

医療用麻薬が手に入らない時

  • どうしても医療用麻薬が手に入らない時は、痛みがひどくならない程度に、「1回に飲む量」を少し減らしてください。たとえば、毎食後に3錠飲んでいる場合は毎回2錠にしてください。飲む間隔は変えないでください(1日に2回飲んでいたものを1回にすることはしないでください)。

災害時の対応に関する情報

上記情報は、がん情報サービスに掲載している「大規模災害に対する備え」を参考にまとめたものです。詳細は、同冊子をご覧ください。

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