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副腎皮質がん(ふくじんひしつがん)

更新日 : 2023年12月5日

公開日:2014年4月28日

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副腎皮質がんについて

副腎は、お腹のなかにあり、体のバランスにかかわるホルモンを産生する臓器です。小さな臓器ですが、解剖学的な部位から副腎皮質(ふくじんひしつ)と副腎髄質(ふくじんずいしつ)に分けられています。副腎皮質がんは副腎皮質から発生する非常にまれながんの1つです。10歳未満の小児や30歳代から40歳代の成人に発生しやすいことが知られています。副腎皮質がんでは、腫瘍が大きくなることによる腹痛やお腹の張り感などの症状だけでなく、副腎皮質でつくられるホルモンが過剰に産生されることによる症状(高血圧、血糖の高値、筋力低下、肥満など)が出現する場合があります。

診断について

副腎皮質がんが疑われる場合には、副腎皮質でつくられるホルモンの状態を調べるため、血液検査や尿検査により体の中に分泌されているホルモン濃度を確認します。また、病気の性状や広がりを確認するためにはCTやMRIなどが有用とされています。ただし、副腎にできる腫瘍で、カテコラミンと呼ばれるホルモンを産生する褐色細胞腫(かっしょくさいぼうしゅ)という病気の場合は、ヨードを含むCTの造影剤で急に血圧が上昇する危険性があるため、MRIでの診断を行うか、造影剤を使用するCT検査の前に褐色細胞腫でないことを確認しておく必要があります。

治療について

切除可能な副腎皮質がんの治療

一般的に副腎皮質がんは、腫瘍が大きくなるスピードが速く、周囲の臓器などへも浸潤するため、発見された時には進行していることの多い病気です。しかし、遠隔転移がなく副腎皮質がんの広がりが完全に切除可能な範囲である場合には、外科的手術を行います。術後は、再発する可能性の高いと考えられる場合には、再発する可能性を低くする目的で術後薬物療法(ミトタン(がん情報サービスへリンクします。)療法)を検討します。しかし、これまでの研究では、術後薬物療法の有用性に関する確定的な結論が得られていないため、個々の病態にあわせて実施しています。

切除不能または転移性の副腎皮質がんの治療

すでに副腎皮質がんが手術で取り去ることができない程度に進行している場合や、他の臓器に転移している場合には、病気の進行を抑えることを目的に薬物療法を行います。薬物療法としては、ミトタン(がん情報サービスへリンクします。)やミトタンと抗がん剤の併用療法などが用いられます。抗がん剤は、エトポシド、ドキソルビシン、シスプラチンの3剤を併用するEDP療法(適応外使用)の有効性が報告されています。切除不能または転移性の副腎皮質がんであっても、薬物療法で十分に腫瘍が小さくなり、切除可能になった場合や、副腎から産生されるホルモンによる症状が薬物療法で十分にコントロールできない場合には、手術を検討することがあります。

ミトタンによる治療について

ミトタンの副作用

ミトタンの副作用としては、嘔気・嘔吐などの消化器毒性、めまいや眠気などの神経毒性が知られています。人によってミトタン(がん情報サービスへリンクします。)の適切な量が異なるため、副作用の状態などをみながら調整します。

切除不能または転移性の副腎皮質がんの治療

ミトタン(がん情報サービスへリンクします。)による治療を開始すると、薬の作用で副腎からのホルモンが減少します。副腎のホルモンが減少すると、元気がなくなったり、体の電解質(イオン)のバランスが崩れたりすることで体調が悪くなることがあります。もともと、副腎がんからホルモンが過剰に産生されていない場合には、ホルモンが足りなくなるため、ホルモン薬を補充することで体のホルモンを調整します。一方、ホルモンを過剰に産生するタイプの副腎皮質がんの場合には、ミトタン開始後にホルモンが減少してきた時点で、ホルモン薬の投与を検討します。ホルモンの変化は体のいろいろな箇所に不都合をきたすことがあるので、内分泌専門医と協力して治療を行います。

希少がんリーフレット

副腎皮質がん

執筆協力者

須藤 一起(すどう かずき)
  • 須藤 一起(すどう かずき)
  • 希少がんセンター
  • 国立がん研究センター中央病院
  • 腫瘍内科 先端医療科
下井 辰徳(しもい たつのり)
  • 下井 辰徳(しもい たつのり)
  • 希少がんセンター
  • 国立がん研究センター中央病院
  • 腫瘍内科
米盛 勧(よねもり かん)
  • 米盛 勧(よねもり かん)
  • 国立がん研究センター中央病院
  • 腫瘍内科 先端医療科