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連携大学院生インタビュー 川瀬 竜也
川瀬 竜也
東京理科大学 基礎工学部 生物工学科出身
現職 アステラス製薬株式会社研究本部 キャンディデートディスカバリー研究所 第二研究室 主任研究員
NCC在籍期間 2004年から2009年
指導者
田矢 洋一 (放射線研究部、部長)
大木 理恵子 (放射線研究部、研究員 現職:基礎腫瘍学ユニット、独立ユニット長)
研究所に来るきっかけ
私は学部生の頃、田矢先生の大学院講義があることを先輩から教えてもらい、潜り込んで講義を受講しておりました。そこで田矢先生の独特の個性と研究内容に魅了され、田矢研でp53研究をしたいと思い、授業の合間を縫って直談判しにいったことがきっかけです。その際、田矢先生から連携大学院制度を教えて頂き、学部四年次から研究所に来ることができました。
研究所での生活
研究所ではポスドクやスタッフメンバー全員が実験を中心に生活していることが教育機関である大学とは大きく異なり、それぞれが掲げられたミッションを達成するために必死に実験をしているため、自分自身もそれに刺激され、研究にどっぷり浸かる生活をしていました。また、病院が隣接しており、最終的なゴールを常に意識させられる環境というのも大学とは一線を画すところです。
経験を積んでいくと結果の解釈や方針の違いで先生とぶつかることも多々ありましたが、研究というフィールド上では上下関係なく対等にディスカッションできました。データが出るまでの生みの苦しみは多々有りましたが、仮説検証を繰り返し実験的に証明できた時の喜び、またそれらを論文として世界に発信できる醍醐味を経験できたのは、NCCRIに来ることができたからだと思っています。
研究所でよかったこと
「昔、研究は貴族の趣味だった。だから好きなだけやったらいいよ」というのは田矢先生の言葉で、この言葉の通り好きなだけ研究に打ち込める環境が研究所にはあり、周りにも本気で研究に打ち込むポスドクやスッタフの方々がいたことが大変刺激になり、研究に打ち込めたことが良かったことです。また、良質な研究テーマを与えて頂き、日本学術振興会の特別研究員に採択して頂けましたし、論文が世界最高峰のJournalに採択されたことも良かった点です。また、結果が上手くでるとは限らないという点で不確実性の高い研究という仕事に対して、自分の信じた道を貫きつつも結果に応じて臨機応変かつ柔軟に方針転換を図り、不測の事態にも引出しの多さで対応していくスタッフの方々の強靭さを身近で感じられたことは、何よりも財産になっています。
後輩へのアドバイス
学生のうちから研究成果を上げることを生業とするプロフェッショナルたちに囲まれた環境で研究するということは大学ではなかなかできない貴重な経験です。研究所では学生数が限られているため、良い意味で雑音が少なく研究に没頭できる環境ですし、ポスドクやスタッフの方々が沢山いるので、お手本となる方々が身近にいます。また、このような環境ですので研究者としての将来の自分の姿を想像することができるところです。研究者を本気で目指す学生さんには、NCCRIはトップサイエンティストと一緒に仕事ができるベストプレイスであると思いますし、ロールモデルとなる研究者とも出会える可能性が高いと思いますので、ぜひチャレンジしてみてはいかがでしょうか?
主要な論文(NCC在籍中)
PUBLICATIONS
- Suzuki S, Tsutsumi S, Chen Y, Ozeki C, Okabe A, Kawase T, Aburatani H, Ohki R. Identification and characterization of the binding sequences and target genes of p53 lacking the 1st transactivation domain. Cancer Sci. 2019 Dec 13. doi: 10.1111/cas.14279.
- Chen Y, Takikawa M, Tsutsumi S, Yamaguchi Y, Okabe A, Shimada M, Kawase T, Sada A, Ezawa I, Takano Y, Nagata K, Suzuki Y, Semba K, Aburatani H, Ohki R. PHLDA1, another PHLDA family protein that inhibits Akt. Cancer Sci. 2018 Nov;109(11):3532-3542.
- Ezawa I*, Sawai Y*, Kawase T *, Okabe A, Tsutsumi S, Ichikawa H, Kobayashi Y, Tashiro F, Namiki H, Kondo T, Semba K, Aburatani H, Taya Y, Nakagama H, Ohki R. (*These authors equally contributed to the work) Novel p53 target gene FUCA1 encodes a fucosidase and regulates growth and survival of cancer cells. Cancer Sci. 2016 Jun;107(6):734-45.
- Asano Y*, Kawase T *, Okabe A, Tsutsumi S, Ichikawa H, Tatebe S, Kitabayashi I, Tashiro F, Namiki H, Kondo T, Semba K, Aburatani H, Taya Y, Nakagama H, Ohki R. (*These authors equally contributed to the work) IER5 generates a novel hypo-phosphorylated active form of HSF1 and contributes to tumorigenesis. Sci Rep. 2016 Jan 12;6 : 19174.
- Ohki R, Saito K, Chen Y, Kawase T, Hiraoka N, Saigawa R, Minegishi M, Aita Y, Yanai G, Shimizu H, Yachida S, Sakata N, Doi R, Kosuge T, Shimada K, Tycko B, Tsukada T, Kanai Y, Sumi S, Namiki H, Taya Y, Shibata T, Nakagama H. PHLDA3 is a novel tumor suppressor of pancreatic neuroendocrine tumors. Proc Natl Acad Sci U S A. 2014 Jun 10;111(23):E2404-13.
- Ozeki C, Sawai Y, Shibata T, Kohno T, Okamoto K, Yokota J, Tashiro F, Tanuma S, Sakai R, Kawase T, Kitabayashi I, Taya Y, Ohki R. Cancer susceptibility polymorphism of p53 at codon 72 affects phosphorylation and degradation of p53 protein. J Biol Chem. 2011 May 20;286(20):18251-60.
- Kawase T *, Ohki R*, Shibata T, Tsutsumi S, Kamimura N, Inazawa J, Ohta T, Ichikawa H, Aburatani H, Tashiro F and Taya Y. PH domain-only protein PHLDA3 is a p53-regulated repressor of Akt. (*These authors equally contributed to the work) Cell. 2009 Feb 6;136(3):535-50.
- Kawase T, Ichikawa H, Ohta T, Nozaki N, Tashiro F, Ohki R, Taya Y. p53 target gene AEN is a nuclear exonuclease required for p53-dependent apoptosis. Oncogene. 2008 Jun 19;27(27):3797-810.
- Ohki R*, Kawase T *, Ohta T, Ichikawa H, Taya Y. Dissecting functional roles of p53 N-terminal transactivation domains by microarray expression analysis. (*These authors equally contributed to the work) Cancer Sci. 2007 Feb;98(2):189-200.
REVIEWS
- Kawase T, Chen Y, Ohki R. IER5 Is a p53-Regulated Activator of HSF1 That Contributes to Promotion of Cancer. Heat Shock Proteins in Signaling Pathways, Chapter 13, Heat Shock Proteins, Vol. 17, pp. 253-272, 2019.
- Kawase T, Ohki R. Identification and functional analysis of a novel p53 target gene IER5 that has beneficial roles for tumor progression. Experimental Medicine, Vol.35, No.14, 2017.
- Kawase T, Ohki R. PHLDA3 is a p53-regulated repressor of Akt. Special Review, 細胞工学, vol. 29, pp. 599-605, 2010
- Ohki R, Kawase T. PHLDA3 is a p53-regulated repressor of Akt. 生体の科学, vol. 61, pp. 560-567, 2010
PATENT
- Ohki R, Kawase T, Shibata T, Taya Y, Aburatani H, Inazawa J, Tashiro F. Pharmaceutical composition, and pharmaceutical preparation for treating tumors, WO2010087497