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脳腫瘍連携研究分野
- 2023年9月23日
- 研究所 脳腫瘍連携研究分野 鈴木啓道が日本癌学会 JCA-Mauvernay Awardを受賞しました
- 2022年9月29日
- 脳腫瘍連携研究分野を含めた4施設が主導した国際共同研究がNatureに掲載されました。
- 2022年9月12日
- 現在、脳腫瘍連携研究分野では、特任研究員を募集しています。
- 2022年6月16日
- 現在、脳腫瘍連携研究分野では、特任研究補助員を募集しています。
- 2022年1月28日
- 希少がんグラントII 「シングルセルマルチオームとマルチサンプリングを用いた膠芽腫の腫瘍内多様性と進展形式の解明」が採択されました(研究代表者 鈴木啓道)。
研究活動
脳腫瘍は治療が非常に難しい病気です。そのため、新しい治療を開発するために様々な研究が世界中で行われています。最近では、シークエンス技術(DNAなどの配列を読む技術)が著しく進歩しているため、様々な悪性の腫瘍に対して腫瘍細胞に起きている異常を明らかにしようとシークエンス研究が行われております。当研究室では悪性脳腫瘍がなぜ生じてくるのか、なぜ治療が効かないのかといった特徴を理解し、新しい治療の開発へつなげようと日々シークエンスデータを用いた研究を行っております。
大人の原発性脳腫瘍で最も多いのは神経膠腫と呼ばれる種類の病気です。浸潤性に進展するため治療が困難です。神経膠腫は悪性度に応じてグレードIからIVに分類されますが、我々はグレードIIおよびIIIの神経膠腫に対して網羅的な遺伝子異常解析を行い、世界に先駆けて遺伝子異常の全体像を明らかにしました(H Suzuki et al., Nature Genetics. 2015)。その結果、遺伝子異常に基づいて分類することが可能であることを示し、神経膠腫は遺伝子異常に基づいて診断されるようになりました。
小児の原発性悪性脳腫瘍で最も多いのは髄芽腫と呼ばれる疾患です。我々は髄芽腫においてU1 snRNA変異を同定しました(H Suzuki et al., Nature 2019)。U1 snRNA変異は髄芽腫で最も頻度の高い遺伝子異常であり、治療が困難な髄芽腫において新たな治療につながる可能性のある遺伝子異常です。
このように我々は様々な脳腫瘍のシークエンスを行いその病態を明らかにすることで、悪性脳腫瘍の治療の改善を目指して研究を行っております。
国立がん研究センター中央病院脳脊髄腫瘍科で行われている脳腫瘍の診断と治療について詳しく知りたい方はこちらのリンクでご覧になれます。
主要文献
神経膠腫の遺伝子異常解析と腫瘍内多様性の解明、予後に関わる分子マーカーの同定
- Hiromichi Suzuki, et al. Mutational landscape and clonal architecture in grade II and III gliomas. Nature Genetics, 47(5):458-468. 2015
- Kosuke Aoki, Hiromichi Suzuki(Co-first author), et al. Prognostic relevance of genetic alterations in diffuse lower-grade gliomas. Neuro-Oncology. 20(1):66-77. 2017
髄芽腫の遺伝子異常解析と新規ノンコーディング遺伝子変異(U1 snRNA変異)の同定
- Patryk Skowron, Hiromichi Suzuki(co-corresponding), Michael D. Taylor, et al. The Transcriptional Landscape of Shh Medulloblastoma. Nature Communications. 12(1):1749, 2021
- Hiromichi Suzuki, et al. Recurrent non-coding U1-snRNA mutations drive cryptic splicing in Shh medulloblastoma. Nature, 574(7780):707-711. 2019
様々な悪性腫瘍における新規ノンコーディング遺伝子変異(U1 snRNA変異)の同定
- Shimin Shuai, Hiromichi Suzuki(Co-first author), et al. The U1 Spliceosomal RNA is Recurrently Mutated in Multiple Cancers. Nature. 574(7780):712-716. 2019
脳腫瘍連携研究分野の研究に興味をお持ちの方へ
シークエンサー技術の革新により、さまざまな悪性腫瘍で、遺伝子異常に基づいた分類・診断が導入されております。日本の臨床現場でも遺伝子異常に基づいた「がんゲノム医療」が推進されつつあり、基礎研究・臨床現場ともにシーケンス解析技術や遺伝子異常に対する知識が必要とされるようになってきています。脳腫瘍連携研究分野では、臨床検体を用いたシークエンス解析・スーパーコンピュータを用いたバイオインフォマティクス解析を行い、新しく発見した遺伝子異常に対して細胞・動物モデルを用いた分子生物学的研究を行なっております。脳腫瘍やその他の固形腫瘍の最新の知見や遺伝子解析技術を一緒に学びながら、積極的に研究に取り組んでいただける方を募集しています。また、大規模シークエンス解析に対する解析技術を有しておりますのでゲノム解析の共同研究を行いたいと考えております。
研究者・ポスドク・大学院生の募集
研究員・ポスドク・大学院生など、幅広く人材を求めております。また、大学院生の方で基準を満たせば、創発的研究支援事業のRA制度を利用して給与付きの大学院生として研究を行うことが可能です(審査など有)。経験はなくても大丈夫です(常勤研究員を除く)。病気を治したいという強い熱意のある方を歓迎します。
技術職員の募集
脳腫瘍連携研究分野では現在、研究のお手伝いをしていただける技術職員を募集しております。共同研究の募集
脳腫瘍連携研究分野では脳腫瘍に限らず、様々な固形腫瘍に対するシークエンス解析を行うことができます。臨床経験・バイオインフォマティクス技術の両方を有しておりますのでより臨床に近い視点から解析が可能です。ご興味のある方は、鈴木啓道(hiromics@ncc.go.jp)までお問い合わせください。研究室の見学、相談も随時受け付けておりますので、ご連絡ください。