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いよいよ始まる全国がん登録~よりよく知ってもらうための伝え方~
開催日時
開催日:2014年11月15日(土曜日)
開催時間:13時から16時30分
会場
国立がん研究センター特別会議室
プログラム
- がん対策情報センター長あいさつ
- ミニレクチャー「いよいよ始まる全国がん登録」(資料:(PDF:1,56KB))
- グループディスカッション
- 患者/家族/市民からみたときの疑問、心配は?
- どんなメッセージをどう伝えたら広く、正しく伝わる?
- 各グループからの報告
- 今後のPR方について
- 参考事例とグループディスカッション
- まとめと閉会
概要
11月15日に平成26年度がん対策情報センター患者・市民パネルによる検討会「いよいよ始まる全国がん登録~よりよく知ってもらうための伝え方~」が行われました。
昨年12月にがん登録推進法が成立し、これまで都道府県ごとに任意で行われてきたがん登録が、法律に基づき全国で統一したデータベースとして情報が集積されます。この情報収集により、これまで推計しかできなかった実際の罹患数についても正確な把握が可能になります。一方で個人情報の漏えいが心配、といった声も上がっており、国民に正しい情報を発信し、理解を得ながら進めていく必要性が強くなっています。
そこで、患者・市民パネルの皆さまにお集まりいただき、どのようなメッセージをどのように伝えていくことで、国民の皆さんによりよく知っていただくことができるのか、また現在の法では解決しきれない課題も残っているため、それらについても患者や市民の立場からご意見をいただくこととなりました。 当日は、北海道から九州まで、全国から48人の方にお集まりいただき、熱心な議論が行われた充実した会となりました 。
最初に、若尾文彦センター長(がん対策情報センター)から、まだがん登録についてほとんど知られていないこと、そのためがん登録について知っていただくこと、安心できるものと思っていただくことは大変重要であると考えていること、そのためにどのように伝えていくとよいのか、皆さんのお知恵を借りたいというあいさつがありました。
続いて、松田智大室長(がん対策情報センター がん統計研究部 地域がん登録研究室)より、ミニレクチャー「いよいよ始まる全国がん登録」として、全国がん登録で収集されるのはどのようなデータなのか、全国がん登録を行うことで何がわかり、どのようなメリットがあるのか、これまでの地域がん登録が全国がん登録になることで何が変わるのかについて解説がありました。このレクチャーに対して、標準登録項目では収集されない情報とどのように結びつけた解析ができるのか、患者本人の情報からの開示請求を認めないのはなぜかなど、次々に質問が寄せられ、内容に踏み込んだ熱心な質疑が行われました。
続いてグループディスカッションに移り、話し合った内容の報告が行われました。「個人情報が本当に守られるのか」という懸念をあげるグループが多数あり、松田室長からは、法律の中に情報漏えいに関する厳しい罰則が設けられていること、また、がん登録に携わるスタッフへの教育研修についても法律内に定められており、がん対策情報センターは重要な機微データを扱っていることをスタッフ全員が意識することも含めて十分なスタッフ教育を行う準備を進めているという解説がありました。
また、「現在の患者にはメリットがなく、置き去りにされた気がする」といった感想と同時に、「このがん登録が主として将来の患者さんのためであることをしっかり明示した上で、その意義を説明することが必要ではないか」「何に役に立つのかがはっきりしないと過剰な期待や失望があるが、はっきりしていれば、直接自分の役に立たないとしても自分のデータを生かしてほしいと感じると思う」といった意見も出されました。 「再発の情報、治療の情報など、より踏み込んだ情報を収集しなければ、実際の患者の利益につながらないのではないか」という意見に対して、松田室長から、全国すべての病院でがん登録を行うためには複雑な項目になりすぎると網羅性が失われてしまうこと、そのため、より詳しい情報とつき合わせた結果を得るための研究が並行して行われる必要があることが解説されました。
その他、「がん登録という名称ではなく、より親しみが持てる名前を公募してはどうか」「がん登録を知ってもらうには、まずがんを知ってもらうことが重要」「学校教育からしっかり伝えていく必要がある」といったアイデアも出されました。
最後に、若尾センター長から約1年後に迫った全国がん登録の開始に向けて、周知のためのプロジェクトを行っていく予定であり、本日の意見を参考に案を精錬させていきたいと考えており、引き続きパネルの皆さんからの協力をお願いしたいというあいさつで検討会を締めくくりました。