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国立がん研究センター

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口腔がんの検査・診断について

最終更新日:2023年10月17日

前回の動画▷口腔がんの病気について

検査について

口腔がんの検査は、大きく分けて、視診・触診、病理検査、画像検査などがあります。口腔がんは、目で見たり、触れたりできるところに発症するため、舌や粘膜に変化がないか、しこりやリンパ節への転移がないか、実際に見たり触ったりしながら調べます。さらに、問診では、喫煙や飲酒習慣など、危険因子がないかどうかをチェックします。

視診や触診で口腔がんが疑われた場合、確定診断には、病理検査が欠かせません。病理検査では、病変の組織の一部を採取して、顕微鏡でがん細胞の有無や種類を詳しく調べます(細胞診、組織診)。さらに、がんの大きさや浸潤の程度、リンパ節転移、遠隔転移の有無を調べるため、X線、CT、MRI、超音波(エコー)検査 、PET-CTなどの画像検査が行われます。その他、重複がんを調べるため内視鏡検査が行われることもあります。

視診・触診

  • 視診:舌や粘膜に白板や赤くなっている部分がないかを調べます。
  • 触診:しこりや盛り上がりがないか、首のリンパ節へ転移がないか、指で触れて確認します。

病理検査

  • 細胞診:病変を綿棒で軽くこすって組織を採取し、顕微鏡でがん細胞かどうか調べます。
  • 組織生検:麻酔をして病変と周辺の組織の一部を切除し、顕微鏡で調べます。細胞診に比べて診断率が高いため、しばしば確定診断に用いられます。

画像検査

  • X線検査:フィルムが患者さんの周りを回転しながら、連続的に撮影するパノラマX線検査で歯肉がんなどが骨に浸潤していないかを調べます。
  • CT検査:X線を照射し、体を輪切りにした状態で、3次元で確認することができす。  
    がんの位置や大きさ、周囲への広がり、リンパ節に転移しているかどうか確認します。
  • MRI検査:体に電磁波をあて、体内の状態を鮮明に画像化します。骨や歯以外の軟組織の状態も細かく診断することができ、診断や治療法の選択に役立ちます。放射線被ばくの心配がありません。
  • 超音波(エコー)検査:超音波をあて、がんの広がりやリンパ節への転移を調べます。放射線被ばくの心配がありません。   
  • PET検査(陽電子放射断層撮影検査):がん細胞がブドウ糖を多く取り込む性質を利用して、全身へのがんの広がりを確認する検査で、臓器だけでなく骨への転移も調べることができます。最近では、CT検査と組み合わせて(PET-CT)、より詳細な画像が得られるようになっています。
  • 内視鏡検査(胃カメラ):胃や食道、大腸などの管腔臓器に内視鏡(ファイバースコープ)を入れて、異常がないか調べる検査です。口腔内~中下咽頭も観察できます。

病期(ステージ)について

がんの進行の程度を病期(ステージ)といいます。口腔がんの病期(ステージ)は、予後調査を基に作成された国際対がん連合(Union for International Cancer Control:UICC)のTNM分類*1に基づいて決まります。がんの大きさや浸潤*2の状態などから、病期を決定し、治療法を選択します。

ステージ0からステージIV(0、I、II、III、IVA、IVB、IVC)まであり、ステージ0・I・IIは早期がん、ステージIII・IVA・IVBは局所進行がん・IVCは遠隔転移*3を伴う進行がんに相当します。

図:口腔がん(舌がん)のTNM分類

oral_002_5.pngクリックするとPDF(612KB)が開きます
日本頭頸部癌学会編「頭頸部癌診療ガイドライン 2022年版」(金原出版)より改編

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日本頭頸部癌学会編「頭頸部癌診療ガイドライン 2022年版」(金原出版)より改編

*1がんの大きさ(T:原発巣*4)、頸部リンパ節への転移の有無(N:領域リンパ節)、他の臓器への転移の有無(M:遠隔転移)
*2 浸潤:がんが周囲の組織にも染み出るように広がっていくこと。
(がん情報サービス:https://ganjoho.jp/public/qa_links/dictionary/dic01/modal/shinjun.html
*3 がん細胞が最初に発生した場所(原発巣げんぱつそう)から、血管やリンパ管に入り込み、血液やリンパ液の流れに乗って別の臓器や器官に移動し、そこで増えることをいいます。転移したがん病変は、原発巣のがんと同じ性質を持つため、検査や治療は原発巣のがんに準じて進められます。
(がん情報サービス:https://ganjoho.jp/public/qa_links/dictionary/dic01/modal/teni.html
*4 原発巣:最初にがん(腫瘍)が発生した病変のこと。原発巣が何かを知ることは治療方針を決める上で重要だが、発巣が小さい、あるいは発見しにくい場所にある場合には、特定できないこともある。
(がん情報サービス:https://ganjoho.jp/public/qa_links/dictionary/dic01/modal/gempatsuso.html

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