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ムーンショット型研究開発事業において日米連携の研究プロジェクト「慢性炎症の制御によるがん発症ゼロ社会の実現」が始動
2023年2月27日
国立研究開発法人国立がん研究センター
国立研究開発法人国立がん研究センター(理事長:中釜 斉、所在地:東京都中央区)は、日米連携研究プロジェクト「慢性炎症の制御によるがん発症ゼロ社会の実現」に参画し、このほどプロジェクトが始動しましたのでお知らせします。
本プロジェクトは、令和4年度「ムーンショット型研究開発事業(ムーンショット目標7 日米連携による「がんゼロ社会」に向けた研究開発)」において実施される、国内7施設とアメリカ3施設によるグローバルな大型プロジェクトです。プロジェクトマネージャーは、免疫応答機構解明のスペシャリストとして世界から注目される当センター研究所/先端医療開発センター分野長の西川博嘉(名古屋大学大学院医学系研究科分子細胞免疫学教授)で、日本のがんゲノム医療を牽引する研究所所長間野博行、疫学を専門とし国際がん研究機関(International Agency for Research on Cancer:IARC)の科学評議会議長も務めるがん対策研究所予防研究部部長井上真奈美とともに参加施設と連携し、慢性炎症の基礎的研究から治療開発、予防までをシームレスに行い「がんゼロ社会」を目指してまいります。
研究担当者からのコメント
研究所/先端医療開発センター 分野長 西川 博嘉(にしかわ ひろよし)
プロジェクトマネージャー分担研究課題
- 炎症の慢性化に至る免疫学的トリガーの探索
- 慢性炎症の超早期検出を目的とした免疫解析系の樹立
- 慢性炎症および前がん状態の悪性スパイラル解除を目的とした免疫療法の開発
日米のがん、免疫研究のトップランナーが一堂に会した本ムーンショット型研究開発事業では、発がん、がんの進展に重要な働きをする炎症の本態を解き明かすことを目指します。炎症はウィルスや細菌などの感染症のみならず加齢や肥満等の刺激によっても私たちの体で引き起こされることが明らかになってきています。がんに関係する炎症による変化を早期に捉え、発がんからがんの進展を防ぐ方法を開発して「がんゼロ社会」を達成できるように、本研究開発を進めていきます。
研究所 所長 間野 博行(まの ひろゆき)
分担研究課題- 前がん細胞・がん起源細胞の統合的オミックス解析と先制治療法の開発
- 健常検体の収集、患者会との意見交換
がんは突然生じるものではなく、多くの場合10年以上の長い年月を経て目に見える「がん」へと進化します。細胞のゲノムには一定の頻度で変異が生じますが、本事業で、どの時点の細胞からがんになることが運命づけられるのかを具体的に明らかにしたいと思います。さらに、多彩なバックグラウンドの研究者・医師・協力者の力を結集し、がん化の「最初のステップ」を防ぐ介入法、早期に検出するデバイスの開発まで展開します。
がん対策研究所 予防研究部 部長 井上 真奈美(いのうえ まなみ)
分担研究課題
- 慢性炎症予測因子とその後のがん発生との関連性の疫学的検討
慢性炎症が発がんメカニズムとして大きくかかわっていることが基礎研究から示唆されています。ヒトの集団を用いて疫学的視点から検証するため、疫学研究者が本研究チームに加わりました。進行中の大規模住民コホート集団を用いて、生活習慣情報や各種バイオマーカー、ゲノム情報などから慢性炎症予測因子を同定してその曝露と発がんとの関連性を探ります。
プロジェクト概要
プロジェクト名
令和4年度「ムーンショット型研究開発事業(ムーンショット目標7 日米連携による「がんゼロ社会」に向けた研究開発)」「慢性炎症の制御によるがん発症ゼロ社会の実現」
参加施設
国立がん研究センターを含む国内7施設とアメリカ3施設
研究実施期間
2023年1月から2027年
参考
日米連携研究プロジェクト 「慢性炎症の制御によるがん発症ゼロ社会の実現」 ムーンショット型研究開発事業で始動
(2022年12月19日 プレスリリース)
問い合わせ先
研究プロジェクトに関する問い合わせ
国立がん研究センター研究所 腫瘍免疫研究分野
先端医療開発センター 免疫TR分野 西川 博嘉
電話番号:03-3542-2511(代表)
メールアドレス:hnishikancc.go.jp
広報窓口
国立がん研究センター企画戦略局 広報企画室
電話番号:03-3542-2511(代表)
メールアドレス:ncc-adminncc.go.jp