新年度のご挨拶
今年度から「第4期がん対策推進基本計画」(R5年度~R10年度)がスタートします。「誰一人取り残さないがん対策を推進し、全ての国民とがんの克服を目指す」ことを全体目標として掲げ、がん対策の3本の柱として、「がん予防」と「がん医療」の一層の充実を図るとともに、がんになっても安心して生活し、尊厳を持って生きることのできる社会を実現することで「がんと共生」できる社会環境の整備を目指しています。
この基本計画の確実な推進を支える基盤として重要なのが、「全ゲノム解析等の新たな技術を含むがん研究の一層の推進」です。国のがん対策に係る事業を強力に牽引することが求められる当センターとしては、がん対策上の現場の課題を精度高く抽出し、課題解決のための効果的かつ効率的な対策に資する成果の創出とその最大化が求められています。
がんの早期発見や治癒率の向上、新たな医療シーズの開発とそれらの医療実装、さらにはアンメットメディカルニーズの高い分野として、小児・AYA世代がんを含む、希少・難治がん領域の課題の克服も取り組むべき重要課題と考えています。全ゲノム・エピゲノム解析やロングリードシークエンス、一細胞レベルでの空間的遺伝子発現解析や一分子イメージング技術などの基礎的な技術に加え、開発研究におけるAI技術等の革新的なテクノロジーを迅速かつ効率的に当センターの活動基盤として導入し医療DXを推進することにより、新たながん予防・医療提供体制の構築に向けた議論を深めていく必要があります。
今年度が当センターにとって更なる飛躍の一年となるよう、職員一丸となって当センターの理念と使命を共有し、「第4期がん対策推進基本計画」の下、協働して課題に取り組んで参ります。
国立がん研究センター
理事長 中釜 斉