ATLAS-ARISE-PMDA国際シンポジウム2025をバンコクで開催
2025年11月12日
国立研究開発法人国立がん研究センター
概要
国立研究開発法人国立がん研究センター(所在地:東京都中央区、理事長:間野 博行)は、2025年10月3日、タイ・バンコクにおいて、ATLAS-ARISE-PMDA国際シンポジウム2025「Building a United Asian Clinical Trial Ecosystem」を開催しました。
本シンポジウムは、当センター中央病院(病院長:瀬戸 泰之)が推進するアジア地域における臨床研究・治験の実施体制整備を目的とした「アジアがん臨床試験ネットワーク構築事業(ATLAS project)」の開始5周年を記念し、国立研究開発法人国立健康危機管理研究機構(JIHS)及び独立行政法人医薬品医療機器総合機構(PMDA)と共催で開催しました。
日本主導でアジア地域における持続可能な臨床開発のエコシステムを構築するため、国際共同試験の質・量・速度をいかに高めるかの課題について、日本・アジア各国の主要な産学官の関係者が集い、活発な議論を行いました。今後もATLAS・ARISE・PMDAの連携を継続し、アジア地域における臨床試験・開発を着実に推進していく方針を確認しました。
背景
当センターは、ATLAS project推進のため、2021年9月にタイ・バンコクにアジア連携推進タイ事務所を設立いたしました。JIHSは2021年1月に連携オフィスを、PMDAは2024年7月にアジア事務所をそれぞれ設立しているため、本シンポジウムはタイ・バンコクで開催しました。
ATLAS projectについて(外部サイトにリンクします)
国立がん研究センター中央病院が主導するATLAS project(Asian Clinical Trials Network for Cancers Project)は、2020年9月より日本医療研究開発機構(AMED)の支援を受けて開始された、アジア地域におけるがん臨床試験ネットワークの構築を目指すプロジェクトです。本プロジェクトは、以下3点を活動の柱として、アジアにおける国際共同臨床試験の基盤整備と医薬品・医療機器開発の促進を目指しています。
- 医薬品・医療機器に関する国際共同臨床試験の実施を通じたアジア全体での薬事承認・実用化の促進
- アジアの研究者、臨床試験支援人材に対する教育コンテンツの提供
- アジアにおける国際共同臨床試験グループとしての組織体制整備
シンポジウムの概要
オープニングセッション
開会にあたり、主催者を代表して国立がん研究センター理事長 間野 博行が開会の辞を述べ、続いて在タイ日本国特命全権大使 大鷹 正人氏、前厚生労働大臣 武見 敬三氏よりご挨拶を賜りました。また、タイ保健省医療局長 Nutthapong Wongwiwat博士からは、ビデオメッセージが寄せられました。
続くオープニング・パネルディスカッションでは、中村 健一(国立がん研究センター中央病院 国際開発部門長)が司会を務め、当センター理事長 間野 博行に加え、武井 貞治(JIHS 理事)、藤原 康弘(PMDA 理事長)、Akhmal Yusof(Clinical Research Malaysia CEO)、Somchai Thanasitthichai(タイ国立がんセンター 所長)が登壇。組織の枠を超えて、アジア全体での臨床開発を見据えた研究基盤の強化、人材育成、規制当局間の連携強化の方向性について意見交換が行われました。
Session 1:ATLAS projectの5年間の成果と今後の展望
ATLAS projectの5年間の活動を総括し、各研究の進捗や頭頸部がん・肉腫/希少がん・肝胆膵がんといった領域の研究班による活動が報告されました。
Session 2:ATLAS projectの未来
ATLAS Boardを構成する日本・台湾・タイ・マレーシア・シンガポールのメンバーにより、以下5つのテーマについてパネルディスカッションを行いました。
- 今後の5年間で達成すべきゴール
- ATLASとして注力すべき研究
- ATLASとして数多くの研究を実施するために強化すべき機能
- 人材育成
- ネットワークのさらなる発展
Session 3:感染症領域における多国間連携
JIHSが主導し、当センターが包括連携する感染症臨床研究ネットワーク「ARISE」の取り組みとして、平時および有事における国際共同臨床試験の即応体制、人材交流、データ標準化の整備状況が報告されました。また、日本製薬工業協会の中路 茂氏が産業界の立場から、アカデミアへの期待と産学官連携の加速化について提言がありました。
Session 4:アジアにおける規制協力の推進
PMDAをはじめアジア各国の規制当局者が登壇し、PMDAからはアジアにおいて医薬品開発の臨床試験を促進する意義を、アジア各国からは臨床試験の実施状況の共有や課題が示されました。また、臨床試験の中で規制当局が果たす役割を議論するとともに、アジア各国の共通課題として、申請様式を含む薬事手続き、倫理審査タイムライン、人材育成等が挙げられました。今後、規制当局が協力していくことで、アジア各国における臨床試験を促進させていくことを確認しました。
Session 5:アジアの臨床開発エコシステム実現に向けた具体的な行動計画
最終セッションでは、各プロジェクト・機関の代表者が、産学官連携を具体的に進めるために共通認識すべき優先課題、実施体制、そして今後の取り組みについて議論しました。アジアが世界の臨床開発エコシステムを牽引していくための道筋を示しました。
最後に、共催者を代表して国立健康危機管理研究機構(JIHS)理事 宮嵜 英世氏が閉会の辞を述べ、シンポジウムは盛況のうちに閉幕しました。
国立がん研究センター理事長 間野 博行
在タイ日本国特命全権大使 大鷹 正人氏
前厚生労働大臣 武見 敬三氏
アジア各国から多くの関係者が参加
集合写真
お問い合わせ先
- お問い合わせ
国立研究開発法人国立がん研究センター中央病院
国際開発部門 中村 健一、関野 雄太、都築 明日香
電話番号:03-3542-2511(代表) FAX:03-3542-2545
Eメール:atlas-pr●ml.res.ncc.go.jp - 広報窓口
国立研究開発法人国立がん研究センター
企画戦略局 広報企画室
電話番号:03-3542-2511(代表)
Eメール:ncc-admin●ncc.go.jp
関連ファイル
関連リンク
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