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薬事目的での利活用に関して
C-CATの見解
ゲノム医療の実現により、患者さんに新たな治療選択肢を提供できる可能性が高まりました。一方で、がん領域では従来より、臨床研究結果に基づき標準治療が確立してきた歴史があり、医薬品等が用いられる範囲と薬事承認範囲との乖離が大きいこと(医薬品の適応外使用)が問題視されていました。この乖離はゲノム医療の時代になっても残っていますし、今後希少フラクション化が進むことにより適応外使用の範囲は拡大する可能性があり、これを解消するための取り組みが従来以上に求められることになると予想されます。けれども、治験・医師主導治験を全ての用途で実施することは困難です。希少フラクションによっては、事前に治験・医師主導治験を実施する医療機関を特定し研究を行うことが困難なものも少なくありません。一方で、何らの根拠もなく医薬品等の適用範囲が漫然と拡大することは、患者さんにとっても望ましいことではありません。
そのような環境下で、利用可能なデータを最大限活用し問題を解決するための取り組みも必要であろうとの考えから、本邦においても厚生労働省のClinical Innovation Network事業等、Real World Dataの活用が模索されています。
C-CATに蓄積されたデータは治験等の介入研究のデータと異なりますので、治験等と同等に扱うことは困難です。しかしながら、治験等によって解決が困難な問題を解消するための根拠データとして活用する余地はあるものと考えます。そのため、希少フラクション等を広くカバーしているというC-CATのデータの特徴から薬事目的利用のうちの一部には活用しうる余地があると考え、PMDAの医薬品レジストリ活用相談を受け、PMDAの見解を得つつ、データの質の担保に取り組んでいます。
以下の図に示すように、薬事目的利用にも様々な利活用方法があり、これらの一部についてはC-CATのデータ活用の余地があると考えています。一方で、利活用可能か否かのPMDAの判断は医薬品等の開発対象となるがん種・フラクション等の状況によっても変わり得ます。そのため、どの項目についてならば利用可能であるとの断言をすることは困難です。そのような状況下であっても、臨床現場における治療選択肢の拡大のために必要な取り組みとしてC-CATのデータを医薬品等の開発に活用したいとのご希望に可能な限り応えられるよう、少なくともPMDAとの間でC-CATデータの活用の余地があるか否かの議論が始められる水準で、現時点で取り得る対応をとっています。
Regulatory gradeのデータの質の担保方法については、次に示す方法によるモニタリング方式を採用することし、この枠組みでの質の担保の妥当性についてはPMDAとの相談の中でも議論を行い、次項に示すように理解を得ています。
利活用希望される方から具体的な開発のご提案を頂いた時点で、Add-onで行うデータの品質担保の取り組み内容をC-CATとの間で検討し、PMDAに相談を行った上で実行することになります。
PMDAの見解概要
以上のC-CATの見解に対し、医薬品レジストリ活用相談においてPMDA側からは、上記の図のモニタリング方法について、薬事目的に利活用する計画が提案された段階で別途Add-onモニタリングを行うというC-CAT側の考え方について異論は無いとの見解を得ています。
もちろん、Add-onのモニタリングは利用用途に応じて要求される内容が変わり得ます。その点について、データの品質を担保できる具体的な方法を検討すること、および、この方法によるモニタリングを開始する際にはAdd-onモニタリングの具体的な方法を提示し改めてPMDAに相談することとのコメントも頂いております。