2020年度活用報告
国立がん研究センター基金 収支報告
国立がん研究センター基金 2020年度（初年度） 収支の状況をご報告申し上げます。
注：
- プロジェクト寄付 及び 寄付金運営委員会設置以前受入の使途指定寄付
- 基金設立（2020年度）以前受入の寄付金残高を承継
活用報告
寄付金は、各プロジェクト寄付及びがん医療・がん研究のために活用させていただきました。
2020年度の主な使途は次の通りです。
プロジェクト寄付
ENDEAVOR
使途：BD FACS Melodyセルソーター
患者腹水由来がん細胞および蛍光標識されたがん細胞株を純化するための機器として使用
支出金額： 11.6百万円
プロジェクトチ－ムからメッセ－ジ：
皆様からのご寄付により購入されたBD FACS Melodyセルソーターは、流体中の細胞がレーザーを横切ることで発生したシグナルを解析することにより、細胞の状態を知ることができる機器です。また、目的細胞を単一細胞として生きた状態で分取できることが大きな特徴です。測定可能なサンプルとしては、血球系細胞（白血球、赤血球など）、動物細胞（がん患者由来細胞、培養細胞など）、植物細胞など多岐にわたります。
皆様には、がん研究・がん医療のためのご支援をいただきありがとうございます。我々の創薬標的・シーズ探索部門では、未だ有効な治療法が開発されていない腹膜播種を重要な課題の1つとして、研究を行っています。 がん患者様の腹水から免疫細胞、中皮細胞等を含む全細胞を沈渣として回収し、それらの細胞から抗体を用いてがん細胞を分離し、ゲノム解析等を行っています。さらに、腹水沈渣から、「患者腹水由来がん細胞株」を樹立し、ゲノム解析等で明らかになった遺伝子の構造異常、発現異常の生物学的意味を網羅的に検討しています（腹膜播種胃がんの治療標的遺伝子の同定、Tanaka R, Chiwaki F, et al., Nature Cancer 2021）。皆様からのご寄付により購入されたセルソーターは、腹水中の全細胞からがん細胞、特に治療標的分子を発現したがん細胞を純化することに非常に有用です。また樹立されたがん細胞株に蛍光遺伝子を導入する際、蛍光を発している細胞としていない細胞を分離することにも使用しています。蛍光標識されたがん細胞株は、マウスに移植され、薬剤の効果を評価することにより、新しい治療薬の開発に使用されています（図）。これからも、腹膜播種の本体解明や製薬会社との連携による創薬に取り組んでまいります。今後ともご支援よろしくお願い申し上げます。
NEXT
NEXT プロジェクト 活動報告書 2020年度：https://www.ncc.go.jp/jp/d004/donation/next/next_2020.pdfNEXT プロジェクト：https://www.ncc.go.jp/jp/d004/donation/next/index.html
がん情報ギフト
がん情報ギフト 活動報告書 2020年度（2020年08月01日～2021年07月31日）：https://www.ncc.go.jp/jp/d004/donation/ganjoho_gift/010/kifuhoukokusyo2020.pdfがん情報ギフト プロジェクト：https://www.ncc.go.jp/jp/d004/donation/ganjoho_gift/index.html
プロジェクト寄付以外
新型コロナウイルス感染症拡大対策
使途：発熱外来プレハブ平屋建築（中央病院） コロナ感染症対策用設備・機器購入（東病院）
支出金額：100.2百万円
（発熱外来プレハブ平屋建築外観）
（発熱外来プレハブ平屋建築内観 廊下） 
（発熱外来プレハブ平屋建築内観 診察室）
(左 空気感染隔離ユニット 右 紫外線照射システム)
(左 人工呼吸器 右 マスクフィッティングテスター)
東病院さくらテラス
使途：さくらテラス リニュ－アル工事
支出金額：37.3百万円
東病院の患者さんやご家族、来訪者の方々がご利用いただく「安らぎの空間」として、施設をリニューアルしました。これまで屋外にあった施設エリアを拡張し、天候に左右されずにご利用いただける屋内スペースを増設。屋内スペースにはテーブル席と、中庭を見ながらゆっくりとくつろぐことができるカウンター席を設け、ネット環境（Wi-Fi）や冷暖房も完備しました。
（リニュ－アル記念式典のもよう）