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Processive治療薬のカスタマイゼーション
次世代型のがん免疫治療の開発と層別化バイオマーカーの樹立
多様ながん種に対して免疫チェックポイント阻害薬を含む複合免疫治療が適応され、層別化バイオマーカーを用いた治療効果予測に基づく、患者毎の最適な治療法の選択が求められています。
ヒト検体を用いて、がん細胞が持つ遺伝子変異の特性や腫瘍が存在する臓器・組織環境の特徴に由来する腫瘍微小環境の免疫学的・代謝学的な変化に関して、全エクソームシークエンス、マルチカラーフローサイトメトリー、マスサイトメトリー、シングルセルシークエンス、多重免疫染色などを用いた網羅的解析によって評価します。さらに、治療効果や副作用などの臨床情報と併せた統合解析によって、層別化バイオマーカーの探索・樹立を目指しています。
さらに、制御性T細胞に代表されるがん免疫応答を抑制する免疫細胞の腫瘍内への浸潤・抑制活性の調節因子を標的とした、多角的な新規免疫治療法の開発に注力しています。
免疫トランスレーショナルリサーチ分野長 西川 博嘉、ユニット長 小山 正平
私達は微量の腫瘍組織から免疫・ゲノムを網羅的に解析する基盤を確立し、免疫療法感受性に関わる層別化バイオマーカーを同定してきました。さらに、腫瘍微小環境の位置情報に基づく解析、末梢の免疫細胞や腸内細菌叢の解析に基づく全身性免疫状態の指標を加えた多角的な解析基盤を発展させ、次世代型の高精度のバイオマーカーの樹立とがん免疫治療の開発に取り組んでいます。
次世代の抗体医療
ドラッグデリバリーと細胞生物学の観点から、次世代抗体医薬の研究開発を行っています。オリジナルシーズとして腫瘍特異的な抗体を薬物(Antibody drug conjugate, ADC) や放射性医薬品(Radioimmunotherapy, RIT) で武装化した医薬品、 同時に複数の抗原を認識する抗体(Bispecific antibody)を用いた免疫療法などを創出しています。また、分子イメージングや質量分析を用いたPK/PD/MOA解析を活用し、アカデミア・企業シーズの評価や開発支援を行っています。
新薬開発分野長 安永 正浩
ADCによる免疫ターゲットや脳への抗体医薬デリバリー、サメ抗体免疫系、匂い・生体分子を用いたがん診断治療の開発など、従来にないアプローチでも研究開発を行っています。 興味のある方は遠慮なくご連絡ください。
人工知能(AI)技術を用いた新規がん治療薬の創出
AI技術を活用することで、化合物骨格や構造生物学情報などのビッグデータを仮想空間上で高速処理し、膨大な情報の中から候補化合物を特定することで創薬研究にかかる時間やコストの低減が可能になりました。また、人間の限界を超えた演算が可能となり、ヒット予測確率を飛躍的に上昇させた化合物デザインのブレークスルーも期待されています。
共通研究開発分野 大橋 紹宏
米国フレデリック国立がん研究所(FNL)と連携し、世界トップレベルのAIプラットフォームを活用したAI創薬を進めています。化合物デザインのブレークスルー、ヒット化合物の質的向上、創薬プロセスの加速化、創薬コストの縮小を目指しています。
がんワクチン、遺伝子改変・再生免疫細胞療法
免疫チェックポイント阻害療法・CD19 CAR-T細胞療法・COVID-19 mRNAワクチンの成功は、有効ながんワクチンやT細胞療法により、多様性のある元気なT細胞をがんに動員できれば、がんの根絶も夢ではないことを示しました。がんワクチンを中心に、TCR-TやCAR-TなどのT細胞療法の開発を進めており人工多能性幹細胞に由来する免疫細胞を用いた治療法の開発にも取り組んでいます。また、外部シーズの橋渡し研究も積極的に支援しています。
研究対象は、固形がん、血液がん、成人がん、小児がん、あるいは希少がんといった枠にとらわれず、すべてのがんになります。日本では毎年100万人(世界では2000万人)ががんに罹患し、40万人(世界では1000万人)ががんで亡くなっています。手術後に再発させないがんワクチンの開発、進行・再発がんにも有効なT細胞を中心とした免疫細胞療法の開発により、がんによる死亡率の低減を目指しています。
山口大学大学院医学系研究科・免疫学講座教授 玉田耕治氏より
EPOCでは国立がん研究センター外のシーズについても積極的に取り入れて頂き、共同で臨床試験を実施しています。我々の開発している次世代型CAR-T細胞療法についても、我々が治験薬を提供し、EPOCが臨床試験を実施するという体制で素晴らしい成果を収めています。有望ながん治療の新規モダリティや新薬を日本から創生するために、今後も積極的な連携を期待しています。
免疫療法開発分野長 中面 哲也
我々は多くの患者さんが待ち望む有効ながん免疫療法の開発を目指しオリジナルシーズの開発に力を注ぐとともに日本全体を見渡して、素晴らしい治療法を開発している研究者を国立がん研究センターにおける臨床開発につないでいきます。