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国立がん研究センター

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世界規模のゲノムと診療情報の大規模データ共有に向けた協定を締結

医療情報とゲノム情報を組み合わせた情報基盤の構築へ

2013年6月6日
独立行政法人国立がん研究センター

独立行政法人国立がん研究センター(理事長:堀田 知光、以下 国立がん研究センター)は、このたび新たに締結された、40ヵ国以上にわたる約70の代表的なヘルスケア・研究・医療機関による世界規模のゲノムと診療情報の大規模データ共有に向けた協定に参画したことをお知らせいたします。

ヒトゲノムプロジェクト終了時からゲノム塩基配列決定の費用が約10万分の1に下がり、ゲノムデータと臨床データが研究、診療などの用途に広く利用されるようになりつつあります。しかしながら、これらのデータの解釈にあたっては、医科学に関わる関係者がこれまでにない水準の科学的根拠に準拠しつつ、最高水準の倫理とプライバシー保護を遵守することが求められます。参加施設は、協働して技術および規制のあり方についての基準を開発し普及させることが、効果的かつ確実な方法で、情報資産を共有し解釈することを可能にし、公共の利益につながると認識しています。

技術革新によってゲノム配列と診療情報の大規模データが集積されつつあり、医療において大きな期待が寄せられています。2013年1月に8ヵ国から50名の専門家が集い、ゲノム研究と医療における現状の課題と機会、そして医療の進歩に向けた協働について議論がなされました。この結果、ゲノムと診療情報を効率的で責任のある解釈可能な方法で共有する国際的な基準の枠組みを共有することが重要であるとの結論に達しました。信頼でき権威のある国際パートナーシップとして、主要な医療機関、研究機関や関連団体、ライフサイエンスやIT企業などを含めることを展望しました。

この協定は、まだ初期の段階です。今回の発表に続いて、アジア、アメリカ、ヨーロッパ、オーストラリア、アフリカの70近い機関が世界的な協定を締結して参加機関の自律とプライバシー保護のもと、大規模データ共有に向けた共通の基盤を開発していきます。

国立がん研究センターの取り組み、主な協定参加機関など、詳細は下記をご参照ください。

英文のプレスリリース

国立がん研究センターにおける取り組みについて

当センターは、がんに関するゲノム・遺伝子解析研究を幅広く実施していますが、このたびの協定を機に以下の取り組みが進展されることが期待されます。

  1. 国際協調のもと、医療情報とゲノム情報を組み合わせた新たな医療情報基盤の構築
  2. 個別化された分子標的に応じて希少フラクション化していくがん医療において、世界規模のデータベースを活用することによる新しいがん治療法や予防法の開発推進
  3. アジアにおけるがん医療・ゲノム情報拠点として今後も中心的な役割を果たす

また、この協定のもと、以下の取り組みを推進してまいります。

  1. シークエンスコストの低下とともに増加するゲノムビックデータと臨床データを処理・管理していくための情報インフラ整備
  2. 主要ながん種における希少フラクションやこれまで十分な解析が進んでいない希少がんにおいて、国際共同研究から産み出される画期的な新薬、診断・予防法の創出
  3. 国際的協調と標準化されたデータベースによってさまざまな臨床試験の推進や未承認薬におけるバイオマーカー開発

主な協定参加機関(2013年6月5日米国時間 時点)

アジア 3機関

    • 国立がん研究センター(日本)
    • 中国科学院(Chinese Academy of Sciences) など

北米 46機関

    • 米国保健省(National Institutes of Health)
    • 米国国立がん研究所(National Cancer Institute)
    • 米国癌研究会議(AACR:American Association for Cancer Research)
    • 米国臨床腫瘍学会(ASCO: American Society of Clinical Oncology)
    • ベスイスラエル・ディーコネスメディカルセンター(Beth Israel Deaconess Medical Center)
    • ブリガム・アンド・ウィメンズ病院(Brigham and Women's Hospital)
    • ハーバード大学・米国マサチューセッツ工科大学共同研究施設(Broad Institute of MIT and Harvard)
    • ダナファーバー癌研究所(Dana-Farber Cancer Institute)
    • ジョンホプキンス大学医学部(Johns Hopkins University School of Medicine)
    • マサチューセッツ総合病院(Massachusetts General Hospital)
    • メモリアル・スローン・ケタリング癌センター(Memorial Sloan-Kettering Cancer Center )
    • MDアンダーソン癌センター(University of Texas M.D. Anderson Cancer Center)
    • カナダがん学会(Canadian Cancer Society) など

ヨーロッパ 17機関

    • キャンサー・リサーチUK(Cancer Research UK)
    • フランス国立がん研究所(Institut National du Cancer) など

オーストラリア 1機関

アフリカ 2機関

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