院内がん登録全国集計結果検索サイトを初公開がん診療連携拠点病院等院内がん登録2016年全国集計報告書公表
2018年9月12日
国立研究開発法人国立がん研究センター
国立研究開発法人国立がん研究センター(理事長:中釜斉、東京都中央区、略称:国がん)は、専門的ながん医療を行う全国のがん診療連携拠点病院等から収集した院内がん情報を用いて、2016年の1年間に診断された患者さんの診療情報(2016年全国集計)について報告書をまとめ、ウェブサイトで公開しました。
国立がん研究センターがん対策情報センター「がん情報サービス がん登録・統計」統計ページ
2016年全国集計(外部サイトにリンクします)
報告書のポイント
2016年がん診療連携拠点病院等院内がん登録全国集計
- がんの種類、進行度、その治療の分布を把握し、国や都道府県のがん対策に役立てること等を目的として、その基礎資料として院内がん登録のデータを集計(本集計は、2007年症例より行なっており、今回は10回目の報告)。がん診療連携拠点病院等、小児がん拠点病院、都道府県推薦病院の合計778施設962,308件のデータを解析(2015年収集データ727施設、878,046件)。
- 今回の報告では、より実臨床の実態把握に資するよう集計方法を変更(例:肺⇒小細胞癌、非小細胞癌)、さらに他施設での治療実施を加味した治療方法の分布を集計、これにより肺小細胞癌では病期の進んだ登録が多いこと、乳癌では放射線治療を他施設と協同して提供している可能性が示唆された。
院内がん登録全国集計結果検索サイト公開
- 本検索サイトを通して、施設(自施設初回治療開始例)の登録数検索が可能となり、例えば自宅近くの病院を探す一つの手がかりに活用されることが期待される。
解説
2016年がん診療連携拠点病院等院内がん登録全国集計
概要
各施設で登録された院内がん情報を用いて、がんの種類、進行度、治療方法、年齢、来院経路、発見経緯などについて、全体、都道府県別および施設別に集計することで、国や都道府県におけるがん対策と、拠点病院をはじめとするがん診療を担う病院における自施設のがん診療の把握に活用されます。院内がん情報の集計は、がん診療連携拠点病院で2007年診断例より開始し、本集計で10回目の報告となります。
今回の集計においては、より実臨床の実態の把握に資する情報を提供するために、肝臓は肝細胞癌、肝内胆管癌に、肺は肺小細胞癌、肺非小細胞癌に、甲状腺は、乳頭・濾胞癌、未分化癌、髄様癌に分けて集計しました。さらに、他施設で実施された治療を加味した病期別の治療方法の分布を集計しました。また、1000頁近くあった付表をより見やすい形で提供するために、院内がん登録全国集計結果検索システムを開発しました。
集計方法
集計対象施設
- 962,308件778施設
2017年6月時点のがん診療連携拠点病院等434施設、小児がん拠点病院15施設(がん診療連携拠点病院9施設を含む)、都道府県から推薦された338施設
登録(集計)対象腫瘍
- 悪性新生物および上皮内癌、髄膜または脳、脊髄その他中枢神経系に発生した腫瘍の良性および良悪性不詳の腫瘍、消化管間質腫瘍、卵巣の一部の境界悪性腫瘍。
- 集計がん種:胃癌、大腸癌、肝細胞癌、肝内胆管癌、肺小細胞癌、肺非小細胞癌、乳癌、食道癌、膵臓癌、前立腺癌、子宮頸癌、子宮内膜癌、膀胱癌、甲状腺(乳頭・濾胞癌、未分化癌、髄様癌)(前回からの変更箇所:肝癌⇒肝細胞癌、肝内胆管癌へ、肺癌⇒肺小細胞癌、肺非小細胞癌、甲状腺癌⇒乳頭・濾胞癌、未分化癌、髄様癌へ変更)
集計対象例
- 2016年1月1日から12月31日までの1年間にがんと診断された例
集計項目
部位別、診断時住所(都道府県)別、年齢階級別、来院経路別、発見経緯別、症例区分別、国際分類(UICC TNM)治療前別、定義に基づく自施設初回治療方法別登録数など
公表対象
各集計表において集計値が10未満の場合、個人が特定される可能性があることから値を伏せ、「1から3」「4から6」「7から9」で表記
集計のポイント
- がん診療連携拠点病院等、小児がん拠点病院、県推薦病院を合わせた集計
がん診療連携拠点病院等、小児がん拠点病院および県推薦病院を合わせた962,308件、778施設について集計を行いました。昨年と比較して集計対象施設が33施設増加し、登録数は84,262件増加しました。 - より実臨床を把握できるよう集計方法を変更
これまで合算して報告されていた肝は肝細胞癌、肝内胆管癌に、肺は肺小細胞癌、肺非小細胞癌に、甲状腺は乳頭・濾胞癌、未分化癌、髄様癌に分けて集計しました。 - 他施設での治療実施を加味した治療方法の分布を集計
他施設で実施された治療を含めて、提供された治療方法を集計しました。 - 院内がん登録全国集計結果検索サイトを作成
1000頁近いPDF付表をより見やすい形で提供するために、集計結果の一部を検索できるシステムを開発しました。
集計結果のポイント
- 肺小細胞癌では、比較的病期の進んだIV期の登録が多いこと(全体の57.1%)、一方で肺非小細胞癌はI期の登録が多く(全体の43.7%)、その主な治療としては外科的治療であることが明らかとなった。
- 他施設での治療実施を加味してみると、乳癌における放射線治療は自宅近くの病院等他施設と連携して提供されている可能性が示唆された。
院内がん登録全国集計結果検索サイト
- 院内がん登録全国集計結果検索サイトを通して、施設(自施設初回治療開始例)の登録数検索が可能となり、例えば自宅近くの病院を探す一つの手がかりに活用されることが期待される。
- がん情報サービス(外部サイトにリンクします)
「がん診療連携拠点病院等院内がん登録全国集計」(外部サイトにリンクします) - 検索項目:報告書付表7以降の自施設初回治療開始例におけるがん種別、病期、年齢階級、性別登録数(検索対象がん種:胃癌、大腸癌、肝細胞癌、肝内胆管癌、肺小細胞癌、肺非小細胞癌、乳癌、食道癌、膵臓癌、前立腺癌、膀胱癌、甲状腺(乳頭・濾胞癌)、甲状腺(未分化癌)、甲状腺(髄様癌))
検索画面
- 「がん」を選ぶ (オプションで臨床病期別集計値も選択可)
- 「施設」を選ぶ (都道府県を選ぶと、当該県内施設が表示、検索対象施設へ追加)
- 「年齢階級」「性」別集計値が不要ならチェックを外す
- 結果表示をクリック
結果表示画面
院内がん登録について
「院内がん登録の実施に係る指針」 (平成27年12月15日厚生労働省公布)より
院内がん登録とは
病院において、がん医療の状況を適確に把握するため、当該病院におけるがん患者について、全国がん登録情報よりも詳細な治療の状況を含む情報を収集し、院内がん登録データベースに記録し、および保存すること
院内がん登録データベースの活用により期待される効果
- 病院において、当該病院において診療が行われたがんの罹患、診療、転帰等の情報を適確に把握し、治療の結果等を評価することおよび他の病院における評価と比較することにより、がん医療の質の向上が図られること
- 国立がん研究センターにおいて、院内がん情報等を全国規模で収集し、当該情報を基にしたがん統計等の算出等を行うことにより、専門的ながん医療を提供する医療機関の実態把握に資する
- 病院や国立がん研究センターにおいて、院内がん情報等を適切に公表することにより、がん患者及びその家族等の医療機関の選択等に資すること
- 行政において、前号に基づき公表された院内がん情報を活用し、がん対策の企画立案やがん医療の分析及び評価を行うことにより、がん対策の充実が図られること
報道関係からのお問い合わせ先
国立研究開発法人国立がん研究センター
企画戦略局 広報企画室
郵便番号:104-0045
住所:東京都中央区築地5-1-1
電話番号:03-3542-2511(代表)
メールアドレス:ncc-admin●ncc.go.jp(●を@に差し替えてください)